万引き(窃盗)で警察に呼ばれたら|不起訴の可能性と在留資格への影響
2026/08/13
スーパーやドラッグストアでの万引きは、刑法235条の窃盗罪にあたり、10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が定められています。被害額が小さいため軽く考えられがちですが、外国籍の方にとっては在留を失いかねない事件です。別表第一の在留資格で在留する方は、窃盗罪で拘禁刑に処せられると、執行猶予が付いても入管法24条4号の2により退去強制事由に該当します。本稿では、初動で何をすべきか、不起訴を目指す道筋、在留への影響を順に整理します。
本記事の要点
- 万引きは刑法235条の窃盗罪で、10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が定められています。
- 別表第一の在留資格の方は、執行猶予付きでも入管法24条4号の2の退去強制事由に該当します。
- 被害弁償と示談により、起訴猶予による不起訴処分を目指すのが在留を守る最短の道です。
- 留学生の場合は在籍する学校への影響と入管法22条の4による在留資格取消しにも注意が必要です。
万引きはどのくらいの罪になりますか
万引きは刑法235条の窃盗罪にあたり、法定刑は10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。被害額が数百円であっても罪名は窃盗であり、店側が被害届を出せば正式に事件化します。初犯で被害額が少額、被害品を返還済み、身元が確かといった事情があれば、警察限りで処理される微罪処分や、検察官による起訴猶予となる例もあります。他方、同種の前歴を繰り返している場合には常習性が問題となり、盗犯等の防止及び処分に関する法律の常習累犯窃盗にあたると3年以上の有期拘禁刑となりますので、回数の重みは非常に大きいものがあります。
在留資格にはどのような影響がありますか
在留への影響は、罰金か拘禁刑か、どの在留資格かによって大きく異なります。技術・人文知識・国際業務、留学、家族滞在などの別表第一の在留資格で在留する方は、窃盗罪で拘禁刑に処せられると、全部執行猶予が付いた場合でも入管法24条4号の2により退去強制事由に該当します。他方、永住者や日本人の配偶者等といった別表第二の在留資格には同号の適用がなく、同条4号リの1年を超える拘禁刑の実刑が問題となる構造です。もっとも、別表第二であっても、在留期間更新や永住許可の審査における素行の評価には影響が及びます。
取調べでは何に注意すべきですか
最初に注意すべきは、記憶が曖昧なまま「間違いありません」と認めないことです。万引き事件では、店員による現認、防犯カメラ映像、レジ通過の有無が争点になり、値札の付け替えや商品の入替えの有無、支払意思の有無が問われます。会計を忘れた場合と、当初から代金を支払う意思がなかった場合とでは結論が異なりますので、自分の認識を正確に述べる必要があります。日本語に不安がある方は、通訳を求めてください。通訳を介した供述調書は、訳された内容が自分の言いたいことと一致しているかを確認したうえで署名すべきです。
不起訴を得るために何をしますか
目標は起訴猶予による不起訴処分です。そのために、被害店舗への被害弁償の申入れ、謝罪、店舗が示談に応じない場合の贖罪寄付、再発防止のための具体的な体制づくりを進めます。量販店では本部の方針として示談に応じない例が多いため、弁護人が本部の担当部署と交渉する必要があります。あわせて、勤務先や学校の身元引受け、生活状況の説明、経済的困窮が背景にあるならその解消を示す資料を整えます。執行猶予判決では在留の危機が残る類型ですので、起訴前の段階でどれだけ動けるかが結論を分けます。
よくあるご質問
少額の万引きでも在留資格を失いますか
被害額の多寡ではなく、科された刑の種類で判断されます。別表第一の在留資格の方は、窃盗罪で拘禁刑に処せられると執行猶予付きでも入管法24条4号の2に該当します。罰金や不起訴であればこの事由には該当しませんので、不起訴の獲得が重要です。
店が示談に応じてくれない場合はどうなりますか
大手の量販店では方針として示談に応じない例があります。その場合は、被害弁償の申入れの記録を残したうえで贖罪寄付を行い、再発防止の体制と併せて検察官に説明します。示談ができないことが直ちに起訴を意味するわけではありません。
留学生ですが学校に連絡がいきますか
捜査機関から学校へ当然に連絡がいくわけではありませんが、身柄拘束が続けば欠席により事実上判明します。除籍や退学に至ると在留資格に該当する活動を欠くことになり、入管法22条の4による在留資格取消しの問題が生じます。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。
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本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
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