舟渡国際法律事務所

国選弁護制度でカバーされる範囲と、されない範囲|外国人事件で入管手続まで見据えるということ

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国選弁護制度でカバーされる範囲と、されない範囲|外国人事件で入管手続まで見据えるということ

国選弁護制度でカバーされる範囲と、されない範囲|外国人事件で入管手続まで見据えるということ

2026/08/03

「弁護士は付けてもらえると聞いた」「お金がないから国選でよい」というお話は、ご家族からしばしば伺います。日本の国選弁護制度は、資力の乏しい方に弁護人を確保するための重要な制度であり、実際に多くの弁護士が熱意をもって職務にあたっておられます。制度の趣旨も運用も、決して軽んじられるべきものではありません。もっとも、外国籍の方の事件では、制度の設計上、国選弁護でカバーされない領域が確かに存在します。本記事は、他の弁護士や事務所を論評するものではなく、制度の射程がどこまでかという一点を、条文に即して整理するものです。

本記事の要点

  • 国選弁護制度は、刑事手続における弁護活動を対象とする制度である
  • 退去強制手続・在留資格の申請といった入管手続は、国選弁護の対象外である
  • 被疑者国選は勾留された後に付されるため、逮捕直後の72時間は当番弁護士制度の利用が中心となる
  • 外国籍の方の事件では、刑事処分の内容がそのまま在留の帰趨を左右する
  • 刑事段階で残した記録が、後の入管手続での主張の基礎となる

1. 国選弁護制度の対象範囲

被疑者国選弁護制度は、勾留状が発せられている被疑者について、資力が基準に満たない場合等に、裁判所が弁護人を付する制度です(刑事訴訟法37条の2)。被告人国選も同様に、起訴後の刑事手続を対象とします。すなわち、この制度が守ろうとしているのは、刑事手続における防御権であり、その範囲は刑事手続の内部にとどまります。

他方、逮捕から勾留の可否が決まるまでの72時間には、被疑者国選は付されません。この期間については、各弁護士会が運営する当番弁護士制度により、初回の接見を受けることができます。もっとも、当番弁護士による接見は原則として一回であり、継続的な弁護活動を望まれる場合には、私選弁護人の選任又は被疑者国選の請求という手続が別途必要になります。

2. 入管手続は、国選弁護の対象ではない

ここが、外国籍の方の事件における最も重要な分岐点です。退去強制手続(入管法24条以下)、在留特別許可の申請、在留資格の更新・変更、在留資格取消手続、仮放免の申請、そしてこれらに対する行政訴訟は、いずれも刑事手続ではありません。したがって、国選弁護制度の対象外です。刑事事件が終結した時点で国選弁護人の職務も終了し、その後の入管手続は、別途ご自身で対応されるか、改めて代理人を選任することになります。

問題は、刑事手続と入管手続が時間的に連続しているという点です。刑事処分が確定した直後に収容令書が発付され、退去強制手続が始まるという流れは、実務上決して珍しくありません。刑事事件が終わってから入管対応を考え始めると、既に手続が進んでしまっているという事態が生じ得ます。

3. 刑事段階の判断が、入管の判断を先取りしてしまう

入管法24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由と定めています。4号チは、薬物関係の罪等で処罰された者を、刑の重さを問わず退去強制事由としています。つまり、刑事裁判の結論が出た瞬間に、退去強制事由への該当性はほぼ機械的に決まってしまうのです。

だからこそ、当事務所は、外国籍の方の刑事事件について、執行猶予判決の獲得ではなく、起訴前段階での不起訴処分の獲得を第一目標として弁護方針を組み立てます。不起訴であれば有罪判決が存在せず、4号リの適用の前提を欠きます。「執行猶予が付いたから日本に居られる」という説明は、入管法24条各号の構造を号ごとに精査していない、危うい理解です。

4. 刑事段階で残す記録が、入管手続の土台になる

仮に刑事事件で不利な結論となった場合でも、そこで終わりではありません。退去強制手続では、在留特別許可を求めることになり、その判断では、在日期間、家族関係、素行、発覚の経緯といった事情が総合的に考慮されます(入管法50条5項)。刑事段階で、事件に至る経緯、本人の認識の限界、家族の状況、更生の環境を丁寧に記録として残しておけば、それがそのまま入管手続での主張の材料になります。

さらに、当事務所は、退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとされてきた入管実務そのものに疑問を投げかけ、責任主義の射程を行政処分に及ぼすべきであるとの主張を掲げた訴訟を、現在も係争中です(事例D-2)。刑事段階で故意・過失を徹底的に争っておくことは、この第二・第三の防御線を準備する作業でもあります。

5. 当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)は、刑事弁護と入管手続を一体のものとして扱い、刑事手続の初日から退去強制手続を視野に入れた活動を行っております。

  • 事例A-1:覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、徹底した証拠分析と被告人質問・反対尋問を通じて、無罪判決を獲得いたしました。
  • 事例B-2:特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べ対応を徹底し、不当な取調べには抗議を重ねた上で、全件について不起訴処分を獲得いたしました。
  • 事例D-2:不法就労助長罪に問われ退去強制の危機に置かれた女性の救済のため、退去強制事由には故意・過失が不要とされてきた実務を覆すべく、責任主義の射程を問う訴訟を係争中です。同罪の認定を受けた事案において、前例のない在留特別許可を獲得した実績もございます。

当事務所では、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行を行いません)。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く通訳をご利用いただけます。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携の行政書士と連携し、ワンストップでご対応いたします。

6. 結語

国選弁護制度は、刑事手続における防御を支えるために設けられた、大切な制度です。ただ、その設計は日本人の被告人を含む刑事手続一般を想定したものであり、在留資格という、外国籍の方だけが背負う問題までは対象としていません。この違いを知った上で、どこまでを誰に委ねるかを決めていただければと存じます。ご不明な点があれば、費用のご相談を含めて、まずはお話をお聞かせください。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


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