SNS型投資詐欺で立件されたら|詐欺罪と金商法違反、在留への影響
2026/08/13
SNSや通信アプリの投資グループに勧誘し、偽の取引画面を見せて入金させる手口は、刑法246条1項の詐欺罪に加え、金融商品取引法の無登録営業の罪でも立件されることがあります。中国語のコミュニティを通じた勧誘が問題となる事案も見られます。本稿では、SNS型投資詐欺で問われる罪名の組合せ、勧誘役や送金先口座の提供者の責任範囲、そして有罪となった場合に別表第一と別表第二で在留への効果がどう異なるのかを、条文に沿って説明します。
本記事の要点
- 偽の運用実績を示して入金させれば刑法246条1項の詐欺罪となり、法定刑は10年以下の拘禁刑です。
- 登録を受けずに金融商品取引業を営めば、金融商品取引法29条違反として197条の2の罰則が問題となります。
- 詐欺罪は刑法第37章の罪であるため、別表第一の在留資格では執行猶予でも入管法24条4号の2に該当します。
- 資格外活動として報酬を得ていた場合、入管法19条違反や22条の4の在留資格取消しも併せて検討されます。
SNS型投資詐欺ではどのような罪名で立件されますか
中心となるのは刑法246条1項の詐欺罪で、法定刑は10年以下の拘禁刑です。実際には運用していないのに架空の含み益を表示したアプリを見せる、出金しようとすると税金や手数料の名目で追加入金を求める、といった行為が典型的な欺く行為です。これに加え、内閣総理大臣の登録を受けずに有価証券やデリバティブ取引の勧誘を業として行えば、金融商品取引法29条に違反し、同法197条の2により5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはこれらの併科という罰則が適用され得ます。多数の被害者から反復して集金していた事案では、組織的犯罪処罰法3条1項13号の組織的詐欺として扱われることもあります。集めた資金を別の名義口座に移す行為には、犯罪収益等隠匿の罪が問われる場合もあります。
勧誘役やグループ管理者はどこまで責任を負いますか
実態を認識していたと認められる範囲で、詐欺の共同正犯としての責任を負います。捜査では、グループ内で用いられていた投稿の台本、紹介実績に応じた歩合報酬の記録、出金拒否に関する被害者からの苦情を認識しながら勧誘を継続していた事実などが重視されます。とくに、他の参加者に対して「自分も利益を得ている」と述べていた場合、それが虚偽であれば欺く行為そのものと評価されます。他方、自らも被害者として入金し、その回収のために知人を紹介したという構造の事案もあり、この場合は故意の有無が真正面から争点となります。取調べでは、勧誘の動機と自分が認識していた事実関係を切り分けて説明する必要があり、翻訳の精度が結論を左右します。
在留資格への影響は資格の種類でどう変わりますか
別表第一と別表第二で結論が大きく異なります。留学、技術・人文知識・国際業務、経営・管理などの別表第一の在留資格では、詐欺罪で拘禁刑に処せられれば執行猶予付きでも入管法24条4号の2の退去強制事由に該当します。これに対し、永住者、定住者、日本人の配偶者等の別表第二には同号の適用がなく、1年を超える拘禁刑の実刑に処せられた場合の24条4号リが主な問題となります。また、留学や家族滞在の方が資格外活動許可の範囲を超えて報酬を得ていた場合には、入管法19条違反や、22条の4による在留資格の取消しも別途検討されます。退去強制されると、入管法5条1項9号により原則5年間、2回目以降は10年間、日本への上陸が拒否されます。
起訴前にできることは何ですか
被害者が多数にわたるため、被害弁償の対象と順序を早期に設計することが実務上の要点です。全被害者との示談が難しい場合でも、判明している被害者から順に弁償を進め、供託や贖罪寄付も併用して、可能な限り被害回復の実績を示します。同時に、自らも出資して損失を負っていること、報酬が僅少であったこと、組織の資金管理に関与していないことなどを客観資料で立証し、起訴猶予を求めます。別表第一の在留資格をお持ちであれば、執行猶予判決では在留を維持できないため、不起訴処分の獲得が事実上唯一の解決策となります。初動としては、投資グループのやり取りが残る端末を安易に第三者に渡さず、弁護人と証拠の意味を確認した上で対応することが大切です。
よくあるご質問
自分も損をした被害者ですが立件されますか
知人を紹介して報酬を受け取っていた場合には、勧誘役として立件されることがあります。ただし、自らも実際に入金して損失を被り、報酬も受けていない事案では、詐欺の故意が認められず不起訴となる例もあります。入金履歴などの客観資料の保存が重要です。報酬の受領がなかったことを示す口座記録は、故意を否定する有力な資料となります。
金商法違反だけなら罰金で済みますか
金融商品取引法197条の2は罰金刑を定めていますが、詐欺罪が併せて成立する場合は罰金では終わりません。また、別表第一の在留資格の方は、罰金であれば24条4号の2には該当しないものの、更新時の素行要件では不利に評価されます。更新申請の際には、事案の経緯と再発防止の体制を説明する資料を準備してください。
被害者が全員中国にいる場合も日本で処罰されますか
勧誘行為や資金の受領が日本国内で行われていれば、日本の刑法が適用されます。被害者の所在地が国外であっても、実行行為の一部が国内にあれば国内犯として扱われるのが原則です。証拠収集や被害弁償の手続は複雑になります。国外の被害者との示談は時間を要しますので、早期の着手が求められます。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。
当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。
これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。
- 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
- 特殊詐欺の出し子とされた20代の依頼者について、指示役からの欺罔的・威圧的状況と犯意の不存在を主張し、不起訴処分を獲得した事例。
- 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。
本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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