舟渡国際法律事務所

「初犯だから」「まだ若いから」大丈夫という誤解|若年の外国人と在留への影響

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「初犯だから」「まだ若いから」大丈夫という誤解|若年の外国人と在留への影響

「初犯だから」「まだ若いから」大丈夫という誤解|若年の外国人と在留への影響

2026/08/04

中国にお住まいのご両親から、「日本の大学に通う息子が警察に呼ばれた。初犯ですし、まだ19歳ですから、そこまで大事にはならないですよね」というお尋ねをいただくことがあります。お気持ちはよく分かりますし、実際、前科がないこと、年齢が若いことは、日本の刑事手続において有利に働き得る事情です。しかし、そこで安心して初動を誤ると、刑事手続のほうは比較的軽く終わったにもかかわらず、日本での学業や生活のほうが先に失われてしまう、ということが起こります。刑罰の重さを測る物差しと、在留の可否を測る物差しは、別々に動いているからです。本記事では、若年の外国人の方について、少年手続の枠組みと在留への影響を整理いたします。

本記事の要点

  • 初犯・若年は量刑上有利に働き得る事情ですが、在留資格の判断では別の基準が用いられます。
  • 20歳未満の方は、原則として家庭裁判所の手続に付されます(少年法)。保護処分は刑罰ではないため、「刑に処せられた」ことを要件とする退去強制事由には直ちには当たらないと解されます。
  • もっとも、家庭裁判所から検察官に送致されれば(逆送。少年法20条。18歳・19歳の特定少年については同法62条)、通常の刑事裁判となり、成人と同じ量刑判断に服します。
  • 保護処分で終わった場合でも、在留期間の更新・在留資格の変更の審査における素行の評価では、事実上考慮され得ます。
  • 留学・家族滞在の方は、身柄拘束による長期欠席から退学・除籍に至り、在留資格の取消し(入管法22条の4)の問題が先に表面化することがあります。

1. 量刑の物差しと、在留の物差しは別に動く

日本の刑事実務では、前科がないこと、年齢が若く更生の可能性が高いことは、処分や量刑を軽くする方向に働きます。同種の事案であれば、初犯の方は起訴猶予や罰金、執行猶予付きの判断へ向かいやすい傾向があります。当事務所も、起訴された後の弁護ではなく、そもそも起訴させないこと、すなわち不起訴処分の獲得を最優先の目標として活動しております。外国人の方にとっては、執行猶予付き判決であっても前科として残り、その後の在留の審査に長く影響し続けるからです。

他方、在留の可否を判断するのは入管当局であり、その判断枠組みは刑事裁判所のそれとは異なります。刑事手続が軽く終わったという事実は、そのまま在留が安泰であることを意味しません。「初犯だから大丈夫」という発想は、刑事手続の中では一定の合理性を持ちますが、そのまま在留の場面に持ち込むと危険です。

2. 20歳未満の場合|家庭裁判所の手続と逆送

行為時に20歳未満であった方の事件は、原則として全件が家庭裁判所に送致されます。家庭裁判所は、調査官の調査や少年鑑別所での観護措置を経て、保護観察、児童自立支援施設等への送致、少年院送致といった保護処分を決定します。これらは教育と保護を目的とする処分であって、刑罰ではありません。したがって、「刑に処せられたこと」を要件とする退去強制事由(入管法24条4号リ。無期又は1年を超える拘禁刑)には、直ちには当たらないと解されます。

もっとも、家庭裁判所が刑事処分を相当と判断すれば、事件は検察官に送致され(逆送。少年法20条。18歳・19歳の特定少年については同法62条により対象が広がっています)、その後は通常の刑事裁判として審理され、成人と同じ量刑判断に服します。逆送されるかどうかは、罪質、結果の重大性、非行に至った背景、そして更生環境がどこまで整えられているかによって左右されます。若年の方の弁護活動の中心は、まさにこの環境調整にあります。

3. 保護処分で終わっても、在留に影響し得る場面

保護処分で終局したからといって、在留の問題が消えるわけではありません。在留期間の更新や在留資格の変更にあたっては、素行が善良であることが求められます(出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」)。ここで審査されるのは「刑に処せられたか否か」だけではなく、非行の事実そのものを含む生活態度全般です。保護処分を受けた事実、長期間の身柄拘束を受けた事実、学校を長く欠席した事実は、いずれも申請の場面で説明を求められ得ます。

