監理措置中に医療機関にかかりたいとき
2026/08/12
体調を崩したとき、監理措置中であっても医療機関を受診すること自体は制度上妨げられていません。もっとも、被監理者は原則として健康保険の対象とならないため、受診にあたっては費用や手続きの面でどう備えればよいのか、不安を感じるご本人・ご家族も多いのではないでしょうか。加えて、指定された住居の属する都道府県の外にある病院にかかりたい場合には、行動範囲との関係も気になるところです。本記事では、監理措置中の受診をめぐって押さえておきたい制度上のポイントを整理いたします。
本記事の要点
- 監理措置中であっても、医療機関を受診すること自体を禁止する規律は設けられていません。
- 被監理者は原則として健康保険の対象とならず、受診にあたっては費用面での備えが必要です。
- 行動範囲は原則として指定住居の属する都道府県の区域内に限られ、例外もあります。
- 監理人には生活状況を把握し、相談に応じて援助に努める責務が定められています。
監理措置中でも病院にかかることはできるのでしょうか
監理措置の条件として課されるのは、住居の指定や行動範囲の制限、呼出しへの出頭義務、その他逃亡を防止するために必要な条件などであり、医療機関の受診自体を制限する規律は設けられていません。したがって、体調不良や急な病気があれば、これまでと同様に受診すること自体は可能と考えられます。もっとも、行動範囲は原則として指定住居の属する都道府県の区域内に限られていますので、遠方の病院を受診する必要がある場合には、行動範囲との関係が問題になり得ます。個別の事情によって扱いが異なる部分もありますので、具体的な受診先や事情については、所轄の地方出入国在留管理官署にご確認いただくことをお勧めいたします。
医療費についてはどのように備えればよいのでしょうか
被監理者は、生活保護の対象とならないのに加え、健康保険についても原則として与えられません。この点は、関東弁護士会連合会が制度上の課題として指摘しているところでもあります。そのため、医療費は基本的に自己負担となる場面が想定され、受診の前に費用の見通しを立てておくことが重要になります。就労許可を受けて報酬を得ている場合には、その収入から医療費を工面することも考えられますが、収入がない場合には、監理人や親族からの援助、支援団体による支援を頼らざるを得ないこともあります。持病がある場合や継続的な通院が見込まれる場合には、早めに監理人へ相談しておくことが望ましいといえます。
行動範囲を超えて受診する必要がある場合はどうすればよいですか
指定された都道府県の区域を越えて医療機関を受診する必要がある場合には、行動範囲の拡大許可申請を検討することになります。この申請は被監理者と監理人の連名で行うものとされています。専門的な治療のために特定の病院を受診する必要があるなど、合理的な理由がある場合には、その事情を具体的に説明できるよう準備しておくことが大切です。なお、未成年者や在学者等については行動範囲の制限に例外が設けられている場合もありますので、お子さんの通院など個別の事情がある場合には、その点も含めて確認しておく必要があります。手続きの進め方については、監理人と相談しながら、必要に応じて弁護士のサポートを受けることをお勧めいたします。
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おわりに
監理措置中であっても、受診の必要が生じたときにためらう必要はありません。ただし、健康保険が原則として与えられない点や行動範囲の制限には注意が必要です。事前に監理人や専門家に相談し、備えておくことが安心につながります。本記事は一般的な解説であり、個別のご事情については弁護士に直接ご相談ください。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
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