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取調べ通訳の質をどう確かめるか 方言・専門用語と供述調書の落とし穴

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取調べ通訳の質をどう確かめるか 方言・専門用語と供述調書の落とし穴

取調べ通訳の質をどう確かめるか 方言・専門用語と供述調書の落とし穴

2026/08/13

この記事の中国語版はこちら(本文的中文版请点击这里)

外国籍の方の刑事事件では、供述の内容そのものと同じくらい、それがどのように訳されたかが結果を左右します。取調べは通訳を介して行われ、作成される供述調書は日本語で書かれます。つまり本人は、自分の言葉が正確に置き換えられたかどうかを確認できないまま、日本語の書面に署名を求められることになります。本稿では、通訳の質が争点に与える影響、方言や専門用語をめぐる問題、そして調書に署名する前に確認すべき点を具体的に説明します。

本記事の要点

  • 取調べの内容は通訳を介して日本語の調書にまとめられ、本人は日本語の書面に署名します。
  • 同じ中国語でも地域による差があり、聞き取りに支障が生じることがあります。
  • 法律上の用語は日常語と意味が異なり、訳し方によって供述の意味が変わることがあります。
  • 調書は読み聞かせを受け、内容が違えば増減変更を申し立てることができます。

なぜ通訳の質が結果を左右するのですか

供述調書は、本人が述べた内容を捜査官が整理し、日本語の文章としてまとめた書面です。作成の過程で通訳が介在するため、本人の言葉は少なくとも二度、形を変えます。一度目は通訳による言語の置き換え、二度目は捜査官による文章化です。この二段階のいずれかで微妙なずれが生じると、本人の意図とは異なる内容が記録として残ります。たとえば、頼まれて運んだという説明が、事情を知りながら運んだという記載になれば、故意の有無という決定的な争点に直結します。だからこそ、訳される段階と文章化される段階の双方に注意を払う必要があるのです。

方言や地域差はどのような問題を生みますか

中国語といっても、普通話のほか、閩南語、広東語、上海語、各地の方言があり、話者によって語彙も発音も異なります。通訳人が普通話に堪能であっても、本人が育った地域の言い回しを正確に理解できるとは限りません。数量や日時の表現、親族の呼称、金銭のやり取りに関する言い回しは、地域による差が出やすい部分です。聞き返しが続く、話が噛み合わないと感じる場合には、その場で申し出ることが重要です。遠慮して曖昧なまま進めると、後になって供述の変遷を指摘され、信用性を疑われる原因になります。通訳人の変更を求めることも、正当な申出です。

供述調書に署名する前に何を確認すべきですか

供述調書は、署名押印を求められる前に、内容の読み聞かせを受けることになっています。外国籍の方の場合、日本語の調書を通訳人が口頭で訳し戻す形で行われます。ここで確認すべきは、自分が述べていないことが書かれていないか、述べたことが省略されていないか、ニュアンスが変わっていないかの三点です。内容に誤りがあるときは、増減変更の申立てをすることができ、捜査官はその申立てを調書に記載しなければならないとされています。訂正に応じてもらえない場合、署名押印を拒むこともできます。署名は義務ではありませんので、納得できないまま応じる必要はありません。

弁護人と家族が確認できること

弁護人は接見の際に、取調べで何を聞かれ、どう答えたのかを本人から聴き取り、その内容と、後に開示される調書の記載とを照らし合わせます。ここで食い違いが見つかれば、通訳の正確性を争点として主張することが可能になります。また、接見の場で本人の話し方や語彙を直接確認することで、取調べの通訳人が本人の言葉を十分に理解できているかを推し量ることもできます。ご家族には、本人が普段どの地域の言葉を使うか、日本語をどの程度理解できるか、聴力や識字に不安がないかといった情報を、早い段階で弁護人にお知らせいただくようお願いしています。

よくあるご質問

通訳の内容がおかしいと感じたらどうすればよいですか

その場で申し出ることが原則です。理解できていない、訳が違うと感じると述べて構いません。遠慮して進めると、後から争うことが難しくなります。取調べ後の接見で弁護人にも必ず伝えてください。状況によっては通訳人の変更を求めることも検討します。記録に残す方法も検討します。

調書に署名しないと不利になりますか

署名は義務ではなく、拒んだこと自体が有罪の根拠になるものではありません。むしろ、内容に誤りがある調書に署名する方が、後の防御を困難にします。ただし判断は事案によりますので、方針は事前に弁護人と決めておいてください。署名の可否はその場で決めず、方針に従ってください。

日本語が少し分かる場合、通訳は付きませんか

日常会話ができることと、取調べの内容を正確に理解できることは別の問題です。法律用語や微妙な言い回しを含む場面では通訳が必要です。少し分かるからと通訳なしで進められそうな場合は、通訳を求める旨をはっきり述べてください。通訳を求めることは正当な申出です。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。

当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。

これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。

  • 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
  • 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。
  • 覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の分析と被告人質問・反対尋問を尽くし、無罪判決を獲得した事例。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

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