病院や裁判所に行くため都道府県の外に出たいとき
2026/08/12
監理措置の下で生活しておられる方の中には、専門的な治療を受けるために遠方の病院を受診したい、あるいは裁判所への出頭が必要になったといった事情から、指定された都道府県の外に出たいと考える場面が生じることがあります。行動範囲は原則として指定住居の都道府県内に限られているため、無断で越境すると条件違反にあたるおそれがあります。本記事では、こうした場合に必要となる行動範囲拡大許可申請の概要をご説明いたします。
本記事の要点
- 監理措置の行動範囲は、原則として指定住居の属する都道府県の区域内に限られています。
- 都道府県外の病院受診や裁判所出頭のためには、行動範囲拡大許可申請が必要です。
- 申請は被監理者と監理人が連名で行い、窓口への提出に限られます。
- 未成年者や在学者等については、行動範囲の例外が認められる場合があります。
なぜ都道府県をまたぐ移動に許可が必要なのですか
監理措置は、収容しないで退去強制手続を進めるための措置であり、逃亡を防止する仕組みとして複数の条件が付されています。その一つが行動範囲の制限であり、原則として指定された住居の属する都道府県の区域内に限定されます。これは、身柄を収容しない代わりに、生活圏を一定の範囲にとどめることで所在を把握しやすくするための仕組みと理解されます。したがって、専門病院への通院や裁判所への出頭など正当な理由があったとしても、事前の許可なく都道府県の外に出れば、行動範囲という条件への違反として扱われるおそれがあります。もっとも、未成年者や在学者等については例外が認められる場合がありますので、該当するかどうかは所轄の官署にご確認いただくのがよいでしょう。
行動範囲拡大許可申請はどのように行いますか
都道府県外への外出を希望する場合には、行動範囲拡大許可申請を行う必要があります。この申請は指定住居変更許可申請と同様に、被監理者お一人ではなく監理人との連名で提出することが求められており、単独での申告は認められていません。提出先は監理措置に関する事務を担当する地方出入国在留管理官署であり、申請方法は窓口への持参に限られ、郵送による提出は認められていません。通院や出頭の予定が判明した時点で、余裕をもって監理人と相談し、必要な準備を進めることが望まれます。
許可を得ずに都道府県外へ出てしまった場合はどうなりますか
やむを得ない事情があったとしても、許可を得ずに指定された行動範囲の外に出た場合、条件違反として扱われる可能性があります。条件違反は監理措置決定の裁量的取消事由の一つとされており、取消しがなされれば収容という結果につながりかねません。緊急の受診が必要になった場合など、事前の許可申請が間に合わない事情が生じることも考えられますが、その際はできるだけ早く監理人や所轄の官署に事情を伝え、指示を仰ぐことが望ましいといえます。
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おわりに
通院や裁判手続は生活上避けられない場面であり、監理措置の下にあるからといって権利行使を諦める必要はありません。ただし、行動範囲という条件がある以上、事前の許可申請という手順を踏むことが身柄の安定につながります。予定が分かり次第、早めに監理人と相談されることをお勧めいたします。本記事は一般的な解説であり、個別のご事情については弁護士に直接ご相談ください。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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