舟渡国際法律事務所

不起訴を求める弁護活動の実際|検察官面談と意見書で何を伝えるのか

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不起訴を求める弁護活動の実際|検察官面談と意見書で何を伝えるのか

不起訴を求める弁護活動の実際|検察官面談と意見書で何を伝えるのか

2026/08/13

勾留が続く中で、弁護人はいったい何をしているのか。ご本人からも、外で待つご家族からも、しばしばいただくお尋ねでございます。外からは動きが見えにくいのですが、処分が決まるまでの期間こそ、弁護活動の密度が最も高くなる局面でございます。とりわけ外国人の薬物事件では、有罪判決を受けた事実そのものが在留を左右いたしますから、起訴されるかどうかの一点に力を注ぎます。本稿では、検察官との面談や不起訴を求める意見書の中身をご説明いたします。

本記事の要点

  • 処分決定の前に、弁護人は検察官に対して不起訴を求める意見書を提出し、必要に応じて面談の機会を求めます。
  • 意見書は、犯情に関する主張、一般情状に関する主張、そして在留への影響という三つの層で構成いたします。
  • 薬物事件では有罪判決が入管法24条4号チの退去強制事由に直結するため、その重大性を条文に即して示すことに意味があります。
  • 身元引受け、監督体制、医療機関の受診、就労や就学の継続に関する資料が、主張を支える柱となります。
  • 資料は早く出せばよいというものではなく、事実関係の確認を経たうえで整えることが大切です。

処分が決まる前に、弁護人は何をしているのですか

端的に申し上げれば、検察官が起訴するかどうかを判断するために必要な材料を、こちらから揃えて届けております。捜査機関の手元には、通常、不利な方向の証拠が集まりやすい構造がございます。有利な事情は、意識的に収集して提示しない限り、判断の場に現れません。

具体的には、ご本人からの聴取を重ねて事実関係を固め、必要な資料を関係者から集め、それらを踏まえた意見書を作成いたします。そのうえで担当の検察官に連絡を取り、書面を提出するとともに、事案によっては直接お会いして説明の機会を求めます。勾留の期間には限りがありますから、逆算して作業の順序を組み立てることになります。

不起訴意見書には、どのようなことを書くのですか

構成としては、三つの層で組み立てております。第一に犯情、すなわち事件そのものの評価に関する主張。第二に一般情状、すなわちご本人の生活状況や事件後の事情に関する主張。第三に、在留への影響でございます。

第一の層では、そもそも構成要件に該当するのか、所持の認識があったといえるのか、証拠がどのように収集されたのかを検討いたします。争える点があるならば、情状の主張に流れ込む前に、この段階で正面から論じます。第二の層では、生活の基盤、家族関係、就労や就学の実情、事件後に取られた措置を具体的に描きます。抽象的に反省を述べても届きません。誰が、いつ、何をしたのかを資料とともに示すことが必要です。

  • 犯情:構成要件該当性、故意の有無、態様、数量、共犯関係、収集手続の適法性
  • 一般情状:生活基盤、家族関係、就労・就学、被害の有無、再乱用防止の取組み
  • 在留への影響:入管法24条4号チの構造と、有罪判決がもたらす帰結

在留資格を失うことは、処分の判断に関係するのでしょうか

関係し得ると考えており、当事務所では主張の柱の一つに据えております。日本人の被告人であれば、執行猶予付きの判決を受けても社会の中で生活を続けられます。ところが外国人の場合、入管法24条4号チにより、薬物関係法令に違反して有罪の判決を受けた事実そのものが退去強制事由となります。刑種にも刑期にも限定がなく、罰金でも刑の免除でも執行猶予付きでも同じ扱いです。

しかも、執行猶予による除外が置かれているのは同条4号リの但書であり、同号は、ニからチまでに掲げる者のほか、と規定しております。薬物事犯は初めからその外側にあり、但書は届きません。つまり、公判での執行猶予は在留の観点では到達点になり得ないのです。この構造を踏まえれば、外国人の薬物事件における弁護活動は、起訴前の不起訴処分の獲得を最優先の目標として組み立てなければならないという結論になります。

担当の検察官が入管法の条文構造を常に踏まえているとは限りません。だからこそ、条文を引用しつつ、この方にとって起訴が何を意味するのかを具体的に伝えることに、実務的な意味がございます。処分裁量に働きかける材料の一つとして、正面から述べる価値があると考えております。

どのような資料を揃えるのですか

事案によりますが、共通して重視しているものを挙げてまいります。いずれも、作文ではなく事実の裏づけとして機能することが肝要です。

資料の収集にあたっては、ご家族や勤務先の方にご協力をお願いすることが多くございます。その際、事件の内容をどこまでどのように説明するかは慎重に検討いたします。ご本人の名誉や職場での立場に関わる問題ですから、必要な範囲を見極めながら進めてまいります。

  • 身元引受書と、引受人の生活状況・監督方法を具体的に記した書面
  • 医療機関の受診記録や、依存が疑われる場合の治療計画
  • 勤務先の雇用継続に関する書面、就学先の在籍に関する書類
  • 家族構成、扶養の実情、送金の記録など生活の実態を示す資料
  • 本人の反省の内容を、具体的な事実に即して記した書面

検察官面談で心がけていること

面談は、こちらの言い分を一方的に述べる場ではないと考えております。捜査側がどこを問題視しているのかを把握し、その懸念に応える材料があるかを確かめる場でもございます。懸念が具体的に分かれば、追加で提出すべき資料も定まってまいります。

また、事実関係について争いがある事案では、情状の主張と混ぜないよう注意しております。認めていないのに反省の書面ばかりを提出すれば、主張の一貫性が損なわれかねません。何を争い、何を認めるのか。この整理を早い段階で済ませておくことが、結果として説得力を高めます。もっとも、処分の見通しについて確約が得られる場ではございませんので、期待の持たせ方には慎重でありたいと考えております。

当事務所の体制について

舟渡国際法律事務所では、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当しております。意見書の起案も、検察官との折衝も、同じ弁護士が行います。事件の細部を把握していない者が交渉に立てば、相手方の懸念に即応することができないためです。

中国語については、外国人事件に精通した専属通訳が常駐しております。捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を刑事手続の全般でご利用いただけますので、事実関係の聴取や意見書のための確認も、細かなニュアンスまで詰めることができます。中国語以外の言語につきましては、事案に応じて通訳人を手配いたします。刑事手続の終了後に必要となる在留資格の更新や変更については、提携の行政書士とともに対応いたします。

これまでにお受けした事案から

特殊詐欺のいわゆる出し子とされた20代の女性の事案では、行為に至った経緯と本人の主観的な事情を総合的に主張し、不起訴処分を獲得いたしました。外形的な行為だけを見れば厳しい事案でも、認識の内実を丁寧に描くことで判断が変わり得ることを示す例でございます。

受け子とされて複数回にわたり再逮捕された事案では、取調べへの対応と不当な取調べに対する抗議を重ね、全件について不起訴処分を得ております。また、在留資格を失って逮捕・起訴された相談者について、当局との交渉により婚姻と認知を成立させ、過去の許可事例の分析により一度の申請で在留特別許可を獲得した事案もございます。

処分が決まるまでの数週間は、外から見れば静かな時間かもしれません。しかし実際には、そこで積んだ資料と交わした言葉が、その後のすべてを形づくります。できることから、順に整えてまいりましょう。なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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