当番弁護士・国選弁護人・私選弁護人の違い 外国人の刑事事件でどう選ぶか
2026/08/13
日本の刑事手続では、弁護人を得る経路が複数用意されています。逮捕直後に一度だけ無料で相談できる当番弁護士、一定の要件のもとで国が費用を負担する国選弁護人、そして本人やご家族が自ら依頼する私選弁護人です。それぞれ、利用できる時期、費用、活動の範囲が異なります。外国籍の方の事件では、通訳の体制と入管手続への対応力という、日本人の事件にはない選択の視点も加わります。本稿では、三つの制度の違いを整理し、選択にあたって確認すべき点を示します。
本記事の要点
- 当番弁護士は逮捕直後から利用でき、初回の接見は無料ですが、継続的な弁護活動は別の契約が必要です。
- 被疑者国選は勾留された後に利用でき、資力に関する要件が定められています。
- 私選弁護人は逮捕前や在宅事件の段階からでも依頼でき、弁護人を選ぶことができます。
- 外国人事件では、通訳体制と入管手続への対応可否が実務上の分かれ目になります。
当番弁護士とはどのような制度ですか
当番弁護士は、逮捕された方が弁護士会に依頼することで、原則として一度、無料で弁護士の接見を受けられる制度です。本人が警察官に希望を伝えるほか、ご家族から弁護士会に連絡して派遣を求めることもできます。逮捕直後という最も情報が乏しい時期に、権利の内容と手続の見通しを聞ける点に大きな意味があります。もっとも、当番弁護士はその一回の接見をもって役割を終えるのが原則で、その後も弁護活動を続けるには、私選での選任か、国選の要件を満たす場合の選任が必要になります。接見に来た弁護士にそのまま依頼することもできますが、依頼する義務はありません。
国選弁護人はいつから利用できますか
被疑者に対する国選弁護は、勾留された後に請求することができ、資力が一定の基準に満たないことが要件とされています。したがって、逮捕から勾留決定までの最初の72時間は、国選の対象外です。この期間をどう使うかが処分に影響することを考えると、この空白は小さくありません。また、国選弁護人は裁判所が選任するため、本人や家族が弁護士を選ぶことはできず、交代を求めることも原則としてできません。起訴された後は被告人に対する国選弁護の制度があり、要件を満たせば選任されます。費用の負担については、判決で訴訟費用の負担を命じられる場合があります。
私選弁護人にはどのような特徴がありますか
私選弁護人は、逮捕前の任意捜査の段階、在宅事件の段階、そして逮捕直後の72時間を含め、時期を問わず依頼できます。弁護士を選べることも重要で、取り扱う分野の経験、対応できる言語、連絡の取りやすさを踏まえて選択できます。費用は契約により定まりますので、着手金と報酬の基準、実費の範囲、接見の頻度について、依頼前に確認してください。外国籍の方の事件では、刑事処分の後に入管手続が続くことが多いため、刑事事件の終了とともに関係が終わるのか、入管手続まで一貫して対応するのかを、契約の段階で明確にしておくことが有益です。
外国人の事件で弁護人を選ぶときの視点
第一に、通訳の体制です。接見のたびに通訳を確保できるのか、事務所内で中国語による意思疎通が可能なのかによって、打合せの密度が変わります。第二に、入管法の知識です。刑事処分の選択が在留にどう跳ね返るのかを踏まえて方針を立てられるかどうかは、結果を大きく左右します。罰金で早期に終わらせることが有利に見えても、罪名によっては在留を失う場合があるためです。第三に、退去強制手続に進んだ場合の対応です。在留特別許可の申立てや監理措置の準備まで見通せる体制があるかを確認してください。第四に、ご家族への説明を、ご家族の言語で受けられるかどうかも実際上重要です。
よくあるご質問
当番弁護士にそのまま依頼しなければいけませんか
その必要はありません。当番弁護士の接見を受けたうえで、別の弁護士に私選で依頼することもできます。接見の際に、事件の見通しや今後の進め方を聞き、判断材料としてください。断ることで不利益な扱いを受けることはありません。複数の弁護士の意見を聞いてから決めることもできます。
国選弁護人を私選に変えることはできますか
私選の弁護人を選任すれば、国選弁護人の選任は取り消される取扱いとなります。時期や手続については裁判所への届出が必要ですので、切り替えを検討される場合は、依頼予定の弁護士に早めに相談してください。費用の見通しも併せて確認することをお勧めします。
弁護士費用はどのくらいかかりますか
事件の内容、身柄の有無、争うかどうか、通訳の要否によって幅があり、一律の金額を申し上げることはできません。依頼の前に、着手金と報酬の基準、実費の範囲、追加費用が生じる場面について、書面で確認しておくことをお勧めします。入管手続まで含む契約かどうかも確認してください。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。
当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。
これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。
- 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
- 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。
- 覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の分析と被告人質問・反対尋問を尽くし、無罪判決を獲得した事例。
本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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