舟渡国際法律事務所

危険ドラッグ(指定薬物)は入管法24条4号チに当たらない|射程の限界と、別に残るリスク

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危険ドラッグ(指定薬物)は入管法24条4号チに当たらない|射程の限界と、別に残るリスク

危険ドラッグ(指定薬物)は入管法24条4号チに当たらない|射程の限界と、別に残るリスク

2026/08/13

いわゆる危険ドラッグ、法律上の呼び名でいえば指定薬物に関する事件は、外国人の在留という観点から見ると、大麻や覚醒剤の事件とは条文の当てはまり方が異なります。結論から申し上げますと、指定薬物は入管法24条4号チが列挙する法令に含まれておりません。もっとも、これは「在留に影響がない」という意味ではなく、影響の経路が別のところにある、という意味です。どこまでが射程の外で、どこからが依然としてリスクなのか。この線引きを正確に把握しておくことは、方針を立てるうえで実務的な価値を持ちます。

本記事の要点

  • 指定薬物は医薬品医療機器等法により規制されており、麻向法・覚醒剤取締法等ではないため、入管法24条4号チの列挙法令に含まれません。
  • 単純所持・購入・譲受け・使用は同法84条28号により3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、又はこれらの併科です。
  • 1年を超える実刑となれば、入管法24条4号リによる退去強制事由が別途問題となります。
  • 在留期間の更新・変更の審査における素行の評価では、当然に不利に働きます。
  • 成分の鑑定結果によっては、麻向法上の麻薬として立件され、4号チの土俵に移ることがあります。

指定薬物はどの法律で規制されているのですか

医薬品医療機器等法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)です。同法76条の4が、医療等の用途以外での製造・輸入・販売・授与・所持・購入・譲受け・使用を禁止しています。

罰則は行為の態様によって分かれます。単純な所持・購入・譲受け・使用は同法84条28号により3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、又はこれらの併科です。業として製造・輸入・販売等を行った場合は83条の9により5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金、又はこれらの併科となります。

他方、大麻は令和6年12月12日以降、麻薬及び向精神薬取締法上の麻薬として規律されており、単純所持は同法66条1項の7年以下の拘禁刑です。覚醒剤の所持・譲渡し・譲受けは覚醒剤取締法41条の2第1項により10年以下の拘禁刑です。指定薬物の法定刑は、これらと比べて相対的に軽く設定されております。

なぜ24条4号チに当たらないのですか

同号が対象法令を限定列挙しているからです。入管法24条4号チが挙げているのは、麻薬及び向精神薬取締法、大麻草の栽培の規制に関する法律、あへん法、覚醒剤取締法、麻薬特例法、そして刑法第2編第14章(あへん煙に関する罪)の六つです。

医薬品医療機器等法は、この列挙のいずれにも含まれておりません。したがって、指定薬物の罪で有罪判決を受けたとしても、それだけで4号チに該当することはございません。列挙されている六つの法令については、有罪の判決を受けた事実のみで退去強制事由が生じ、罰金であっても執行猶予付きであっても結論が変わらないという厳しい規律が働きますので、この差は小さくありません。

では、在留は安全だと考えてよいのでしょうか

そのように考えることはできません。影響の経路が別に二つ残っております。

第一に、24条4号リです。同号は、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としています。ただし、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者、および一部猶予で執行が猶予されなかった部分が1年以下の者は除かれます。指定薬物の事件で1年を超える実刑となる場面は限られますが、他の罪と併合された場合などには、現実的な問題として浮上いたします。

第二に、在留期間の更新・変更の審査です。別表第一の在留資格は期間が限られており、更新のたびに審査を受けます。ここでは素行が善良であることが求められますので、薬物関係の処分歴は不利な事情として評価されえます。退去強制事由に該当しなくても、更新が認められなければ、在留期間の満了とともに在留の基礎を失うことになります。指定薬物の事案は、まさにこの経路に落ちやすい類型といえます。

成分の鑑定によって結論が変わることがあります

押収された物の成分がどう認定されるかによって、適用法令そのものが移動する場合がございます。

販売の現場で危険ドラッグと呼ばれていた製品から、麻薬として指定されている成分が検出されれば、医薬品医療機器等法ではなく麻薬及び向精神薬取締法の問題となります。その場合には、有罪判決を受けた時点で24条4号チが作動いたします。逆に、成分が指定薬物にとどまるのであれば、4号チの列挙外にとどまります。

不起訴を最優先に据える理由

有罪判決という事実そのものが、外国人にとっては在留の問題に転化しうる以上、弁護活動の目標は、起訴前段階における不起訴処分の獲得に置かれるべきだと考えております。

公判で執行猶予を得ることは、日本人の依頼者にとっては十分な成果となりえます。しかし薬物事犯では、24条4号チに但書がないため、外国人の依頼者にとっては到達点になりません。指定薬物の事案であっても、更新審査の素行評価という経路が残る以上、事情は共通いたします。入管法の枠組みを踏まえずに方針を立てた結果、刑事の結論は穏当でも在留を失うという場面は、現に存在いたします。

起訴前の段階では、被疑事実の成否そのもの、押収手続の適法性、常習性のないこと、生活・就労の基盤、再発防止のための具体的な体制などを、処分を決める検察官に対して的確に示していく作業が中心となります。

当事務所の体制について

舟渡国際法律事務所は東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階にございます。松村大介弁護士が、初回の接見から公判の結審まで全工程を直接担当し、事務員や若手弁護士による代行は行っておりません。

中国語については、外国人事件に精通した専属通訳が常駐しております。捜査機関が指定する通訳とは別に、ご本人の側に立つ通訳を刑事手続の全般で利用していただけます。英語・ベトナム語・韓国語等につきましては、事案に応じて通訳人を手配いたします。

これまでにお受けした事案から

特殊詐欺の出し子とされた20代の女性について、主観的事情を総合的に主張し、不起訴処分を獲得した事案がございます(B-1)。認識の内容を丁寧に立証していく作業は、薬物・指定薬物の事案にも通じるものです。

特殊詐欺の受け子として複数回にわたり再逮捕された事案において、取調べへの対応、不当な取調べに対する抗議、主張立証を積み重ね、全件について不起訴を獲得した事案もございます(B-2)。

指定薬物の事件は、入管法24条4号チの射程の外にあります。この一点は、方針を立てるうえで確かな足がかりとなります。もっとも、4号リと更新審査という別の経路が残り、成分の認定次第では土俵そのものが移ることもございます。楽観も悲観もせず、適用法令を確定させるところから始めることをお勧めいたします。本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


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