仮放免許可申請の実務|請求できる人、必要な資料と不許可後の対応
2026/08/13
入管施設に収容されている方について、一時的に収容を解く措置が仮放免です。令和5年の改正により監理措置の制度が設けられたことで、収容によらずに手続を進める手段は複線化しましたが、仮放免は健康上の理由をはじめとする事情がある場合の措置として、なお重要な役割を担っています。申請にあたっては、身元保証人の確保、住居の特定、生活費の見通し、そして収容の継続が相当でないことを示す具体的な事情が必要です。ここでは、請求できる人の範囲、準備すべき資料、不許可となった場合の対応を整理します。
本記事の要点
- 仮放免は入管法54条に基づく措置で、収容を一時的に解くものです。在留資格の付与ではありません。
- 請求できるのは、被収容者本人のほか、代理人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹などです。
- 保証金の納付、住居の指定、出頭義務などの条件が付され、就労は認められません。
- 不許可となった場合も、事情の変化を示して改めて申請することができます。
誰が仮放免を請求できますか
請求できるのは、収容されている本人のほか、その代理人、保佐人、配偶者、直系の親族または兄弟姉妹とされています。実務上は、弁護士が代理人として申請書を作成し、疎明資料を添えて提出する例が多くみられます。申請先は収容されている施設を管轄する入国管理官署です。申請書には、仮放免を求める理由、住居となる場所、身元保証人の氏名と連絡先、生活の維持の方法などを記載します。緊急に治療を要する場合など、事情によっては早期の判断を求めることになりますので、申請の際にその旨を明示し、根拠となる資料を添えることが重要です。書式や必要書類は施設により運用が異なる部分がありますので、事前に確認しておくと手続が円滑に進みます。
どのような資料を準備しますか
中心となるのは、収容の継続が相当でない事情と、逃亡のおそれが低いことを示す資料です。健康上の理由による場合は、施設内での診療の経過、外部の医療機関による診断書、必要とされる治療の内容と収容中には実施が困難である事情を示します。家族の事情による場合は、配偶者や子の生活状況、看護や養育の必要性を示す資料を用意します。身元保証人については、身分関係、在留資格、職業と収入、被収容者との関係の経緯を示す書面が求められます。住居については、賃貸借契約書や同居予定者の承諾書を添えます。過去に呼出しに応じて出頭してきた経緯があれば、それも逃亡のおそれの低さを裏づける事情となります。
仮放免が許可された後の生活はどうなりますか
許可されても在留資格が与えられるわけではなく、生活には制約が伴います。指定された住居に居住すること、指定された行動範囲を越える場合には事前に許可を得ること、呼出しに応じて出頭することなどの条件が付され、保証金が定められます。就労は認められていませんので、生活費は家族や支援者の援助に頼らざるを得ないのが実情です。健康保険の適用がない状態が続く場合、医療費の負担も課題となります。条件に違反すれば仮放免は取り消され、再び収容されるとともに保証金が没取されることがあります。生活が立ち行かない状況が続く場合には、そのこと自体を入管に伝え、条件の見直しや監理措置への移行を検討する余地があります。
不許可となった場合はどうしますか
改めて申請することが可能ですので、判断に影響した点を補う準備を進めます。仮放免の不許可について不服を申し立てる手続は法律上定められていませんが、再度の申請自体は制限されていません。したがって、実務上は、事情の変化を示して申請を繰り返すことになります。具体的には、健康状態の悪化を示す新たな診断書、身元保証人の追加や変更、住居の確保、家族の状況の変化などです。あわせて、令和5年改正で設けられた監理措置への移行を求める方法や、3か月ごとの見直しの機会を活用する方法も検討します。長期の収容が続く場合には、収容の必要性そのものを争う方法についても、事案に応じて検討する必要があります。
よくあるご質問
仮放免中に働くことはできますか
認められていません。就労すれば条件違反となり、仮放免の取消しと保証金の没取につながるおそれがあります。雇用した側にも不法就労助長罪の問題が生じますので、生活の維持については支援者や弁護人と相談してください。支援団体による生活支援の枠組みを利用できる場合もありますので、確認してください。
保証金はいくら必要ですか
法律上の上限の範囲内で、事案に応じて定められます。金額は、本人や身元保証人の資力、逃亡のおそれの程度などを踏まえて判断されます。用意が困難な場合は、その事情も含めて申請時に説明することが考えられます。納付が困難な場合の対応についても、申請の際に説明することが考えられます。
何回でも申請できますか
回数の制限はありません。ただし、前回と同じ資料で繰り返し申請しても判断は変わりにくいため、事情の変化を示す新たな資料を添えることが重要です。次の3か月ごとの見直しの時期も意識して準備してください。申請の間隔や時期についても、手続の進行状況を踏まえて検討することが有用です。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。
当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。
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本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
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