舟渡国際法律事務所

従業員が逮捕されたとき会社がすべき対応 解雇の可否・入管への届出・不法就労助長のリスク

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従業員が逮捕されたとき会社がすべき対応 解雇の可否・入管への届出・不法就労助長のリスク

従業員が逮捕されたとき会社がすべき対応 解雇の可否・入管への届出・不法就労助長のリスク

2026/08/13

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外国籍の従業員が逮捕されたという連絡は、多くの場合、警察からではなく本人の家族や同僚を通じて会社に届きます。会社としては、事実関係が分からないまま、雇用をどうするか、入管への届出はどうするか、他の従業員にどう説明するかを短期間で判断しなければなりません。判断を誤ると、本人の在留資格を失わせるだけでなく、会社自身が不法就労助長罪等の責任を問われる可能性もあります。本稿では、会社が取るべき対応を、労務、入管法上の義務、そして本人の防御への協力という三つの観点から整理します。

本記事の要点

  • 起訴前の段階で解雇を急ぐことは、本人の在留にも会社の法的立場にも不利に働くことがあります。
  • 雇用契約に変更が生じた場合、入管法19条の17に基づく所属機関の届出義務が問題となります。
  • 本人の活動が3か月以上行われない状態が続くと、入管法22条の4による在留資格取消しの対象となり得ます。
  • 在留資格の範囲外の業務に従事させていた場合、会社側に入管法73条の2の不法就労助長罪の問題が生じます。

会社は本人と面会し、事実関係を確認できますか

会社の担当者が本人と直接面会できるのは、原則として勾留決定後であり、それも接見等禁止決定が付されていない場合に限られます。したがって、事実関係の確認は弁護人を経由するのが現実的です。ここで注意していただきたいのは、会社が独自に社内調査を進め、同僚から事情を聴取して報告書にまとめる作業が、事案によっては口裏合わせや証拠の作出と疑われる契機になり得ることです。特に、本人が担当していた業務の記録、入退室の履歴、パソコンのデータについては、通常の業務上の保存ルールに従って保全し、削除や上書きが起きないようにしてください。捜査機関から任意提出を求められた場合の対応も、あらかじめ社内で決めておくと混乱を避けられます。

起訴前の段階で解雇してよいのでしょうか

結論として、逮捕の一報のみを理由に直ちに解雇することは、慎重に考えるべきです。逮捕は嫌疑に基づく身柄拘束にすぎず、有罪の確定を意味しません。就業規則の懲戒事由に該当するかどうかは、事実の確認を経て判断する必要があり、確認前の解雇は労働紛争の火種になります。加えて、在留の観点からは、雇用が失われること自体が本人にとって決定的な不利益となります。別表第一の就労資格は所属機関での活動を前提としますので、退職すれば在留資格該当性が問題となり、入管法22条の4第1項に定める、活動を3か月以上行っていないことを理由とする在留資格の取消しが視野に入ります。休職や自宅待機といった中間的な選択肢の検討をお勧めします。

入管法上、会社にはどのような届出義務とリスクがありますか

中長期在留者を受け入れる機関には、入管法19条の17に基づく届出が求められる場合があり、雇用の終了はその典型です。届出の要否と期限を確認しないまま処理すると、後に説明を求められることになります。より重いのは、在留資格で認められた範囲を超える業務に従事させていた場合です。この場合、本人には入管法19条違反と資格外活動の問題が生じ、会社には入管法73条の2の不法就労助長罪が問題となります。同罪は、事実を知らなかったことに過失がある場合にも成立し得るとされている点に注意が必要です。今回の逮捕を機に、在留カードの記載と実際の業務内容、労働時間の管理が一致しているかを、全従業員について点検することをお勧めします。

本人の不起訴と在留維持のために会社ができること

会社の協力は、起訴前の弁護活動において具体的な力を持ちます。第一に、雇用を継続する意向がある場合、その旨を記載した書面は、勾留の必要性を争う場面でも、検察官に対して起訴猶予を求める場面でも、有力な資料となります。第二に、上司や同僚による指導監督の体制、勤務態度に関する評価、再発防止のための配置転換の計画は、身元引受の実効性を裏づけます。第三に、被害弁償の原資について、給与の前払いや貸付けが可能であれば、示談の成立時期を早めることができます。不起訴処分を得られれば有罪判決が存在しないことになり、退去強制事由の多くを回避できますので、会社の協力は本人の在留にとって直接の意味を持ちます。

よくあるご質問

逮捕された従業員の給与は支払う必要がありますか

身柄拘束により労務の提供がない期間について、賃金請求権が発生するかは契約と就業規則の定めによります。無給の欠勤として扱う例が多い一方、年次有給休暇の取得を認める例もあります。処理の方針を先に決め、本人または弁護人に伝えておくと、後の紛争を防げます。

他の従業員や取引先にどこまで説明すべきですか

確定していない事実を伝えることは避け、業務の引継ぎに必要な範囲にとどめるのが原則です。逮捕の事実や罪名を広く共有すると、名誉に関わる問題が生じ得ますし、後に不起訴となった場合の回復も困難になります。社内外への説明文言は、担当者を一人に絞ったうえで、弁護人と内容を確認して統一しておくことをお勧めします。

不起訴になれば、そのまま働き続けられますか

不起訴であれば有罪判決が存在しないため、判決を要件とする退去強制事由には該当しません。ただし在留期間の更新審査では素行が考慮されますので、雇用継続の意向書や勤務状況の資料を整えておくことが有益です。なお、資格外活動や届出の履行状況は刑事処分とは別に判断されますので、別途の検討を要します。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。

当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。

これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。

  • 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
  • 在留資格を失って不法残留で逮捕・起訴された依頼者について、婚姻と認知の手続を実現させたうえで、公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な証拠を収集し、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例。
  • 覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の分析と被告人質問・反対尋問を尽くし、無罪判決を獲得した事例。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


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