平成17年・日系二世として来日した男性が強盗などで懲役3年の実刑となり不許可|在監中に不法残留となった事例(平成17年不許可第6事例)
2026/08/07
事例の概要
日本人の子として来日し正規の在留資格を得ていた方でも、重い実刑が加わると評価は一変します。法務省入国管理局が平成20年12月に公表した資料のうち、平成17年の不許可25件の第6事例です。本人は南米出身の23歳男性。1998年に日系二世として「日本人の配偶者等3年」で入国しました。2002年に強盗、窃盗、住居侵入で逮捕され、懲役3年の実刑判決を受けています(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。服役している間に在留期限が経過し、不法残留となりました。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
平成17年は第一次ガイドライン策定(平成18年10月)より前で、判断基準は公表されず、法務大臣の広範な裁量による個別判断でした。当てはめは現行ガイドライン(令和6年3月改定)によります。
- 積極要素・第2の2(1)(ア):日本人の実子に当たる身分関係。別表第二の在留資格で入国しています。
- 消極要素・第2の6:強盗を含む財産犯と住居侵入。反社会性の程度が高く評価されます。懲役3年の実刑は入管法24条4号リに当たります。
- 消極要素・第2の5:服役中に生じた不法残留。
- 現行法であれば、入管法50条1項ただし書により、人道上の配慮に欠けると認められる特別の事情がある場合に限られます。
結論を分けた一線はどこか
同じ平成17年の許可第6事例は、1994年に日系二世として「日本人の配偶者等3年」で入国した後に不法残留となった男性が、2005年に入管法違反で逮捕されて起訴猶予となった事案で、日本人の配偶者等(1年)が認められています。入国時の身分関係は本事例と同じです。違いは刑事処分の内容にあり、不起訴か実刑かが天秤の傾きを決めたと読めます。
弁護士のコメント
第1に、刑事段階の目標です。財産犯であっても、強盗のように法定刑の重い罪で1年を超える実刑となれば入管法24条4号リに当たります。起訴前の段階で事実関係と関与の程度を精査し、不起訴処分を獲得できていれば、退去強制事由該当性そのものを生じさせずに済んだ余地があります。不起訴となった許可第6事例との差は、この点に集約されます。
また、当時と現在では運用が違います。不法在留期間の長期化が明示的に消極要素とされたのは令和6年3月改定です。令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)で申請手続が新設され(入管法50条1項)、考慮事情も法定されました(同条5項)。当時は職権発動による恩恵的措置でした。本邦で家族とともに生活をするという子の利益の保護の必要性が積極要素として明示されたのも令和6年改定で、当時評価されなかった子に関する事情には、今なら別の評価が及ぶ余地があります。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
平成17年は不許可事例の公表が始まった年で、判断の輪郭が外から見えるようになりました。もっとも公表されるのは各年25件前後の抜粋です。似た許可例がないことは、許可の可能性がないことを意味しません。当事務所は、公表事例に不許可が並ぶ不法就労助長の類型で在留特別許可を得ています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野とし、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当します。
国際的な刑事事件、裁判員裁判の対象事件、世界的に報道された事件への対応実績があります。中国籍の方の重大事件にも多数対応しています。
特殊詐欺の受け子として複数回にわたり再逮捕された事案では、取調べへの対応を徹底し、不当な取調べには抗議を重ねることで、全件について不起訴処分を獲得しました。
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結語
身分関係の強さは、刑事処分の重さで打ち消され得ます。起訴前の対応が要点です。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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