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スマートフォンの解析と黙秘権|パスコードを教える義務はあるのか

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スマートフォンの解析と黙秘権|パスコードを教える義務はあるのか

スマートフォンの解析と黙秘権|パスコードを教える義務はあるのか

2026/08/13

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取調べの場で、スマートフォンのパスコードを教えるよう求められることがあります。捜査官から、素直に協力すれば早く帰れる、隠すことがあるから言えないのだろう、といった働きかけを受け、判断に迷う方は少なくありません。日本国憲法38条1項は、何人も自己に不利益な供述を強要されないと定めており、供述を拒む権利は捜査の全段階で保障されています。この記事では、パスコードの告知と黙秘権の関係、生体認証の解除を求められた場合の考え方、黙秘したことが不利益に扱われるのかという問題、そして黙秘の判断が在留にまで及ぼす影響を整理します。

本記事の要点

  • パスコードを告げることは供述にあたりますので、これを強要されることはありません。
  • 黙秘したことのみを理由に不利な事実を認定することは許されません。
  • 捜査機関は解析によって内容の取得を試みますので、黙秘は万能の防御手段ではありません。
  • 黙秘するかどうかは、事案の見通しと在留への影響を踏まえて弁護人と決めるべき戦略判断です。

パスコードを教える義務はありますか

義務はありません。憲法38条1項は自己に不利益な供述の強要を禁じており、刑事訴訟法198条2項も、取調べに際してあらかじめ供述を拒むことができる旨を告げなければならないと定めています。パスコードを口頭で告げる行為は、記憶している事柄を述べる供述にあたりますので、これを強制されることはありません。もっとも、告げないからといって捜査が止まるわけではなく、捜査機関は専用の解析機器を用いて内容の取得を試みます。また、告げないことによって、罪証隠滅のおそれがあると主張される場面も現実には存在します。したがって、告げるかどうかは、単なる権利論ではなく、事案の内容と弁護方針を踏まえた戦略判断として決める必要があります。

指紋や顔認証での解除を求められたら

生体認証による解除は、供述とは性質が異なると議論される領域です。パスコードの告知が記憶の内容を述べる行為であるのに対し、指紋や顔による解除は身体の状態を利用するものであるため、供述の強要にあたらないという整理があり得ます。この点については学説上も議論があり、日本の実務でも取扱いが確立しているとはいい難い状況です。実際の場面では、任意の協力として求められることが多く、応じるかどうかはご本人の判断に委ねられます。判断に迷う場合は、その場で回答せず、弁護人と接見してから返答したい旨を述べてください。なお、日常的な備えとしては、生体認証のみに依存しない設定にしておくことが、権利を実質的に守ることにつながります。

黙秘すると不利になりませんか

黙秘したという事実のみから、不利な事実を認定することは許されません。黙秘権は憲法上の権利であり、これを行使したことを理由に有罪方向の推認をすることは、権利保障の趣旨に反するからです。もっとも、実務上は、供述しないことによって、事情を説明する機会を自ら手放す結果となる場合があります。たとえば、事情を知らずに関与したという主張は、供述によって初めて具体化することがあります。逆に、記憶が曖昧なまま話せば、後に矛盾を指摘され、供述全体の信用性が損なわれます。どの点を話し、どの点を留保するかは、証拠関係を踏まえた判断が必要です。だからこそ、取調べの前に弁護人と方針を決めることが重要になります。

黙秘の判断は在留とどう関係しますか

供述の内容が処分を決め、処分が在留を決めるという関係にあります。たとえば、端末内のやり取りについて、事情を知らないまま指示に従っただけであると説明できれば、故意の認定に疑いが生じ、不起訴の可能性が高まります。反対に、内容を確認しないまま概括的に認める供述をすれば、関与が重く評価され、拘禁刑の判決に至るおそれがあります。別表第一の在留資格の方は、窃盗や詐欺などで拘禁刑に処せられると、執行猶予でも入管法24条4号の2に該当し得ますので、供述の一つ一つが在留に直結します。なお、退去強制事由の判断に故意や過失を要するかについては入管実務上争いがあり、当事務所は責任主義の射程を問う訴訟を係属中です。供述の方針は、この点も見据えて決める必要があります。

よくあるご質問

黙秘すると勾留が長くなりますか

黙秘それ自体を理由に勾留を長くすることは許されませんが、実務上、否認や黙秘の事案で身柄拘束が長期化する傾向は否定できません。身柄への影響も含めて、方針を弁護人と検討してください。身柄拘束が長期化しそうな場合は、保釈や執行停止の準備を並行して進めることが有効です。

途中から黙秘に切り替えられますか

できます。供述を拒む権利は取調べのどの段階でも行使できます。ただし、それまでの供述は調書として残りますので、既存の調書との整合を含め、切替えの前に弁護人と相談することをお勧めします。切替えの理由を記録に残しておくと、後に供述経過を説明する際の手がかりになります。

解析には何日くらいかかりますか

事案や機種によって幅があり、数週間から数か月に及ぶこともあります。解析中は端末が返還されないのが通常です。業務上の必要があるときは、弁護人を通じて仮還付を申し立てる方法を検討してください。解析の進捗は弁護人を通じて照会できますので、返還の見込みを確認しておいてください。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。

当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。

これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。

  • 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
  • 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。
  • 覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の分析と被告人質問・反対尋問を尽くし、無罪判決を獲得した事例。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

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