舟渡国際法律事務所

会社が捜査対象になったとき|不法就労助長罪と経営者の在留資格への波及

お問い合わせはこちら

会社が捜査対象になったとき|不法就労助長罪と経営者の在留資格への波及

会社が捜査対象になったとき|不法就労助長罪と経営者の在留資格への波及

2026/08/13

この記事の中国語版はこちら(本文的中文版请点击这里)

従業員の在留資格をめぐって、会社に捜索が入り、代表者や人事担当者が事情聴取を受けることがあります。外国人を雇用する事業者に対する典型的な嫌疑は、入管法73条の2の不法就労助長罪です。この罪は、在留資格がないことを知らなかったという弁解が原則として通らない構造になっており、確認を怠った事業者が処罰される可能性があります。会社が罰金刑を受ければ、所属機関としての適正性が問われ、在籍する外国人従業員の在留期間更新にも波及します。経営・管理の在留資格で滞在する代表者にとっては、自身の在留にも直結する問題です。

本記事の要点

  • 不法就労助長罪は、在留資格がないことを知らなかったという弁解が原則として通りません。
  • 両罰規定により、行為者個人だけでなく法人にも罰金刑が科され得ます。
  • 会社が処罰されると、所属機関としての適正性が問われ、従業員の在留期間更新に影響します。
  • 経営・管理の在留資格を有する代表者は、自身の在留資格該当性と更新審査に直結します。

不法就労助長罪はどのような場合に成立しますか

成立の中心は、就労が許されない外国人を事業活動に関して働かせた事実です。入管法73条の2は、事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者などを処罰の対象としており、法定刑は5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金またはその併科とされています。重要なのは同条2項で、在留資格がないことなどを知らなかったことを理由に処罰を免れることはできないとされ、過失がないときに限って例外が認められる構造になっています。つまり、在留カードの確認を怠り、就労可能な資格かどうかを確かめないまま雇用した場合、知らなかったという説明だけでは足りません。在留カードの番号を出入国在留管理庁の照会サイトで確認していたか、資格外活動許可の有無を確かめていたかが問われます。

捜索や事情聴取を受けたらまず何をすべきですか

最初にすべきことは、押収された物の範囲の把握と、社内の情報の整理です。捜索差押許可状には対象となる犯罪事実と差し押さえるべき物が記載されていますので、その写しを確保し、押収品目録交付書と照合します。次に、誰が被疑者とされているのかを確認します。代表者個人か、人事担当者か、法人としてかによって、その後の対応が変わります。従業員に対する事情聴取が予定される場合、会社として口裏合わせを求めるような働きかけをすれば、罪証隠滅と評価されかねません。むしろ、雇用時の確認手続に関する記録、在留カードの写し、労働契約書、給与台帳などの資料を整理し、確認義務を尽くしていた事実を積極的に示す方向で準備を進めるべきです。

会社が罰金を受けると在留資格にどう影響しますか

影響は、代表者本人と従業員の双方に及びます。経営・管理の在留資格は、適正に事業が運営されていることを前提としますので、入管法違反による処罰は、在留期間更新の審査における消極的な事情となります。虚偽の資料を提出していた場合には、入管法22条の4により在留資格取消しの検討対象ともなり得ます。また、在籍する外国人従業員にとって、所属機関の適正性は在留資格該当性の評価に関わり、技能実習や特定技能の受入れでは受入れ体制の適合性が問われます。したがって、会社としては、刑事処分の帰結だけでなく、再発防止のための確認手順の整備、担当者への研修、記録の保存体制の構築を、処分前の段階から具体的に示していく必要があります。

知らずに雇用していた場合の主張は可能ですか

過失がなかったことを具体的な事実で示せる場合には、主張の余地があります。入管法73条の2第2項のただし書は過失がないときを除外していますので、在留カードの原本を確認し、番号を照会し、就労資格の範囲を確かめ、資格外活動許可の有無まで点検していた事実があれば、処罰を免れる方向に働きます。もっとも、偽造在留カードが精巧である事案では、確認の程度をどこまで求めるかが争点となります。退去強制事由の判断における故意や過失の要否についても入管実務上の議論があり、当事務所は責任主義の考え方が行政処分に及ぶ範囲を問う訴訟を係属中です。結果を予測することはできませんが、確認手続の記録を残しておくことが、刑事と入管の双方で意味を持ちます。

よくあるご質問

在留カードのコピーを取っていれば安全ですか

コピーだけでは不十分な場合があります。偽造対策として、原本の券面を確認したうえで、出入国在留管理庁が提供する在留カード等番号失効情報照会により番号の有効性を確認し、就労制限の有無と資格外活動許可の記載まで点検した記録を残すことをお勧めします。

法人と代表者の両方が処罰されるのですか

両罰規定により、行為者である個人と法人の双方が処罰される場合があります。法人には罰金刑が科されます。誰が被疑者とされているかにより弁護の方針が変わりますので、早い段階で確認してください。被疑者が誰であるかにより、供述の方針も社内の対応も変わってきます。

従業員が退去強制されると会社はどうなりますか

従業員個人の手続と会社の刑事責任は別に進行します。会社としては、雇用時の確認記録を整えて対応することになります。並行して、残る従業員の在留手続や、受入れ体制の見直しについても検討が必要です。受入れ体制の見直しは、その後の更新審査における説明資料にもなります。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。

当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。

これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。

  • 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
  • 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。
  • 覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の分析と被告人質問・反対尋問を尽くし、無罪判決を獲得した事例。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

この記事の中国語版はこちら(本文的中文版请点击这里)

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京にて中国人の方をサポート

東京を中心に刑事事件の弁護

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。