18歳未満の外国人が逮捕されたら|少年審判の流れと保護処分後の在留の扱い
2026/08/13
18歳未満のお子さまが警察に逮捕された場合、手続は成人とは大きく異なります。少年事件は原則としてすべて家庭裁判所に送られ、処罰ではなく健全な育成のための処分が検討されます。もっとも、身柄が観護措置により少年鑑別所に収容されることがあり、学校生活への影響は避けられません。また、外国籍のお子さまの場合には、在留資格が家族滞在や留学に基づくものであることが多く、通学が途切れることで在留資格そのものが問題となる場面があります。ここでは、少年審判の流れと、保護処分および逆送された場合の在留への影響を整理します。
本記事の要点
- 少年事件は原則としてすべて家庭裁判所に送致され、審判で処分が決められます。
- 観護措置により少年鑑別所に収容される期間は通常4週間程度で、更新される場合があります。
- 保護処分は刑罰ではないため、拘禁刑を要件とする退去強制事由には該当しません。
- 逆送されて刑事裁判となり有罪判決を受けた場合は、在留への影響が成人と同様に生じます。
少年事件はどのような流れで進みますか
少年事件では、捜査機関が捜査を遂げた事件をすべて家庭裁判所に送致します。少年法41条および42条が定める全件送致主義であり、成人事件のように検察官が起訴猶予とすることは原則としてできません。家庭裁判所は、必要があると認めるときは観護措置をとり、少年を少年鑑別所に収容します。期間は通常4週間程度で、事案により更新されることがあります。この間、家庭裁判所調査官が生育歴や家庭環境、非行に至った経緯を調査し、鑑別所では資質の鑑別が行われます。その結果を踏まえ、審判において、不処分、保護観察、児童自立支援施設等送致、少年院送致などの判断がなされます。付添人となる弁護士は、この調査の過程に働きかけていくことになります。
保護処分を受けると在留資格を失いますか
保護処分は刑罰ではないため、それ自体で直ちに在留資格を失うわけではありません。入管法24条4号の2や4号リは拘禁刑に処せられたことを要件としており、保護観察や少年院送致という保護処分はこれに当たりません。もっとも、少年法上の少年について長期3年を超える拘禁刑に処せられた場合を対象とする規定が別に置かれていますので、刑事裁判に移行した場合の帰結は異なります。また、実際上の問題として、少年院に送致されると通学が途絶えます。留学の在留資格であれば在籍の継続が前提となり、入管法22条の4により、正当な理由なく所定の活動を継続して3か月以上行っていない場合には在留資格取消しの検討対象となり得ます。学校との連絡を切らさないことが重要です。
検察官送致(逆送)されるとどうなりますか
逆送されると、成人と同様の刑事裁判となり、在留への影響も大きく変わります。少年法20条は、死刑または拘禁刑に当たる罪の事件について、刑事処分が相当と認めるときは検察官に送致すると定め、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪で犯行時16歳以上の場合は原則として逆送することとされています。逆送後に起訴されて有罪判決を受ければ、別表第一の在留資格の方については入管法24条4号の2、薬物事犯であれば同条4号チの適用が問題となります。したがって、付添人としては、家庭裁判所の段階で、保護処分による立ち直りの可能性を具体的な環境調整とともに示し、逆送を回避することが第一の目標となります。
外国籍の少年の事件で特に注意すべきことは何ですか
注意すべきは、意思疎通の確保と、保護者の在留状況の二点です。少年審判は非公開で、少年に分かる言葉で行われる必要がありますが、日本語での学校生活が長い少年でも、法律用語や心情の機微を母語でしか表現できないことがあります。通訳を付けるかどうかは形式的な語学力ではなく、実質的な理解の可否で判断すべきです。もう一点は保護者の状況です。保護者自身の在留資格が不安定な場合、審判における環境調整の説得力に影響します。家族全体の在留状況を早期に把握し、必要であれば入管手続と並行して調整を進めます。少年の在留資格が家族滞在である場合、保護者の資格の変動が少年の在留に直結する点にも注意が必要です。
よくあるご質問
少年鑑別所には何日間入りますか
観護措置の期間は通常4週間程度で、審判に必要な調査のため更新されることがあります。学校には欠席の連絡が必要になりますが、事情の伝え方は将来の復学に影響しますので、付添人と相談のうえ対応することをお勧めします。復学の可否はその後の在留手続にも影響しますので、早めに学校と協議してください。
保護処分の記録は前科になりますか
前科にはなりません。保護処分は刑罰ではないためです。ただし、家庭裁判所と捜査機関には記録が残り、後に別の事件を起こした場合の処分判断で考慮されます。在留審査でも素行に関する事情として説明を求められることがあります。永住許可や帰化の審査でも、同様の観点から事情の説明が求められることがあります。
少年院に入ると在留期間の更新はどうなりますか
収容中は所定の活動を行えないため、更新申請の際に事情の説明が必要となります。在留期間の満了日は待ってくれませんので、満了時期を早めに確認し、保護者や学校と連携して申請の準備を進めてください。在学中であれば、学校が発行する在籍証明が説明資料として役立つことがあります。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。
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本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
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