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出国命令制度を選ぶべき場合|要件と、上陸拒否期間が1年にとどまる意味

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出国命令制度を選ぶべき場合|要件と、上陸拒否期間が1年にとどまる意味

出国命令制度を選ぶべき場合|要件と、上陸拒否期間が1年にとどまる意味

2026/08/13

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在留期間を過ぎたまま滞在している方が、日本での在留継続を断念して帰国する場合、退去強制の手続によるほかに、出国命令という制度を利用できることがあります。これは、自ら入管に出頭し、速やかに出国する意思を示した方について、収容を行わずに一定の期限内の出国を命じるものです。要件を満たせば、上陸拒否期間は1年にとどまり、退去強制の場合の5年と比べて将来の再入国の可能性が大きく異なります。もっとも、要件は限定されており、罪名によっては利用できません。ここでは、制度の内容と選択の判断基準を整理します。

本記事の要点

  • 出国命令は入管法24条の3に定めがあり、収容を伴わずに出国期限を定める制度です。
  • 対象は不法残留のみに該当する方で、自ら出頭し、速やかに出国する意思があることが必要です。
  • 退去強制歴や出国命令を受けた前歴がある方、一定の罪で拘禁刑に処せられた方は対象外です。
  • 出国命令により出国した場合の上陸拒否期間は1年で、退去強制の5年より短くなります。

出国命令の要件はどのようなものですか

要件は入管法24条の3に列挙されており、いずれか一つでも欠けると利用できません。まず、退去強制事由として不法残留に該当するにとどまることが必要です。不法入国や不法上陸、資格外活動を理由とする退去強制事由に該当する場合は対象外となります。次に、速やかに本邦から出国する意思をもって、自ら入国管理官署に出頭したことが求められます。摘発を受けた場合には要件を満たしません。さらに、窃盗等の一定の罪により拘禁刑に処せられたことがないこと、過去に退去強制されたことや出国命令を受けて出国したことがないこと、そして速やかに出国することが確実と見込まれることが必要です。要件の該当性は事前に慎重に確認する必要があります。

手続はどのように進み、いつまでに出国しますか

自ら出頭したうえで、入国警備官の違反調査と入国審査官の審査を経て、出国命令が発せられます。出国命令には出国期限が定められ、その期間は15日を超えない範囲とされています。この間、収容されることは原則としてなく、住居等の条件が付されたうえで、自宅から出国の準備を進めることができます。旅券が失効している場合には大使館や領事館での再発給が必要となり、航空券の手配とあわせて日数を要しますので、出頭の前に準備状況を確認しておくべきです。出国期限までに出国しない場合や、付された条件に違反した場合には、出国命令が取り消され、退去強制の手続に移行することになります。

上陸拒否期間の違いはどの程度重要ですか

将来の再入国を考えるのであれば、決定的な違いとなります。入管法5条1項9号は、退去強制を受けた方について、1回目は5年、2回目以降は10年の上陸拒否期間を定めています。薬物に関する事由による場合には、期間の定めのない類型があります。これに対し、出国命令により出国した方については1年とされています。日本に家族や取引先があり、将来的に短期滞在や就労資格での再入国を検討する可能性があるのであれば、この4年の差は現実的な意味を持ちます。もっとも、上陸拒否期間が経過すれば当然に入国できるわけではなく、その後の審査において過去の違反歴が考慮されることに変わりはありません。

在留特別許可を目指す場合との使い分けはどうしますか

日本での在留継続を望むのであれば、出国命令ではなく在留特別許可を目指す方針となります。両者は方向が正反対ですので、同時に追求することはできません。判断の分かれ目は、日本での生活の実態です。日本人または永住者との婚姻の実体がある場合、日本で生まれ育った子がいる場合、長期にわたり平穏に生活し納税も行ってきた場合には、入管法50条による在留特別許可を求める余地があります。他方、日本での定着性が乏しく、本国に生活の基盤がある場合には、上陸拒否期間の短い出国命令を選び、要件を満たした形で出国したうえで、将来の正規の入国を目指す方が現実的です。判断の前に、双方の見通しを比較検討してください。

よくあるご質問

資格外活動をしていた場合でも出国命令を利用できますか

対象となるのは不法残留に該当するにとどまる場合ですので、他の退去強制事由にも該当すると判断されると利用できません。就労の状況をどう評価されるかが問題となりますので、出頭の前に事実関係を整理して検討する必要があります。判断は入管が行いますので、事前の見通しには限界があります。

出国命令の期限までに帰国できないときはどうなりますか

出国命令が取り消され、退去強制の手続に移行する可能性があります。旅券の再発給や航空券の確保に時間がかかる見込みがある場合は、事情を説明し、必要な手続について早めに相談してください。出国の準備状況を示す資料を用意しておくと説明がしやすくなります。航空券の予約記録なども有用です。

罰金の前科があると出国命令は使えませんか

要件とされているのは、一定の罪により拘禁刑に処せられたことがないことです。罰金にとどまる場合の取扱いは事案により異なりますので、罪名と刑の内容を確認したうえで、該当性を個別に検討する必要があります。過去の刑事処分の内容は、証明書等で正確に確認しておくことをお勧めします。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。

当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。

これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。

  • 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。
  • 不法就労助長罪に問われて退去強制の危機にある依頼者について、「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた入管実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を係属中の事例。
  • 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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