マネーロンダリング(資金洗浄)で逮捕されたら|地下銀行・犯罪収益と外国人の在留リスクを弁護士が解説
2026/08/06
「口座を貸してほしいと頼まれただけ」「送金を代行するアルバイトだと思っていた」――マネーロンダリング(資金洗浄)への関与が疑われる事件では、こうした弁解の当否、すなわち犯罪収益であることの認識(故意)の有無が最大の争点になります。特に在日外国人コミュニティでは、無許可の送金業者(いわゆる地下銀行)の利用が思わぬ刑事責任につながる例が続いています。本記事では、資金洗浄関連で問われる罪と、外国籍の方に特有のリスクを解説いたします。
本記事の要点
- 犯罪収益等の隠匿・収受は組織的犯罪処罰法により処罰され、隠匿罪の法定刑は10年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金(併科あり)に引き上げられています。
- 無許可で送金業を営むいわゆる地下銀行は、銀行法・資金決済法違反として処罰の対象であり、依頼者側も捜査の対象となり得ます。
- 「頼まれただけ」でも、事情によっては犯罪収益であることの未必的な認識が認定され得ます。
- 1年を超える拘禁刑の実刑判決は退去強制事由(入管法24条4号リ)に該当し得るため、外国籍の方は不起訴処分の獲得が決定的に重要です。
- 口座・カードの譲渡や貸与は、それ自体が犯罪収益移転防止法違反として処罰され得る行為です。
マネーロンダリングで問われる主な罪
犯罪によって得られた財産(犯罪収益)について、その取得につき事実を仮装し、又は犯罪収益を隠匿する行為は、組織的犯罪処罰法10条の犯罪収益等隠匿罪に当たり、法定刑は10年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金(又は併科)です。情を知って犯罪収益等を収受する行為(同法11条)も7年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金の対象です。薬物犯罪の収益については麻薬特例法が別途規律しています。特殊詐欺の被害金の引き出し・移転への関与が、詐欺罪ではなくこれらの罪で立件される例もあります。
地下銀行(無許可送金)の法的リスク
銀行や資金移動業の登録なく、業として海外送金を引き受けるいわゆる地下銀行は、銀行法4条1項(無免許銀行業)や資金決済法(無登録資金移動業)に違反する犯罪です。摘発の中心は業者ですが、利用者も、送金依頼の経緯・手数料・金額によっては事情聴取の対象となり、送金した資金の出所次第では犯罪収益との関わりを疑われるリスクがあります。手数料の安さや現地通貨での受渡しの便利さの裏にある法的リスクを、コミュニティ内で正しく知っていただきたい類型です。
「知らなかった」「頼まれただけ」は通用するのか
資金洗浄関連の罪の成立には、対象財産が犯罪収益等であることの認識が必要ですが、確定的な認識までは要求されず、「犯罪による資金かもしれない」と認識しつつあえて関与したという未必的な認識で足りるとされます。報酬の不自然な高さ、指示の秘匿性、複数口座の使用といった客観的事情から認識が推認されるため、「知らなかった」という弁解が通るか否かは、これらの事情を丁寧に検討して初めて判断できます。故意を争う事案こそ、取調べの初期段階からの弁護人の関与が不可欠です。
外国籍の方の在留リスク
資金洗浄関連の罪で1年を超える拘禁刑の実刑判決を受ければ、退去強制事由(入管法24条4号リ)に該当し得ます。また、有罪判決に至らなくとも、事件への関与が在留資格の更新審査で不利に考慮されるおそれがあります。だからこそ当事務所は、捜査段階から不起訴処分の獲得を最優先目標とする弁護方針(不起訴目標主義)を採り、故意の立証構造を初動から精査します。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護を主たる注力分野とし、特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案での全件不起訴処分、覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決など、故意・認識が争点となる事件での解決実績を有します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、接見初動から松村弁護士が全工程を直接担当いたします。
結びに
資金洗浄関連の事件は、関与の入口が「小遣い稼ぎ」や「同郷者の頼み」であるだけに、ご本人の認識の内実を早期に整理し証拠化することが結論を左右します。心当たりのある連絡を受けた段階でも、お早めにご相談ください。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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