家族と突然連絡が取れなくなったら|逮捕されているかどうかを確認する方法
2026/08/07
昨日まで普通に連絡が取れていた家族が、ある日を境に電話にもメッセージにも応答しなくなる。職場に問い合わせても出勤していないと言われる。事故なのか、事件なのか、あるいは何か別の事情なのか分からないまま、時間だけが過ぎていく。外国人の刑事事件では、この「何も分からない時間」が最初の関門になります。逮捕された本人は、原則として自由に外部へ連絡することができないからです。本稿は、ご家族の側から居場所を確認するための現実的な手順を整理したものです。
本記事の要点
- 逮捕された本人は電話を自由に使えないため、家族に連絡が来ないこと自体は珍しくありません。
- 逮捕から検察官送致まで48時間、勾留請求までさらに24時間という時間の枠が定まっています。
- 弁護士は、警察署・検察庁への照会や当番弁護士制度の利用により、比較的短時間で所在を確認できる場合があります。
- 接見等禁止が付されている場合、ご家族は面会できませんが、弁護人の接見は制限されません。
- 外国人の場合、刑事手続の後に入管の収容へ移行することがあり、所在の確認先も変わります。
まず考えられる可能性を切り分ける
連絡が取れない原因は一つではありません。事故や急病であれば消防や病院、単なる紛失や機器の故障であれば時間の経過で解決します。他方、警察に身柄を取られている場合、本人からの連絡は事実上期待できません。留置施設では携帯電話を所持できず、外部との電話も原則として認められていないためです。
外国人の方の場合、もう一つの可能性として、入国管理官署による収容があります。不法残留などの入管法違反で身柄を取られた場合、刑事手続を経ずに直接入管の収容場に収容されることもあります。この場合、警察署に問い合わせても該当なしという回答になります。
確認の手順
第一に、最後に本人がいたはずの場所の管轄警察署に問い合わせる方法があります。ただし、捜査上の理由から、家族からの電話照会に対して逮捕の事実を明らかにしない扱いがとられることも少なくありません。回答が得られなかったからといって、逮捕されていないと即断することはできません。
第二に、当番弁護士制度を利用する方法があります。各地の弁護士会が運営する制度で、逮捕された方のもとへ弁護士が一度、無料で接見に行きます。ご家族からの申込みも受け付けられます。弁護士であれば、警察署や検察庁に対して弁護士としての立場で照会でき、本人の所在と身柄の状況を把握できる可能性が高まります。
第三に、時間の経過から推測する方法です。逮捕された場合、48時間以内に検察官に送致され、検察官は24時間以内に勾留を請求するかを判断します。裁判官が勾留を認めれば、原則10日、延長でさらに10日の身柄拘束が続きます。連絡が取れなくなってから3日以上が経過している場合、既に勾留の段階に入っている可能性を前提に動くことになります。
接見等禁止が付いている場合
共犯者がいる事件、否認事件、組織的な背景が疑われる事件では、勾留に併せて接見等禁止決定が付されることがあります。この決定があると、ご家族は本人と面会することも、手紙のやり取りをすることもできません。ご家族にとっては最も不安の大きい状況です。
もっとも、弁護人の接見は憲法34条前段が保障する弁護人依頼権に基づくものであり、接見等禁止の対象外です。弁護人であれば、休日でも夜間でも接見に行くことができ、本人の状況をご家族にお伝えすることができます。この段階で弁護人がいるかどうかは、ご家族が得られる情報の量を根本的に左右します。
外国人事件で特に留意すべきこと
ご本人が中国籍の場合、領事関係に関するウィーン条約36条1項(b)により、要請があれば自国の領事館に身柄拘束の事実が通報され、領事による接見が認められます。捜査機関にはこの権利を遅滞なく告知する義務がありますが、実務上は告知が遅れることもあります。弁護人としては、告知の有無を確認することが最初の作業の一つになります。
また、ご家族が中国本土にお住まいの場合、来日して面会することが現実的でない場合が多くあります。弁護人が接見の窓口となり、状況を随時ご家族に共有する体制を早期に作ることが、実際上の解決策となります。当事務所には外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、ご家族との連絡も中国語で行うことができます。
ご家族が早い段階でできること
本人の在留カードの写し、パスポートの情報、在留資格の種類と在留期限、勤務先や在学先の情報を手元に整理しておくと、弁護人が動き出す速度が変わります。在留期限が近い場合には、刑事手続と並行して在留の問題が進行するため、この情報は特に重要です。
また、本人名義の家賃や携帯電話の支払、勤務先への連絡といった生活面の問題も、放置すれば後の負担となります。勤務先への説明の仕方は、その後の在留資格にも関わるため、弁護人と相談しながら進めることが望ましいところです。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。接見の初動から公判の結審まで、松村弁護士が全工程を直接担当いたします。
長期の身柄拘束を伴う事案では、特殊詐欺の受け子で複数回にわたり再逮捕された事案について、徹底した取調べ対応と不当な取調べへの抗議を通じ、全件について不起訴処分を獲得した事例があります(事例B-2)。また、裁判員裁判対象事件や国際的に報道された重大事件への対応実績も有しております(事例E-1)。
刑事手続の後に在留資格の問題が残る場合には、提携の行政書士とも連携し、更新・変更の手続まで一貫して対応いたします。
おわりに
連絡が取れない数日間は、ご家族にとって非常に長く感じられるものです。もっとも、この期間は同時に、刑事手続の中で最も動きの速い期間でもあります。所在の確認と弁護人の選任が早いほど、その後に選べる手段は多くなります。まずは何が起きているのかを確定させることから始めてください。
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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