不起訴処分でも強制退去される?外国人が知るべき法律の真実
2026/08/06
検察庁の判断と入管庁の判断は別ものです
「不起訴処分を獲得した。これで大丈夫だ。在留資格も保たれるはずだ。」
多くの外国人被逮捕者がこう考えます。しかし、この理解は大きな間違いです。
日本法の複雑性:2つの異なる判断系
刑事法の世界では、不起訴処分は「犯罪ではない」という判断です。検察官が起訴しなかったということは、有罪判決がないということ。犯罪記録もありません。
しかし、入管法の世界は異なります。入管庁は「刑事有罪判決」だけに基づいて在留資格を判断しているわけではありません。
ケーススタディ:技能実習生とスリ事件
インドネシア籍の技能実習生が、駅構内でスリで摘発されました。盗んだ金額は8,000円。金額は小さかったのですが、スリは常習的に行われていた可能性がありました。
我々は弁護人として、以下を主張しました: - 初犯であること - 経済的困窮からの一時的な行為であること - 実習先での評価は良好であること - 中国本国の親族が日本での身元引受人であること
結果、検察官は起訴を見送り、不起诉处分となりました。
彼は安堵しました。「これで大丈夫だ。在留資格も守られた。」
しかし、6ヶ月後、在留期間更新時に:
入管庁から「在留期間更新不許可」の決定が下されました。
理由:「素行善良要件を充たさない」
彼は異議を唱えました。「不起訴ですよ。犯罪者ではない。」
しかし入管庁の判断は変わりませんでした。最終的に、彼は帰国を余儀なくされました。
なぜこんなことが起きるのか:
入管法第1条には、「外国人の入国・在留を適正に管理し、素行善良であって日本の利益に適合する外国人を受け入れる」と書かれています。
「素行善良」の判断は、刑事有罪判決だけではなく、摘発の事実そのものを考慮します。ですから、有罪判決がなくても、摘発されたという事実が「素行善良」要件を満たさない理由になりうるのです。
さらに複雑な点:
技能実習制度の場合、実習機関の評価も重要です。実習生が犯罪(またはそれに類する行為)で摘発されたということは、実習機関の評判にも影響します。その結果、入管庁が当該実習機関を「不適切」と判断し、他の実習生の受け入れに支障が出ることもあります。
就労資格の場合も同様です。「高度人材」として在留している者が詐欺で摘発されたなら、その適格性そのものが疑問視されます。
正しい対応戦略:
1. 不起诉を獲得することだけが目標ではない — より重要なのは、入管庁の段階で「素行善良」と認定されることです。
2. 刑事弁護と入管対応の両面作戦が必須 — 検察官を説得するのと同じくらい、入管庁を説得する準備が重要です。
3. 不起诉決定書を入管庁に提出する — 「犯罪記録がない」ことを明確にするドキュメントが必要です。
4. 実習機関または雇用主からの「雇用継続の意思書」を準備する — 入管庁はこれを重視します。
舟渡国際法律事務所の総合的対応:
刑事弁護の段階から、我々は入管対応を視野に入れています。不起诉処分獲得後も、入管庁への説得活動を継続します。多くの場合、在留期間更新時に検察庁の不起诉決定書、身元引受人の誓約書、雇用主の継続雇用意思書などの一式を入管庁に提出することで、「素行善良」の評価を維持できます。
重要な教訓:
「不起訴=安全」ではありません。刑事法と入管法は別の法体系です。外国人被逮捕者には、両面からの法的支援が不可欠なのです。
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