情報公開請求を用いた入管事件の準備
2026/08/12
入管事件の準備を進める中で、入管庁が公表している統計や資料をどのように活用すればよいのか、疑問を持たれる方は少なくありません。監理措置や在留特別許可に関する主張を組み立てる際には、個別の事情の説明だけでなく、公表されている客観的な情報を土台とすることで、主張に説得力を持たせることができます。本稿では、情報公開請求や公表資料の活用が入管事件の準備にどのように役立ち得るのか、公表されている統計の具体的な内容にも触れながらご紹介いたします。
本記事の要点
- 出入国在留管理庁は運用状況に関する統計を公表しており、主張の背景事情として活用できます。
- 公表されている統計には、監理措置決定件数や仮放免件数、監理人の属性などが含まれています。
- 入管庁公表事例の年度横断的な分析という手法は、在留特別許可の主張を組み立てる際にも役立ちます。
- 公開情報の活用はあくまで主張を補強する手段であり、個別事案の疎明資料に代わるものではありません。
なぜ公開情報の活用が入管事件の準備に役立つのですか
入管事件では、個別の事案に固有の事情を丁寧に主張することが基本ですが、それだけでは、制度全体の中で自分の事案がどのように位置づけられるのかが見えにくいことがあります。出入国在留管理庁は、令和5年改正入管法の運用状況として、監理措置決定件数や仮放免件数、監理人の属性、収容の必要性に関する見直しの実施状況などを公表しています。こうした客観的な統計資料を確認することで、制度が実際にどのように運用されているのかという背景を踏まえたうえで、自分の事案における主張を組み立てることが可能になります。個別の疎明資料と公表資料とを組み合わせることで、主張全体に厚みを持たせることができます。日頃から公表資料の更新状況を把握しておくことも有益です。この点は、事案ごとの個別事情が特に色濃く表れる部分でもあります。早い段階からこうした点を意識しておくことで、後の手続もスムーズに進みやすくなります。
公表されている運用統計にはどのようなものがありますか
出入国在留管理庁が公表している運用状況によれば、令和6年6月10日の施行から令和6年末までの間に、監理措置決定は退令発付前647件、退令発付後476件の合計1,123件、仮放免は退令発付前42件、退令発付後85件の合計127件となっています。また、監理人の属性としては9割以上が被監理者の親族・知人であること、収容の必要性の3か月ごとの見直しに関する報告が128件あり、そのうち監理措置決定を命じた件数が10件であることなども公表されています。これらの統計は、監理措置という制度が実際にどの程度活用されているのかを把握するための重要な手がかりとなります。最新の統計が公表された際には、あわせて確認する習慣を持つとよいでしょう。細部の違いが結果に影響することもあるため、慎重な検討が求められます。実務上は、こうした準備を怠らないことが望ましいといえます。
情報公開請求はどのような場面で検討されますか
公表資料だけでは把握できない、より詳細な情報を得たいと考える場面では、情報公開請求という手段が検討されることがあります。もっとも、その具体的な手続や対象となる情報の範囲、開示までの期間などについては、facts.mdに記載のない詳細に立ち入ることを避け、本稿では紹介にとどめます。情報公開請求は、入管庁公表事例の年度横断的な分析や、在留特別許可に向けた主張を補強するための手段の一つとして位置づけられるものであり、事案の見通しを立てるうえで有用な選択肢となり得ます。具体的な活用方法については、専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。具体的な進め方については、事案の性質に応じて柔軟に検討する必要があります。こうした視点を欠くと、後になって思わぬ支障が生じることもあります。この点は、事案ごとの個別事情が特に色濃く表れる部分でもあります。
当事務所のご案内
本稿で扱った問題について具体的なご不安をお持ちの方は、当事務所へお問い合わせいただけます。当事務所は、外国人の方の刑事事件と入管手続を一体のものとして扱ってまいりました。
不法就労助長罪の認定を受けた事案において、前例のない在留特別許可を獲得した実績がございます。退去強制事由の判断に責任主義の射程が及ぶかという論点を、実務上正面から提起した事案でございました。
警察の警告処分をめぐる控訴事件において、警察側の主張を全面的に排斥する判決を獲得しております。行政処分に対する司法審査の在り方を問う訴訟を得意としております。
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※ 上記の解決事例はいずれも個別の事情を前提とするものであり、同じ結果をお約束するものではございません。
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おわりに
公開されている統計や資料の活用は、個別の疎明資料を補強し、主張に客観的な裏付けを与えるための有効な手段の一つです。もっとも、それ自体が個別事案の結論を決めるものではない点にはご留意ください。制度の全体像を把握したうえで、自分の事案に合った活用方法を検討することが大切です。本記事は一般的な解説であり、個別のご事情については弁護士に直接ご相談ください。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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