外国人が不起訴になったその後|前科・前歴の扱いと在留資格への影響を弁護士が解説
2026/08/06
「不起訴処分になった」という連絡は、ご本人・ご家族にとって大きな安堵の瞬間です。しかし外国籍の方の場合、「不起訴のその後」に固有の論点が残ります。前科・前歴はどう扱われるのか、在留資格の更新に影響はないのか、入管手続が別途進むことはあるのか。本記事では、外国人刑事事件を主たる注力分野とする弁護士が、「不起訴のその後」を段階を追って解説いたします。
本記事の要点
- 不起訴処分になれば前科は付きません。ただし、逮捕・捜査の記録は「前歴」として捜査機関に残ります。
- 不起訴には嫌疑なし・嫌疑不十分・起訴猶予などの種類があり、その違いが後の説明の仕方に影響します。
- 在留資格の審査は刑事処分とは別の判断であり、不起訴でも在留資格更新の審査で事案の経緯を問われることがあります。
- 不法残留など入管法24条の退去強制事由に該当する場合、刑事事件が不起訴でも退去強制手続は別途進みます。
- 更新・変更申請の際は、不起訴処分の内容と経緯を適切に説明できるよう準備しておくことが重要です。
不起訴処分とは何か――3つの主な種類
不起訴処分とは、検察官が公訴を提起しない判断です。主な理由には、①犯罪の嫌疑が認められない「嫌疑なし」、②証拠が十分でない「嫌疑不十分」、③嫌疑はあるが情状等を考慮して起訴を見送る「起訴猶予」(刑事訴訟法248条)があります。同じ「不起訴」でも意味合いは異なり、後に在留資格の審査などで経緯を説明する際、どの理由による不起訴かは重要な意味を持ちます。
前科と前歴の違い
不起訴処分となれば、有罪判決を前提とする前科は付きません。他方、逮捕・取調べを受けた事実は前歴として捜査機関の記録に残ります。前歴は一般の生活で表に出るものではありませんが、万一将来別の事件で捜査対象となった場合の判断材料とされることがあります。なお、ご希望があれば検察庁に「不起訴処分告知書」の交付を請求でき、不起訴となった事実を書面で示すことができます。
在留資格への影響――「不起訴=無条件で安泰」ではない
在留資格の更新・変更の審査は、出入国在留管理庁が刑事処分とは独立に行う判断であり、素行に関する評価が考慮されます。不起訴処分であっても、事件の経緯次第では審査の中で事情説明を求められることがあります。だからこそ、①不起訴処分告知書等の客観資料を確保する、②事案の経緯と再発防止を簡潔に説明できる資料を準備する、③申請時期と申請内容について専門家に相談する、という備えが有効です。当事務所では、刑事弁護の段階から、後の在留審査を見据えた記録づくりを意識した弁護活動を行っています。
退去強制手続が別途進む場合
注意が必要なのは、刑事事件の不起訴と入管手続は別だという点です。不法残留(入管法24条4号ロ)や資格外活動(同号ハ)など、退去強制事由への該当が問題となる事案では、刑事事件が不起訴で終わっても、入管による違反調査・退去強制手続は別途進行します。この場合、在留特別許可の獲得に向けた活動が主戦場となります。当事務所は、婚姻・認知手続の壁を越えて在留特別許可を一回の手続で獲得した事例や、不法就労助長罪の認定事件において前例のない在留特別許可を獲得した実績を有しており、刑事と入管を一体で見据えた対応が可能です。
再出発のために――報道・検索結果への対応
逮捕時に報道された事案では、不起訴となった後もインターネット上に記事が残り続けることがあります。当事務所では、過去の逮捕報道・前科報道の削除に成功した事例もあり、不起訴後の社会復帰・信用回復までを視野に入れたご相談をお受けしています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とし、特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案で全件不起訴処分を獲得するなど、捜査段階から不起訴処分の獲得を最優先目標とする弁護方針(不起訴目標主義)を実践しています。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、接見初動から松村弁護士が全工程を直接担当いたします。
結びに
不起訴は「終わり」ではなく、在留と生活を立て直す出発点です。処分後の手続まで見通した準備を進めてください。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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