平成26年・不法入国から約24年2月でも不許可|単身で生活し家族が全員本国にいた事例(D類型不許可第4事例)
2026/08/07
事例の概要
在日期間の長さだけでは結論が決まらないことを示す事例です。平成26年分事例集(出入国在留管理庁が公表)のD類型(その他)不許可第4事例です。違反態様は不法入国、端緒は当局の摘発、在日約24年2月・違反約24年2月です。在留希望の理由は本邦に生活基盤があることでした。特記事項には、単身で生活しており、両親・姉弟・妻子はすべて本国に居住していたものと記されています。刑事処分はなく、被退去強制歴の記載もありません。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例自体は改正入管法施行(令和6年6月10日)前、改定前ガイドラインの下での判断です。
- 積極要素・第2の2:本邦における家族関係がなく、この要素は働きません。家族はすべて本国に居住していたと記されています。
- 第2の9:端緒は当局の摘発であり、自ら出頭したことには当たりません。
- 消極要素・第2の5:約24年2月という長期の不法在留。令和6年改定で明示的な消極要素とされました。
- 消極要素・第2の6:不法入国という退去強制事由。どの号に当たるかは条文で確認する必要があります。
- なお第2の5には、その間に日本人や地域社会との関係を構築していれば別途積極要素とする留保がありますが、本事例では現れていません。
結論を分けた一線はどこか
第3は、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可の方向で検討するとします。本事例では、長い在日期間が積極要素の裏付けにならず、消極要素として現れています。同じ平成26年D類型の許可第1事例は、在日約20年・違反約19年7月と数字は近いものですが、自ら出頭申告し、本邦に生活基盤があると認められて定住者(1年)を得ました。期間ではなく、出頭したかどうかと、生活の中心が本邦にあると示せたかどうかが結論を分けたと読めます。
弁護士のコメント
刑事処分のない事例ですので、2点を挙げます。
第1に、生活基盤という主張は、それだけでは判断を動かしにくいものです。ガイドラインが積極要素として重く扱うのは家族関係と人道上の配慮であり、生活基盤はその他の事情に位置づけられます。家族が本国にいる場合には、本邦での就労、納税、地域社会との関係、支援者の存在といった要素を個別に立証していく作業が不可欠です。
第2に、出頭の判断です。第2の9は自ら出頭したことを積極要素とします。他方、不法在留期間が伸びることは消極要素です。この二つは時間とともに逆方向に動きますので、どの時点で手続に乗るかは、資料の準備状況を見ながら早めに検討すべき事柄です。摘発を待つ形になると、この積極要素を失ったまま手続が始まります。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集に載るのは各年20件前後で、公表されていない判断が数多くあります。同じ事情の許可例が見えないことは、許可の可能性がないことを意味しません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得て、なお違反認定処分の取消しを争っております。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。担当は松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)です。
観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案では、婚姻と認知が未了で当局から一旦不受理とされたところ、憲法的な観点から交渉して婚姻と認知を成立させ、入管当局の過去の許可事例を分析して、1度の申請で在留特別許可を獲得しております。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至るため、当事務所は起訴前の段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標としております。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
在日期間の長さは、それ自体では有利にも不利にも働きます。何を積極要素として示すかの設計が要点です。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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