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被害者の連絡先が分からないときの示談交渉|外国籍の方の刑事事件と在留への影響

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被害者の連絡先が分からないときの示談交渉|外国籍の方の刑事事件と在留への影響

被害者の連絡先が分からないときの示談交渉|外国籍の方の刑事事件と在留への影響

2026/08/13

この記事の中国語版はこちら(本文的中文版请点击这里)

窃盗、傷害、住居侵入、痴漢など被害者のいる事件では、示談が成立するかどうかで処分が大きく変わります。もっとも、身柄事件か在宅事件かを問わず、加害者側に被害者の氏名や連絡先が知らされることは原則としてありません。捜査機関は被害者保護の観点から、被害者本人が同意しない限り連絡先を明かさないからです。この記事では、連絡先が分からない段階で弁護人が何をするのか、弁護人限りの開示という実務の意味、示談が整わないときの代替手段、そして示談の成否が在留資格の帰趨にどう跳ね返るのかを順に説明します。外国籍の方は、刑事処分の内容がそのまま在留の可否に直結しますので、早い段階で見通しを立てることが欠かせません。

本記事の要点

  • 被害者の連絡先は原則として本人の同意がある場合に限り、弁護人に対してのみ開示されます。
  • ご本人やご家族が独自に被害者を探して接触することは、罪証隠滅を疑われ身柄拘束を長引かせる要因になります。
  • 示談が整わない場合でも、被害弁償の供託や贖罪寄付など、反省を客観化する手段が残されています。
  • 別表第一の在留資格の方は、窃盗・詐欺・傷害・住居侵入等で拘禁刑に処せられると、執行猶予でも入管法24条4号の2に該当し得ますので、不起訴処分の獲得が最優先の目標になります。

なぜ被害者の連絡先を教えてもらえないのですか

被害者の氏名や連絡先が加害者側に伝わらないのは、被害者の平穏と安全を守るための実務上の取扱いだからです。捜査機関は、報復や再接触のおそれ、被害者の心理的負担を考慮し、被害者本人が開示に同意した場合に限って情報を伝えます。近年は起訴状や証拠書類の段階でも被害者特定事項を秘匿する運用が広がっており、被害者の意向が確認できるまでは、弁護人であっても連絡先を知ることはできません。したがって、示談を望む場合の第一歩は、弁護人が捜査を担当する警察官や検察官に対し、示談の意思があることを伝え、被害者に開示の可否を打診してもらうことになります。ご本人やご家族が勤務先やSNSをたどって被害者を探すことは、たとえ謝罪の意図であっても、被害者に威圧感を与え、罪証隠滅のおそれを基礎づける事情として評価されかねません。必ず弁護人を通してください。

弁護人限りの開示とは何ですか

弁護人限りの開示とは、被害者が、弁護人にだけ連絡先を伝えることを条件に示談交渉に応じる取扱いです。この場合、弁護人は被害者の連絡先をご本人やご家族に伝えることができません。示談書に被害者の住所を記載しない、示談金の受渡しを弁護士の預り金口座を介して行う、といった配慮を組み合わせることもあります。外国籍の方の事件では、ご本人が日本語でのやり取りに不安を抱えることが多いため、弁護人が謝罪文の内容を母語で聴き取り、日本語に整えたうえで被害者に届ける作業が重要になります。翻訳を機械任せにすると、謝罪の趣旨が形式的に映り、かえって被害感情を害することがあります。開示の条件は被害者ごとに異なりますので、条件を守れないおそれがあるなら、無理に交渉を進めない判断も必要です。

連絡先が分からないまま処分が決まりそうなときの選択肢

被害者が接触を拒み続ける場合でも、反省と被害回復の姿勢を客観的な形に残す方法はあります。第一に、被害弁償金を法務局に供託する方法です。被害者の氏名が特定できていることが前提になりますが、受領を拒まれた場合には弁済の意思を示す資料になります。第二に、被害者の所在が分からない類型では、贖罪寄付を行い、その受領証を検察官に提出する方法があります。第三に、被害品の返還、原状回復、再発防止のための環境調整、すなわち転居、退職、通院、家族の監督体制の書面化などを積み上げることです。これらは示談の代替として万能ではありませんが、検察官が起訴猶予を検討する際の判断材料になります。処分の見込みが立たないまま時間が過ぎることが最も不利ですので、被害者の対応を待つ間も、並行して環境面の資料を整えていくことをお勧めします。

示談の成否が在留資格に与える影響

示談の成否は、刑事処分を通じて在留資格の帰趨に直結します。技術・人文知識・国際業務、留学、家族滞在などの別表第一の在留資格の方は、窃盗、詐欺、傷害、住居侵入、文書偽造といった罪で拘禁刑に処せられた場合、刑の全部の執行を猶予されたときであっても、入管法24条4号の2の退去強制事由に該当し得ます。つまり、執行猶予判決を得ても在留の点では十分でない類型があるということです。これに対し、永住者、定住者、日本人の配偶者等といった別表第二の在留資格には24条4号の2の適用がなく、1年を超える拘禁刑の実刑を定める24条4号リなどが問題になります。いずれにせよ、有罪判決そのものを避ける不起訴処分の獲得が最優先の目標になります。示談は、その最も有力な手段です。

よくあるご質問

家族が被害者に直接謝りに行ってもよいですか

お勧めできません。連絡先を独自に調べて接触する行為は、被害者に不安を与えるだけでなく、罪証隠滅のおそれがあると評価され、勾留や保釈の判断で不利に働きます。謝罪の意思は弁護人を通じて伝え、被害者の同意が得られた範囲で対応してください。被害者から警察に苦情が入れば、示談の道そのものが閉ざされることもありますので、接触の誘惑は抑えてください。

示談ができなければ必ず起訴されますか

必ずではありません。被害額が小さい、初犯である、被害弁償の供託や贖罪寄付を行った、生活環境が整っているといった事情を総合して、起訴猶予となる例もあります。示談が難しい場合は、代替となる資料を早めに整えることが重要です。反対に、被害感情が強く、被害額が大きい事案では、示談が整っていても起訴されることがありますので、示談を唯一の頼みとしない備えも必要です。

示談が成立すれば在留資格は必ず維持できますか

確約はできません。示談は不起訴処分を得るための重要な材料ですが、在留期間更新の審査では素行の善良性なども考慮されます。不起訴となった事実、示談書、就労や家族の状況を整理し、更新申請の段階で説明できるよう準備しておくことが大切です。とりわけ就労資格の方は、勤務が継続していることを示す資料を、示談書と併せて保管しておいてください。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。

当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。

これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。

  • 盗撮被害の事案において、刑事告訴と示談交渉を担当し、300万円の慰謝料の支払を内容とする示談を成立させた事例(被害者代理人)。
  • 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
  • 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

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電話番号 :050-7587-4639


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