4. 入管法24条は、号ごとに構造が違う

入管法24条は退去強制事由を号ごとに書き分けており、その構造は一様ではありません。同条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられたことを要件としており、刑の重さが基準になります。これに対し、薬物関係の同号チは、刑の軽重を問わず、当該法令に違反して有罪の言渡しを受けたこと自体を捉えています。売春に関する同号ヲのように、刑の有無ではなく従事した事実に着目する規定もあります。「執行猶予がついたから大丈夫」「罰金だから大丈夫」という一般論は成り立たず、どの号が問題になるのかを最初に見極める必要があります(条文の細部はe-Gov法令検索でご確認ください)。

なお、当事務所は、この退去強制事由の判断についても、刑事責任と同様に故意・過失の有無が問われるべきではないかという論点を重視しております。松村大介弁護士は、冤罪により不法就労助長罪に問われ強制退去の危機に瀕した女性の事案において、責任主義の射程を正面から問う訴訟を現在係争中です(事例D-2)。若い方が、事情をよく理解しないまま他人の指示に従ってしまったという類型では、この視点が特に重要になります。

5. 留学・家族滞在で見落とされやすい落とし穴

留学の在留資格をお持ちの方が身柄拘束を受けると、授業への出席が途絶えます。学校の規則によっては、一定期間の欠席で除籍・退学の扱いとなることがあります。そうなれば、在留資格に対応する活動を行っていない状態が続くことになり、在留資格の取消し(入管法22条の4)が問題となり得ます。家族滞在の方についても、扶養者側の在留状況の変動と連動して同種の問題が生じます。

刑事手続の見通しが立つのを待たず、学校との連絡、休学手続が可能かどうかの確認、扶養者からの説明といった作業を並行して進めておく必要があります。刑事事件が終わってから入管のことを考える、という順序では間に合わない場面があるのです。

6. 初動で押さえておきたい3点

  • 取調べには黙秘権があります。年齢が若い方ほど、その場の空気に押されて記憶と違う内容を認めてしまいがちです。調書に署名する前に、必ず弁護人にご相談ください。
  • 弁護人の選任は早いほど有効です。少年事件では、家庭裁判所送致後の付添人活動と環境調整が結論を大きく左右します。
  • 通訳の質が結果を左右します。捜査機関が手配する通訳人は必ずしも法律用語の専門家ではなく、若年の方の言い回しがそのままの意味で記録されない危険があります。

7. 当事務所のご案内と解決事例

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続に取り組んでおります。

若年の方が周囲に巻き込まれる類型として典型的なのが、特殊詐欺の出し子・受け子です。当事務所には、出し子として関与したとされた20代女性について、指示役からの欺罔的・脅迫的な状況や犯意の不存在といった主観面を総合的に主張し、不起訴処分を獲得した事例がございます(事例B-1)。また、受け子として複数回にわたり再逮捕された事案において、徹底した取調べ対応と不当な取調べへの抗議、主張立証を重ね、全件について不起訴処分を獲得した事例もございます(事例B-2)。若年であることは、それ自体が結論をもたらすのではなく、主観面と更生環境を丁寧に立証して初めて意味を持ちます。

被害者のある事件では、示談の設計が結論を分けます。当事務所は、盗撮の被害者側の代理人として300万円の示談金による解決を実現した経験も有しており(事例G-2)、被害者がどのような点に納得し、どのような点に強い抵抗を示すのかを、双方の立場から把握しております。この視点は、加害者側で示談を組み立てる場面でも活きます。

当事務所の特徴として、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行を行いません)。また、外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳をご利用いただけます。手続終了後の在留資格の更新・変更については、提携の行政書士と連携してワンストップで対応いたします。

なお、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

8. おわりに

若いということは、やり直しがきくということでもあります。日本の少年手続は、まさにその可塑性を前提に組み立てられています。しかし、在留の手続はその前提を当然には共有していません。だからこそ、刑事と入管の両方を視野に入れた設計を、事件の入口の段階から始める必要があります。ご家族が海外にいらっしゃる場合であっても、できることは少なくありません。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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