「お金を払えばすぐ釈放される」は誤解です|保釈金・示談金・罰金の違いと中国の「取保候審」との比較
2026/07/29
中国のご家族から、「保証金を払えば釈放されるはずです。いくら必要ですか」というご相談をいただくことがあります。中国には捜査段階から利用できる「取保候審」という制度がありますが、日本の保釈は起訴された後にしか利用できず、起訴前にお金を払って釈放してもらう制度は存在しません。この違いを知らないまま、「金を払えば出せる」と持ちかける仲介者にお金を渡してしまう二次被害も見られます。本記事で、日本の制度における3つの「お金」を整理いたします。
本記事の要点
- 日本の保釈は起訴後の制度です。起訴前(逮捕・勾留の最長23日間)に保釈はありません
- 保釈保証金は裁判所に納める担保であり、逃亡等がなければ裁判の終了後に返還されます
- 示談金は被害者に支払うお金であり、不起訴処分や量刑の判断に影響しうる、性質の全く異なるものです
- 罰金は有罪の刑罰として国に納めるお金であり、前科となって在留資格に影響します
起訴前に身柄を解放する方法はあるのか
結論から申し上げると、起訴前の身柄解放は、お金ではなく法的手続によって争います。弁護人は、勾留の要件(罪証隠滅・逃亡のおそれ)を欠くことを具体的に主張して、検察官の勾留請求の却下を求め、勾留が決定された後も準抗告や勾留取消請求で争います。また、被害者のいる事件では、示談の成立が勾留の必要性や起訴・不起訴の判断に事実上大きく影響するため、早期の示談交渉が身柄解放への現実的な近道になることがあります。いずれも弁護人の活動であり、「お金を払えば出られる」という単純な仕組みではありません。
保釈金・示談金・罰金は全く別のもの
- 保釈保証金:起訴後、裁判所が保釈を許可する際に納める担保金。相場は事案によりますが、逃亡や証拠隠滅がなければ裁判終了後に全額返還されます
- 示談金:被害者との示談契約に基づき被害者本人に支払うお金。事件を私的に「買う」ものではなく、被害回復と宥恕(許し)の意思表示として、検察官・裁判官の判断の重要な考慮要素になります
- 罰金:有罪判決(略式命令を含む)による刑罰として国に納めるお金。返還されず、前科として記録され、在留期間更新の素行評価にも影響します
中国の「取保候審」との違い
中国の刑事訴訟法には、捜査・起訴・審理の各段階で保証金や保証人を立てて身柄拘束を解く「取保候審」の制度があります。このため、日本でも「捜査中に保証金で釈放してもらえる」と考えてしまうご家族が少なくありません。しかし、日本の保釈は起訴後に限られ、捜査段階の身柄解放は前記のとおり法的な争いによります。制度の前提が異なることをまず知っていただくことが、適切な初動の第一歩です。そして、「保証金を預かる」「入管に顔が利く」などと持ちかける弁護士以外の仲介者には、決してお金を渡さないでください。詐欺被害の相談が現に存在します。
当事務所のご案内と解決事例
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護に注力しています。特殊詐欺の出し子とされた20代女性について、犯意の不存在を総合的に主張して不起訴処分を獲得した事例があるほか、盗撮の被害者側の代理人として刑事告訴と示談交渉により300万円の示談を成立させた経験もあり、示談の実務を加害者側・被害者側の双方から熟知しています。また、観光目的の来日後に在留資格を失った方について難関とされた在留特別許可を獲得するなど、刑事手続の先の在留問題まで一体で対応しています。
松村大介弁護士は接見の初動から結審まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行を行いません)。中国語専属通訳が常駐しており、中国本土のご家族からの国際的なご相談にも対応できる体制です。提携の行政書士による在留資格サポートも可能です。
結びに
お金にまつわる誤解は、初動の遅れと二次被害につながります。日本の制度における正しい選択肢を知り、弁護人を通じて一つずつ実行することが、結局は最短の道です。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年7月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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