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落とし物を持ち帰ると遺失物等横領罪|刑罰と外国人の在留への影響

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落とし物を持ち帰ると遺失物等横領罪|刑罰と外国人の在留への影響

落とし物を持ち帰ると遺失物等横領罪|刑罰と外国人の在留への影響

2026/08/13

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駅や店舗で他人の財布やスマートフォンを拾い、そのまま持ち帰る行為は、刑法254条の遺失物等横領罪にあたります。軽微に見える事案ですが、防犯カメラの解析により後日特定されることが多く、外国籍の方の場合は在留資格の更新審査に影響することがあります。本稿では、遺失物等横領罪と窃盗罪の区別、実務上の処分の傾向、そして入管法24条4号の2との関係で横領の罪がどのように扱われるのかを、条文の構造に即して整理します。

本記事の要点

  • 遺失物等横領罪は刑法254条に定められ、1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金もしくは科料です。
  • 占有が失われていない物を取れば窃盗罪(刑法235条)となり、10年以下の拘禁刑と大きく異なります。
  • 横領の罪は刑法第38章に属し、入管法24条4号の2が列挙する章に含まれていません。
  • 退去強制事由に直結しにくい類型でも、在留期間更新の素行要件では不利に評価され得ます。

遺失物等横領罪とはどのような犯罪ですか

遺失物等横領罪は、占有を離れた他人の物を自分のものとする犯罪で、刑法254条により1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金もしくは科料に処せられます。落とし物、置き忘れ、誤配された郵便物、風で飛んできた物などが対象です。成立には、その物が他人の物であると認識しながら、自分の物として扱う意思、すなわち不法領得の意思をもって支配下に置くことが必要です。拾った直後に交番へ届けるつもりで一時的に保管していた場合には、この意思が認められません。もっとも、そのまま使用したり、売却したり、中身の現金を費消したりすれば、意思の存在は明確になります。財布からカードを抜き取って使用すれば、別に詐欺罪や窃盗罪、支払用カードに関する罪が成立し得ます。

窃盗罪との違いはどこにありますか

決定的な違いは、その物に他人の占有が残っているかどうかです。占有が残っていれば窃盗罪(刑法235条、10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)、失われていれば遺失物等横領罪となります。判例上、置き忘れてから間もない時間で、持ち主が場所を記憶しており、すぐに戻れる状況であれば、なお占有が及んでいると判断される傾向があります。飲食店のテーブルに置き忘れた品物や、電車の網棚に置いた荷物などが典型例で、これらを持ち去れば窃盗罪と評価される可能性が高くなります。両罪は法定刑が大きく異なるうえ、後述のとおり在留資格への影響も異なりますから、どちらの罪名で立件されるかは外国籍の方にとって極めて重要です。

在留資格にはどのような影響がありますか

条文の構造上、横領の罪は入管法24条4号の2が列挙する章に含まれていません。同号は刑法の住居侵入、通貨・文書・有価証券・支払用カード・印章の各偽造、賭博、殺人、傷害、逮捕監禁、略取誘拐、窃盗強盗、詐欺恐喝、盗品等といった章の罪を対象としており、横領の罪が置かれた第38章は列挙されていないためです。したがって、遺失物等横領罪で拘禁刑に処せられても、別表第一の在留資格を理由に直ちに同号に該当するわけではありません。ただし、24条4号リの1年を超える実刑や、在留期間更新・変更の審査における素行要件は別問題であり、罰金刑であっても不利な事情として考慮されます。なお、同じ行為が窃盗罪と評価されれば、同号の対象となる点に注意が必要です。

呼出しを受けた場合の初動と不起訴の可能性

被害品の返還と被害者への弁償を早期に行えば、起訴猶予となる可能性が高い類型です。被害額が小さく、前科がなく、被害者の宥恕が得られていれば、微罪処分や起訴猶予で終わる例も少なくありません。もっとも、警察から任意出頭を求められた際に、「拾ったが忘れていた」「後で届けるつもりだった」といった弁解を曖昧なまま述べると、かえって不法領得の意思を認めたと受け取られることがあります。日本語での取調べに不安がある場合は、通訳の手配を求め、弁護人と相談してから供述内容を決めてください。また、窃盗罪として立件されようとしている場合には、占有の有無について事実関係を丁寧に主張し、罪名の適正化を図ることが在留の観点から重要になります。

よくあるご質問

拾った現金を使ってしまいました。前科がつきますか

起訴されて有罪となれば前科となりますが、被害弁償を行い被害者の宥恕を得られれば、起訴猶予として前科がつかない可能性は十分にあります。金額が少額で初犯の場合は、微罪処分にとどまることもあります。早期の弁償が重要です。拾得物を交番へ届け出た記録が残っていれば、不法領得の意思を否定する事情となります。

遺失物等横領で退去強制になりますか

横領の罪は入管法24条4号の2の列挙章に含まれないため、直ちに退去強制事由となるものではありません。もっとも、1年を超える実刑であれば24条4号リが問題となり、更新審査でも素行要件で不利に扱われますので、軽視はできません。更新申請の際には、反省の内容と再発防止の状況を説明できるよう準備してください。

窃盗と言われましたが遺失物横領ではないのですか

置き忘れてから時間が経っておらず、持ち主が場所を認識していた場合には、なお占有があるとして窃盗罪とされることがあります。両罪は法定刑も在留への影響も異なるため、発見時の状況を具体的に主張して罪名を争う意義があります。発見時刻や置かれていた場所を示す映像は、占有の有無を判断する重要な資料です。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。

当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。

これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。

  • 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
  • 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。
  • 覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の分析と被告人質問・反対尋問を尽くし、無罪判決を獲得した事例。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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