給付金・助成金の不正受給で捜査を受けたら|詐欺罪と補助金適正化法
2026/08/13
実態のない事業や虚偽の売上減少を申告して給付金や助成金を受け取る行為は、刑法246条1項の詐欺罪にあたり、国の補助金であれば補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律29条による処罰も問題となります。制度の実施から時間が経った後に、給付元の調査を端緒として立件されることが多く、指南役や名義を貸した人も共犯として捜査の対象となります。外国籍の方は、返還だけでは在留の問題が解決しない点に注意が必要です。
本記事の要点
- 虚偽申請による給付金の受給は、刑法246条1項の詐欺罪にあたります。
- 国の補助金については補助金適正化法29条の罰則が別に定められています。
- 受給額の返還のほか、加算金を含む返還請求がなされ、経済的負担は大きくなります。
- 詐欺罪は入管法24条4号の2の対象であり、返還しても刑が科されれば在留に影響します。
どのような行為が不正受給になりますか
不正受給とは、支給要件を満たさないにもかかわらず、虚偽の申告や書類の作出によって給付を受けることをいいます。典型は、実際には行っていない事業を行っていると装う、売上の減少幅を実際より大きく見せる、雇用していない者を従業員として計上する、といった態様です。これらは刑法246条1項の詐欺罪に該当し、法定刑は10年以下の拘禁刑です。国の補助金に関しては、不正の手段により交付を受けた者を処罰する補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律29条の規定も適用され得ます。
なぜ数年後に捜査が始まるのですか
捜査の端緒は、給付元の事後調査や会計検査、申請データの突合せ、関係者の供述であることが多いためです。申請時に用いた通帳、確定申告書、売上台帳は長期間保存され、後から矛盾が判明します。とりわけ、同一の連絡先や同一の書式による申請が多数見つかると、組織的な関与が疑われ、指南役の摘発とともに受給者が一斉に立件される例があります。時間の経過は安心材料になりません。調査の通知を受けた段階で、事実関係の整理と対応方針の検討を始めてください。
自主的な返還にはどのような意味がありますか
自主的な返還は、被害回復として量刑上有利に働き、起訴猶予の判断にも影響します。給付元が定める返還手続に従い、加算金を含めて速やかに返還すれば、反省の実質を示す資料となります。もっとも、返還したからといって詐欺罪が成立しなくなるわけではありません。とりわけ、捜査が開始された後の返還は、それ以前の自主的な申出に比べて評価が下がります。したがって、不安がある段階で弁護人に相談し、返還と自首の可否を含めた方針を早期に決めることが有効です。
在留にはどのような影響がありますか
在留への影響は、返還の有無にかかわらず、科された刑によって決まります。詐欺罪は入管法24条4号の2の対象ですので、別表第一の在留資格の方は、拘禁刑に処せられれば執行猶予が付いても退去強制事由に該当します。経営・管理の在留資格で事業を営んでいた方は、事業の継続が困難になることで、同法22条の4による在留資格取消しの問題も併発します。したがって、返還と並行して、不起訴処分を目指す弁護活動と、在留資格を維持するための活動実態の確保を同時に進める必要があります。
よくあるご質問
知人に勧められて申請しただけでも罪になりますか
申請内容が虚偽であることを認識していれば、詐欺罪の共同正犯として責任を問われ得ます。制度を誤解していた事情は故意の有無に関わりますので、勧誘の経緯、受け取った説明、報酬の有無を具体的に整理して弁護人に伝えてください。
返還すれば起訴されずに済みますか
返還は有利な事情ですが、当然に不起訴となるわけではありません。金額、関与の程度、組織性、自主性の有無が総合的に考慮されます。捜査開始前の自主的な返還ほど評価は高くなりますので、早期の判断が重要です。
名義を貸しただけの場合はどうなりますか
名義貸しであっても、虚偽申請に用いられることを認識していれば共犯として立件され得ます。口座や身分証を提供した場合は、別の法令違反も問題となります。関与の範囲を客観的資料に基づいて説明する準備が必要です。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。
当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。
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- 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
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本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
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中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
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