舟渡国際法律事務所

中国本土からの書類の取り寄せに、どれだけ時間がかかるか|刑事・入管手続で必要になる資料と準備の順序

お問い合わせはこちら

中国本土からの書類の取り寄せに、どれだけ時間がかかるか|刑事・入管手続で必要になる資料と準備の順序

中国本土からの書類の取り寄せに、どれだけ時間がかかるか|刑事・入管手続で必要になる資料と準備の順序

2026/08/07

刑事事件の弁護活動でも、退去強制手続や在留特別許可の申請でも、ご本人と中国本土のご家族との関係を証明する資料が必要になる場面が繰り返し訪れます。婚姻の事実、親子関係、本国での身分関係、本国に帰国した場合の生活基盤の有無。いずれも、日本国内の資料だけでは足りません。そして、この種の書類は、必要になってから手配しても間に合わないことが少なくありません。本稿は、どのような書類が必要になり、どの程度の時間を見込むべきかを、実務の視点から整理するものです。

本記事の要点

  • 勾留期間は最長20日であり、この期間内に本国から書類を取り寄せることは、多くの場合困難です。
  • 公証処の公証書と外交部・領事館の認証を要する書類は、取得に数週間から数か月を要することがあります。
  • 在留特別許可の判断では、家族関係と本邦での生活実態を示す資料が中核となります。
  • 示談金の送金についても、中国の外貨管理上の制約により、想定より時間がかかることがあります。
  • 出頭申告や申請の時期は、書類の準備状況から逆算して決めるべきものです。

どのような書類が必要になるのか

刑事手続の段階では、身元引受人となる方の身分関係を示す資料、ご本人の家族構成や扶養の状況を示す資料が、勾留に対する準抗告や保釈請求の場面で意味を持ちます。日本国内に身寄りのない方の場合、本国のご家族が身元を引き受ける意思を示す書面と、その方の身分を確認できる資料が必要になります。

入管手続の段階では、より広い範囲の資料が求められます。婚姻関係を主張する場合には婚姻の事実を証する資料、子との関係を主張する場合には出生に関する資料、本国に帰国した場合の生活基盤を論じる場合には本国での住居や就労の状況に関する資料が問題となります。在留特別許可の考慮事情は入管法50条5項に明示されており、家族関係、在留の経緯、人道的配慮の必要性といった項目ごとに、対応する資料を揃えていく作業になります。

取得にかかる時間の見込み

中国の公証処が発行する公証書は、申請から発行までに一定の期間を要し、さらに用途によっては外交部又は地方の外事弁公室の認証、在中国日本国大使館・総領事館の認証を重ねる必要があります。手続の各段階に日数を要するため、全体では数週間から数か月に及ぶことがあります。

加えて、日本語への翻訳が必要です。翻訳の正確性は、後に事実関係の主張の前提となるため、機械的な翻訳では足りません。法的な意味を持つ用語については、原文のニュアンスと日本法上の概念との対応関係に注意する必要があります。

これらを合算すると、勾留の20日間で本国から書類を取り寄せて刑事手続に提出することは、多くの事案で現実的ではありません。したがって、刑事段階では日本国内で入手できる資料を優先し、本国の資料は入管手続を見据えて並行して準備する、という順序になります。

送金に関する制約

被害者との示談金を本国のご家族が負担する場合、中国の外貨管理上の制約が問題となることがあります。個人の対外送金には手続上の要件があり、金額や送金理由によっては追加の説明を求められます。示談交渉が整いつつある段階で送金が間に合わず、検察官の処分判断に間に合わなかった、という事態は避けなければなりません。

したがって、示談の見込みが立った時点ではなく、示談交渉を始める時点で、資金の調達経路と所要日数を確認しておくことが実務上重要です。

準備の順序を逆算する

不法残留の状態にある方が自ら出頭を検討される場合、出頭の日程は、書類の準備状況から逆算して決めることになります。出頭後は収容の可能性があり、収容されれば書類の収集も家族との打合せも著しく制約されるからです。婚姻関係の資料、子の就学状況、住民税や国民健康保険の納付状況、雇用主や近隣の方からの上申書、本国の身分関係の資料。これらを揃えたうえで手続に入るのと、揃わないまま入るのとでは、主張できる内容の厚みが変わります。

当事務所は、在留特別許可の主張を組み立てるにあたり、入管法50条5項の考慮事情を逐条的にたどる方式を基本とし、これに入管庁が公表してきた許可事例との対比を重ねます。本件と本質的に類似する事情の事案について過去に許可の実績があるにもかかわらず、本件についてのみ異なる取扱いをすることは合理的な理由を欠く、という主張です。この主張を成り立たせるためには、対比の前提となる事実を資料で裏付けておく必要があります。

翻訳と資料の見せ方

資料は、揃えるだけでは足りません。何を証明するための資料なのかを整理し、時系列と論点に沿って配置する作業が必要です。大量の資料を無秩序に提出しても、審査する側に伝わるとは限りません。

当事務所では、中国語資料の日本語訳を含め、資料の整理と主張への位置付けを弁護士が直接行います。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、ご家族とのやり取り、資料の内容確認も中国語で対応いたします。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077)は、退去強制と在留特別許可を主たる注力分野の一つとしています。

観光目的で来日した相談者が在留資格を喪失し、不法滞在で逮捕・起訴された事案では、婚姻と認知の手続が未了であったため当局から一旦不受理とされたところ、憲法的な観点から当局と交渉して手続を実現させ、国籍国発行の公的書類がほとんど存在しないという困難な状況下で依頼者に有利な証拠を収集し、入管当局の過去の許可事例を分析することにより、在留特別許可を獲得いたしました(事例D-1)。本国の書類が揃わない場合であっても、代替の立証方法を組み立てる余地は残されています。

また、不法就労助長罪に問われた依頼者について、退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする従来の実務そのものを問う訴訟を係争中です(事例D-2)。

おわりに

書類の準備は、地味で時間のかかる作業です。しかし、入管手続における主張の説得力は、この作業の厚みにそのまま比例します。手続を始めてから慌てて集めるのではなく、時間の余裕があるうちに、何が必要かを確定させておくことをお勧めいたします。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京にて中国人の方をサポート

東京を中心に刑事事件の弁護

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。