監理措置決定はどのような場合に取り消されますか
2026/08/12
「監理措置を受けて社会内で生活できるようになったが、どのようなことをすれば取り消されてしまうのか」という不安の声を、被監理者ご本人やご家族からよくうかがいます。監理措置決定の取消しには、必ず取り消される場合と、主任審査官の裁量で取り消される場合の二種類があります。この記事では、取消事由の構造と、退去強制令書発付による当然の失効について整理いたします。
本記事の要点
- 取消事由には必ず取り消される必要的取消事由と裁量的取消事由がある
- 保証金の未納付や新たな監理人がいないことは必要的取消事由である
- 逃亡や条件違反、不法就労等は主任審査官の裁量による取消事由である
- 退令前の監理措置は退去強制令書の発付により当然に失効する
必ず取り消される場合とはどのようなときですか
入管法44条の4第1項および52条の4第1項は、必要的取消事由として、保証金を納付期限までに納付しないとき、そして新たな監理人がいないときの二つを定めています。これらは主任審査官の裁量が働く余地がなく、要件に該当すれば取消しがなされる点に特徴があります。保証金は主任審査官が必要と認める場合に、300万円を超えない範囲内で個別の事情により決定されるものであり、未成年者については150万円を超えない範囲とされています。監理人が辞任や選定の取消しなどにより不在となった場合には、速やかに新たな監理人を選定できるかどうかが、監理措置を維持できるかどうかの分かれ目になります。
裁量で取り消される場合とはどのようなときですか
これに対して44条の4第2項および52条の4第2項が定める裁量的取消事由には、逃亡し、または逃亡すると疑うに足りる相当の理由があるとき、条件に違反したとき、届出をせず、または虚偽の届出をしたとき、不法就労をしたときが含まれます。これらの事由に該当した場合でも、取り消すかどうかは主任審査官の判断に委ねられており、必ず取り消されるわけではありません。もっとも、監理人には一定の事由が生じた場合に7日以内に届け出る責務があり、被監理者の条件違反等が主任審査官に把握されやすい構造になっている点には注意が必要です。この届出義務が、監理人と被監理者との間の関係に緊張をもたらすことがあります。
退去強制令書が発付されるとどうなりますか
退令前の監理措置には、他の取消事由とは異なる特徴があります。退去強制令書が発付されると、それまでの退令前の監理措置は取消しの手続を経ることなく、法44条の8により当然に失効します。したがって、監理措置を受けて社会内での生活が安定していたとしても、その安定は退去強制令書の発付という手続の進行によって左右されるものであり、失効後は改めて退令後の監理措置を受けられるかどうかが問題となります。身柄の安定が退令の有無に左右されるという構造を理解しておくことは、今後の見通しを立てるうえで重要です。
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松村大介弁護士が初動から終結まで全工程を直接担当し、若手弁護士や事務員による代行は行っておりません。外国人事件専属の中国語通訳も常駐しておりますので、言語の壁により事実関係が正確に伝わらないという事態を避けることができます。
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おわりに
監理措置決定の取消しには必要的なものと裁量的なものがあり、さらに退令の発付による当然失効という制度上の区切りも存在します。ご自身の状況がどの局面にあるのかを把握し、条件違反等に至らないよう慎重に生活を送ることが求められます。本記事は一般的な解説であり、個別のご事情については弁護士に直接ご相談ください。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
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