家族が起訴されたと連絡がありました|これから始まる裁判の流れと、ご家族にできること
2026/07/31
「起訴されました」という一言は、ご家族にとって最も重い知らせのひとつです。日本の刑事裁判がどのくらいの期間続くのか、傍聴に行ってよいのか、法廷では中国語が通じるのか、そもそも本人に会えるのか。中国本土にお住まいのご家族から、こうしたご質問を毎週のようにいただきます。この記事は、起訴後にご家族が直面する場面を、時間の流れに沿って整理したものです。
本記事の要点
- 起訴後は「被疑者」から「被告人」に立場が変わり、保釈の請求が可能になります。
- 第1回公判は、起訴からおおむね1か月半から2か月後に開かれるのが一般的です。
- 外国人被告人の裁判には法廷通訳人が付き、手続は通訳を介して進みます。
- 裁判は原則として公開であり、ご家族は傍聴できます。ただし在留資格や渡航の準備が必要です。
- ご家族の情状証人としての出廷は、量刑にとって実質的な意味を持ちます。
1 起訴の意味と、その日から変わること
起訴とは、検察官が裁判所に対して裁判を求める手続です。この日を境に、ご本人の立場は被疑者から被告人へと変わります。ご家族にとって重要な変化は二つあります。
一つは、保釈の請求ができるようになることです。起訴前の勾留では保釈という制度がありませんが、起訴後は保証金を納めて身柄の解放を求めることができます。もう一つは、身柄が警察署の留置施設から拘置所へ移されることが多い点です。移送により、面会の場所や時間帯、差入れの取扱いが変わります。
2 第1回公判までの期間に何が行われるか
起訴から第1回公判までは、おおむね1か月半から2か月ほど空くのが通常です。この期間は待つだけの時間ではありません。弁護人は、検察官が請求する証拠の内容を確認し、同意するか否かを検討し、弁護側の証拠を準備します。争いのある事件では、証人の予定を組み、尋問の準備を進めます。
ご家族にお願いすることが多いのは、この時期の準備です。具体的には、身元引受書の作成、勤務先や学校からの上申書の取得、生活状況を示す資料の準備、そして情状証人として出廷いただく場合の打合せです。中国本土にお住まいの場合、渡航のための査証の準備にも時間がかかりますので、早めの検討が必要です。
3 法廷での通訳はどうなるか
日本語を十分に理解できない被告人の裁判では、裁判所が法廷通訳人を選任します。起訴状の朗読、証拠の説明、証人尋問、被告人質問のすべてが、通訳を介して進みます。したがって、審理の時間は日本人の事件よりも長くかかります。
ここで気をつけていただきたいのは、法廷通訳人は裁判所が選ぶ通訳であり、弁護人側の通訳ではないという点です。打合せの段階で言葉のずれを解消しておかなければ、法廷でのやり取りが本人の意図と食い違うことがあります。当事務所では、外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、接見・打合せの段階から一貫して同じ通訳が関わることで、この種のずれを減らしています。
4 傍聴と面会について
刑事裁判は原則として公開されており、ご家族も傍聴席から審理を見ることができます。傍聴に特別な手続は不要ですが、開廷時刻と法廷番号を事前に確認する必要があります。裁判の日程は弁護人からお伝えします。
面会(一般面会)については、接見禁止決定が付いている場合、ご家族は会えません。起訴後に接見禁止の一部解除を求める申立てを行い、認められる場合もあります。認められない間も、弁護人は制限なく接見できますので、ご本人の様子やご家族からの伝言は、弁護人を通じてお伝えすることができます。
5 判決の後に何が起きるか
外国人の方の事件では、判決で手続が終わるわけではありません。実刑判決であれば服役後に、執行猶予判決であればその場で、入管法上の手続へ移行する可能性があります。入管法24条各号のいずれに該当し得るかは、罪名と刑によって異なります。判決の内容が確定する前に、この先の見通しをご家族と共有しておくことが大切です。
ご家族から「刑が軽ければ日本に残れますか」というご質問をよくいただきます。残念ながら、罪名によっては刑の軽重を問わず退去強制事由となる場合があります。この点は、判決を待ってからではなく、起訴された段階で確認しておくべき事柄です。
6 当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。
公判における立証活動については、覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の精査と被告人質問・反対尋問を通じて無罪判決を獲得した実績がございます(事例A-1)。また、裁判員裁判対象事件や世界的に報道された重大事件への対応も重ねてまいりました(事例E-1)。
報道による影響についても、過去の逮捕報道・前科報道の削除に成功した実績がございます(事例F-4)。ご本人の社会復帰やご家族の生活への影響が心配な場合は、あわせてご相談いただけます。
当事務所では、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。ご家族への状況共有も、弁護士本人が行います。
おわりに
起訴されたという知らせを受けた直後は、何から手をつければよいのか分からなくなるものです。ですが、第1回公判までの1か月半という時間は、ご家族が準備できることが最も多い期間でもあります。どうか一人で抱え込まず、弁護人と手順を分けて進めてください。
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年7月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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