舟渡国際法律事務所

不起訴になって釈放された後にすること|在留カード、届出、そして次の更新に向けて

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不起訴になって釈放された後にすること|在留カード、届出、そして次の更新に向けて

不起訴になって釈放された後にすること|在留カード、届出、そして次の更新に向けて

2026/08/04

留置施設の玄関で荷物を受け取り、久しぶりに外の空気を吸う。不起訴処分を告げられた日のことを、多くの方が同じように振り返られます。ところが、その安堵は長く続かないことがあります。数日後に入管から連絡が来る。会社に事情を説明できないまま在職の扱いが宙に浮く。半年後の在留期間の更新申請で、担当官から事件のことを尋ねられる。刑事手続が終わった時点は、外国人の方にとって、終わりではなく次の手続の始まりです。この記事では、釈放された後に何を確認し、何を整えておくべきかを、時系列に沿ってご案内いたします。

本記事の要点

  • 不起訴処分には嫌疑なし、嫌疑不十分、起訴猶予という区分があり、その違いは後の在留審査で意味を持ち得ます。
  • 釈放されても、そのまま入管の収容手続に切り替わる場合があります(入管法39条等)。
  • 勤務先の変更・退職、住居地の変更には届出義務があります(同法19条の16、19条の7以下)。事件の混乱の中で失念しがちな点です。
  • 次回の在留期間の更新・在留資格の変更では、素行が善良であることが審査されます。今のうちに資料を揃えておくことが有効です。
  • 逮捕報道が残り続ける場合には、削除に向けた対応の余地があります。

1. 不起訴処分の三つの区分と、その違いの意味

不起訴処分は一つではありません。犯人でないことが明らかな場合等の嫌疑なし、証拠上犯罪の証明が困難な場合の嫌疑不十分、そして、犯罪の成立自体は認められるものの、事情を考慮して起訴しないという起訴猶予。いずれも前科にはなりませんが、内容は大きく異なります。

在留の場面では、この違いが効いてきます。在留期間の更新・在留資格の変更の審査では、素行が善良であることが求められます(出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」)。起訴猶予は、行為があったことを前提とする処分ですから、審査の場でその評価が問われる余地があります。他方、嫌疑なし・嫌疑不十分であれば、事実の存在自体が認定されていないことを、資料をもって説明できます。

そのため、私どもは、不起訴を得ることを目標とするだけでなく、どの区分の不起訴とするかまで見据えて検察官と協議します。処分後には、検察庁に対して不起訴処分告知書の交付を求めることができます。将来の入管手続に備え、必ず取得しておくことをお勧めいたします。

2. 釈放が、そのまま自由を意味しない場合

刑事手続が終わっても、在留資格を失っている方、資格外活動が問題となった方については、身柄が入管に引き継がれることがあります。入管法39条等に基づく収容手続です。刑事の釈放と入管の手続は別の系統で動いており、警察署の門を出た先に入管の職員が待っている、という場面は実際に起こります。

この切替えを想定しているかどうかで、対応の速さが変わります。在留資格の有無、在留期間の残り、資格外活動許可の範囲、勤務実態。これらを釈放の前に整理しておけば、収容の可能性を予測し、仮放免の準備や在留特別許可に向けた資料収集に、間を置かずに移ることができます。

なお、入管法24条は退去強制事由を号ごとに列挙しており、号によって要件の構造が異なります。4号リは無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を対象とし、執行猶予に関する除外の定めがありますが、薬物関係を対象とする4号チのように、執行猶予でも退去強制の対象となり得る類型があります。不起訴で終えることが在留を守る上で決定的に重要なのは、この構造があるからです。執行猶予を目標にする発想では、守れないものがあります。

3. 忘れがちな届出義務

事件の渦中では後回しになりますが、法律上の義務は動き続けています。中長期在留者の方は、契約機関や活動機関の名称の変更、消滅、移籍について、原則として14日以内に出入国在留管理庁へ届け出る必要があります(入管法19条の16)。逮捕を機に退職した場合も、この届出の対象です。

住居地についても、転居した場合は市区町村への届出が必要です(同法19条の7以下)。身柄拘束の間に住まいを引き払った方、ご家族の家に移った方は、忘れずに手続をなさってください。

これらの届出を怠ると、それ自体が素行の評価に響きます。事件そのものより、その後の不作為が更新審査で問題になる例は、決して珍しくありません。

4. 次の更新に向けて、いま揃えておくもの

更新申請は、事件から時間が経ってから行うことになります。そのときには記憶も資料も散逸しています。だからこそ、釈放直後に整えておくことが効きます。具体的には、不起訴処分告知書、事件の経緯と再発防止についてご本人が作成する書面、勤務先や身元保証をお引き受けくださる方の書面、就労状況と納税・社会保険の状況を示す資料。これらを一つの束にしておけば、更新の場面でも、万一の退去強制手続の場面でも使えます。

また、在留特別許可の判断が問題となる局面では、出入国在留管理庁が年度ごとに公表してきた許可事例が重要な意味を持ちます。行政自身が許可相当と判断した先例であり、同種の事情がありながら本件のみを不許可とすることは、合理的な理由のない別異取扱いであるとして、憲法14条1項の平等原則の観点から主張する余地があります。

なお、退去強制事由の判断に故意・過失を要するのかという論点について、松村大介弁護士は現在係争中の事案(後記の事例D-2)で正面から問いを立てています。刑事の段階で本人の認識を丁寧に争っておくことは、その後の入管手続における主張の土台になります。

5. 逮捕報道が残っている場合

氏名が報じられた場合、記事や転載が長く残ることがあります。就職や更新の場面で不利に働くことも現実にあります。この点については、記事の内容、公表からの期間、公益との関係等を踏まえ、削除に向けた対応を検討する余地があります。当事務所には、過去の逮捕報道・前科報道について削除に成功した実績がございます(事例F-4)。もっとも、これは個別の事情に基づく結果であり、同様の結果を保証するものではございません。

6. 当事務所のご案内と解決事例

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続に取り組んでおります。

観光目的で来日された方が在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案では、婚姻と認知の手続を当局との交渉によって実現し、国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない状況下でも、過去の許可事例の分析を踏まえて在留特別許可を獲得した実績がございます(事例D-1)。刑事手続の後に入管手続が控えている類型では、両者を一体として設計する必要があります。

また、不法就労助長罪に問われ強制退去の危機に直面された女性の救済のため、退去強制事由には故意・過失を要しないとする従来の実務を問い直す訴訟を係争中です(事例D-2)。この事案の関連実績として、不法就労助長罪が認定された事件において前例のない在留特別許可を獲得した経験も有しております。

当事務所では、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行を行いません)。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳をご利用いただけます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更については、提携の行政書士と連携してワンストップで対応いたします。

なお、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

7. おわりに

不起訴という結果は、それ自体が大きな成果です。しかし外国人の方にとっては、そこから在留を守る作業が始まります。釈放の直後こそ、資料が最も集めやすい時期です。この時期に手を打っておくことが、半年後、一年後のご自身を助けます。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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