不法就労助長罪の初犯はどうなる?罰則・「知らなかった」の抗弁・不起訴に向けた弁護活動
2026/08/06
「雇っていた外国人が不法就労だったとして、警察から呼び出しを受けた」「初犯でも処罰されるのか」――飲食店・建設業・人材関係の経営者や店長の方から、こうしたご相談が増えています。不法就労助長罪は、本人に雇用の認識があったかどうかが激しく争われる犯罪類型であり、初動対応を誤ると、事業と生活の双方に重大な影響が及びます。本記事では、初犯の場合の処分の考え方と弁護活動の要点を解説いたします。
本記事の要点
- 不法就労助長罪(入管法73条の2)の法定刑は、3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金(併科あり)です。
- 「不法就労と知らなかった」という主張は、過失がない場合を除き処罰を免れないと定められており(同条2項)、在留カード確認の状況が決定的に重要です。
- 初犯の処分は、確認義務の履行状況・雇用の態様・期間等により大きく異なり、不起訴処分の余地も十分にあります。
- 外国籍の経営者・担当者の場合、不法就労助長は退去強制事由(入管法24条4号ヌ等)に直結する重大なリスクです。
- 当事務所は、退去強制事由の判断における故意・過失の要件を正面から問う訴訟に取り組んでいます。
不法就労助長罪とは
入管法73条の2は、①事業活動に関し外国人に不法就労活動をさせる行為、②不法就労活動をさせるために外国人を自己の支配下に置く行為、③業として不法就労活動をあっせんする行為を処罰しています。法定刑は3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金(又は併科)です。近時、外国人雇用の拡大とともに摘発事例が増加しており、雇用主側のコンプライアンスが強く問われる分野です。
初犯の処分はどうなるのか
結論として、初犯であることだけで処分が決まるわけではありません。①在留カードの確認をどの程度行っていたか、②不法就労の期間・人数・態様、③雇用の経緯(紹介者の存在、偽造在留カードを示されていたか等)、④発覚後の対応、といった事情の総合評価により、不起訴処分(起訴猶予・嫌疑不十分)から罰金、悪質な事案では公判請求まで、処分には大きな幅があります。裏を返せば、これらの事情を証拠に基づいて的確に主張できるか否かで、結論が動く類型だということです。
「知らなかった」は通用するのか
入管法73条の2第2項は、不法就労であることを知らなかったことを理由として処罰を免れることはできない、ただし過失のないときはこの限りでない、と定めています。つまり単なる「知らなかった」では足りず、在留カードの原本確認・記録化など、注意義務を尽くしていたことを具体的に示す必要があります。確認の痕跡(コピー・撮影データ・確認日時の記録)は、故意・過失を争う最重要の証拠です。呼び出しを受けた段階で、これらの資料を整理してから取調べに臨むべきです。
外国籍の経営者・担当者の場合――退去強制という第二のリスク
外国籍の方が不法就労助長に問われた場合、刑事処分に加えて、退去強制事由(入管法24条4号ヌ等)への該当という第二のリスクが生じます。従来の入管実務では、退去強制事由の判断に故意・過失は要件とされないという運用が続いてきました。しかし当事務所の松村大介弁護士は、冤罪により不法就労助長罪に問われ強制退去の危機に瀕した女性の事件で、責任主義の射程を行政処分にも及ぼすべきことを正面から問う訴訟を現在係争中であり、不法就労助長罪の認定事件において前例のない在留特別許可を獲得した実績も有しています。刑事段階から故意・過失を徹底して争っておくことは、後の入管手続における防御の基礎になります。
初動でやるべきこと
①在留カード確認に関する資料の保全、②雇用契約書・給与記録・シフト記録の整理、③従業員とのやり取りの記録の確保、④取調べ前の弁護人との方針協議、が初動の柱です。記憶が曖昧なまま「確認していなかったかもしれない」といった供述調書が作成されると、後に覆すことは容易ではありません。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とし、不法就労助長罪については刑事弁護・行政訴訟の双方で継続的に取り組んでいます。捜査段階から不起訴処分の獲得を最優先目標とし(不起訴目標主義)、接見初動から松村弁護士が全工程を直接担当、外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しています。
結びに
不法就労助長罪の初犯は、確認義務をめぐる証拠の質で結論が大きく動きます。呼び出し・逮捕の段階で、できる限り早くご相談ください。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。係争中の訴訟については、確定的な結論を予測するものではありません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639
東京にて中国人の方をサポート
東京を中心に刑事事件の弁護
----------------------------------------------------------------------