舟渡国際法律事務所

上陸特別許可の申請|口頭審理から異議の申出までの流れと立証

お問い合わせはこちら

上陸特別許可の申請|口頭審理から異議の申出までの流れと立証

上陸特別許可の申請|口頭審理から異議の申出までの流れと立証

2026/08/13

この記事の中国語版はこちら(本文的中文版请点击这里)

上陸拒否事由に該当する方が日本に入る唯一の正規の道が、入管法12条1項による上陸特別許可です。空港での上陸審査で上陸を認められないと判断された場合、特別審理官の口頭審理を経て、法務大臣に異議を申し出ることになります。この裁決の際に、法務大臣が特別に上陸を許可することができるという構造です。持ち時間は短く、空港で押し寄せる手続の中で判断を迫られますので、事前の準備と、その場での対応の型を知っておくことが結果を大きく左右します。

本記事の要点

  • 上陸特別許可は、法務大臣の裁決に際して与えられるもので、入管法12条1項に定められています。
  • 手続は上陸審査、特別審理官の口頭審理、法務大臣に対する異議の申出という順で進みます。
  • 退去強制歴や刑罰歴がある場合は、上陸拒否事由の該当性を前提に特別の事情を主張します。
  • 空港での手続は短時間で進むため、渡航前に主張書面と疎明資料を準備しておくことが必要です。

上陸特別許可はどのような場合に問題になりますか

上陸特別許可が問題になるのは、査証を取得して来日したものの、空港の上陸審査で入管法5条1項の上陸拒否事由に該当すると判断された場合です。典型は、過去の退去強制歴により同項9号の期間内である場合、1年を超える拘禁刑に処せられた前歴があり同項4号に該当する場合、薬物関係の事由がある場合です。査証が発給されていても、上陸審査は別の判断ですので、査証があるから当然に入国できるという理解は誤りです。上陸を認められないと判断されたときは、その場で口頭審理を求めるか、上陸を諦めて退去するかの選択を迫られます。

口頭審理ではどのようなことを聞かれますか

口頭審理では、渡航の目的、日本での滞在予定、受入れ先との関係、過去の在留状況と退去に至った経緯、本国での生活状況、家族関係が中心に問われます。特別審理官は、入国審査官の認定の当否を判断する立場ですので、まずは上陸拒否事由への該当性そのものを争えるかを検討します。該当性を争えない場合には、特別に上陸を許可すべき事情の主張に軸足を移します。口頭審理の内容は調書に記録され、後の判断の基礎となりますので、記憶が不確かな点を推測で答えないこと、通訳の訳が正確かを確認することが重要です。

特別の事情としては何が評価されますか

評価の中心は、日本に上陸する必要性と、上陸を認めても支障がないと考えられる事情の2つです。前者としては、日本に在留する配偶者や子との同居や養育の必要性、親族の重篤な疾病、事業上の必要性、在学や研究の継続などが挙げられます。後者としては、退去や処罰の原因となった事情が解消されていること、身元を引き受ける者が具体的に存在すること、滞在期間と目的が明確で管理可能であることなどです。これらは口頭での説明では伝わりにくいため、書面と客観的資料で示す必要があります。渡航前の準備が結果を分ける所以です。

認められなかった場合はどうなりますか

異議の申出が容れられない場合、退去を命じられ、原則として搭乗してきた運送業者の負担で送還されます。この場合、退去強制手続とは異なるため、新たな上陸拒否期間が加算されるとは限りませんが、記録は残り、次回以降の査証審査や上陸審査で参照されます。したがって、見込みの乏しい状態で渡航を強行するのは得策ではありません。上陸拒否事由に心当たりがある場合には、渡航前に該当条項を特定し、必要であれば在外公館での査証申請の段階から事情説明を尽くしておくのが安全です。

よくあるご質問

査証があるのに空港で止められることはありますか

あります。査証の発給と上陸許可は別の判断です。入管法5条1項の上陸拒否事由に該当すると判断されれば、査証があっても上陸は認められません。その場合は特別審理官の口頭審理を求め、上陸特別許可(同法12条1項)を目指すことになります。

空港から弁護士に連絡することはできますか

可能です。手続は短時間で進みますので、上陸を認めない旨を告げられた時点で速やかに連絡してください。渡航前に事情を説明し、主張書面と疎明資料を準備しておけば、口頭審理でその場で提出できるため実効性が高まります。

上陸特別許可が出た場合の在留期間はどうなりますか

上陸特別許可により付与される在留資格と在留期間は、渡航目的と受入れ体制に応じて個別に決まります。短期滞在の枠で許可される場合もあります。入国後の資格変更や更新を見据えて、当初から目的と計画を明確にしておくことが重要です。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。

当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。

これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。

  • 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
  • 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。
  • 覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の分析と被告人質問・反対尋問を尽くし、無罪判決を獲得した事例。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事の中国語版はこちら(本文的中文版请点击这里)

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京にて中国人の方をサポート

東京を中心に刑事事件の弁護

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。