仮放免中に事件を起こしてしまったら|再収容と在留特別許可への影響
2026/08/13
仮放免は、収容を一時的に解く措置にすぎず、在留資格が与えられるものではありません。住居や行動範囲が指定され、定期的な出頭が義務づけられ、就労は認められません。この状態で新たに刑事事件の当事者となると、刑事手続と入管手続が同時に進み、仮放免の取消しによる再収容や保証金の没取という結果を招きます。加えて、在留特別許可を求めていた事案では、素行に関する評価が大きく後退します。ここでは、仮放免中に事件が起きた場合の手続の流れと、取り得る対応を整理します。
本記事の要点
- 仮放免は収容の一時的な解除であり、在留資格の付与ではありません。就労は認められません。
- 新たな事件により仮放免が取り消されると、再び収容され、保証金が没取されることがあります。
- 刑事処分の内容は、その後の在留特別許可の判断における素行の評価に直結します。
- 指定条件の違反や不出頭については、令和5年改正で罰則が整備されています。
仮放免中はどのような制約を受けていますか
仮放免は入管法54条に基づく措置で、収容を一時的に解くにとどまります。許可に際しては、住居および行動範囲の指定、呼出しに対する出頭義務、保証金の納付などの条件が付されます。就労は認められていませんので、収入を得る活動を行えば条件違反となり、雇用した側にも入管法73条の2の不法就労助長罪の問題が生じます。生活が困難であることは理解できるところですが、条件違反が発覚した場合の不利益は大きく、仮放免の取消しと再収容につながります。令和5年の改正では、正当な理由なく出頭しない場合等について罰則が整備されました。まずは、許可書に記載された条件の内容を正確に把握しておくことが出発点です。
事件を起こすと手続はどう進みますか
刑事手続と入管手続が並行して進みます。逮捕されれば警察署に留置され、勾留を経て検察官が処分を決めますが、この間に入管に対して事件の発生が伝わり、仮放免の取消しが検討されます。仮放免が取り消されると、刑事手続が終了した時点で入管の収容施設へ身柄が移り、納付していた保証金が没取されることがあります。すでに退去強制令書が発付されている場合には、送還の準備が進められることになります。したがって、刑事弁護の方針を立てる際には、身柄の行き先が刑事施設なのか入管施設なのかを見通したうえで、家族への連絡体制や必要な手続の準備を同時に進める必要があります。
在留特別許可の可能性はどうなりますか
可能性が消えるわけではありませんが、判断は明らかに厳しくなります。入管法50条に基づく在留特別許可では、家族関係、在留の経緯、素行、人道上の配慮の必要性などが総合的に考慮されます。仮放免中の事件は、指定条件のもとで生活していながら新たな違反に及んだものとして、素行の評価に強く影響します。もっとも、事案の内容は一様ではありません。生活の困窮を背景とする軽微な事案と、組織的な事案とでは意味合いが異なりますし、不起訴となれば有罪判決を前提とする評価は避けられます。日本で生まれ育った子の存在や、配偶者の状況など、他の考慮要素を具体的な資料で示していく作業が、これまで以上に重要になります。
事件が起きた直後に何をすべきですか
最初にすべきは、刑事と入管の双方を見通せる弁護人への連絡です。仮放免中の方は、通常、入管手続について既に代理人が関与している場合が多いので、刑事事件の担当と情報を共有し、方針を統一する必要があります。取調べでは、生活状況や収入源について質問されますが、就労禁止に反する事実がある場合、その説明は入管手続にそのまま影響します。何をどこまで述べるかは、両手続への影響を踏まえて判断すべき事項です。また、指定された住居を離れる状態が続けば、それ自体が新たな条件違反となります。身柄拘束が続く場合は、入管に対して状況を説明する手続を弁護人に依頼してください。
よくあるご質問
仮放免中に働いてしまいました。どうなりますか
条件違反として仮放免の取消し事由となり得ます。雇用した側にも不法就労助長罪の問題が生じます。すでに就労している場合は、まず状況を弁護人に伝え、今後の生活の維持と手続上の説明をどう組み立てるかを相談してください。収入を得る必要が生じた事情自体は、説明の仕方によって考慮される余地があります。
仮放免が取り消されるとすぐに送還されますか
刑事手続が継続している間は、その処理が優先されるのが通常です。刑事手続の終了後、退去強制令書が発付されていれば送還の準備が進みます。送還までの間に取り得る手続がありますので、早期に相談してください。送還の準備が進む前に取り得る手段は限られますので、時間的な余裕が重要です。
保証金は返ってきますか
条件を守っていれば返還されますが、条件違反により仮放免が取り消された場合、全部または一部が没取されることがあります。没取の可否は違反の内容によりますので、経緯を具体的に説明できる資料を整えておくことが有用です。納付の際の領収書や、保証人との関係を示す資料も保管しておいてください。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。
当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。
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本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
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