外国人経営者の在留資格「経営・管理」と刑事処分|白タク名義貸し事件を機に考える
2026/07/28
日本で会社を設立し、事業を営む外国籍の方は、「経営・管理」の在留資格を持つことが一般的です。2026年7月に報じられた、無許可送迎(白タク)への名義貸しをめぐる道路運送法違反事件のように、事業に絡む刑事処分は、経営者ご自身の在留の根幹に影響し得ます。この記事は、外国人経営者が知っておくべき、刑事処分と「経営・管理」在留資格の関係を、制度の面から整理する専門的な解説です。
1. 「経営・管理」在留資格とは
「経営・管理」は、日本で事業の経営を行い、または事業の管理に従事する外国人のための在留資格です。事業の継続性・安定性が審査の中心となり、更新のたびに、事業が実体を伴って続いているかが確認されます。事業に絡む刑事事件は、この事業の実体そのものへの評価を揺るがすため、他の在留資格以上に慎重な対応が求められます。
2. 刑事処分が在留に及ぼす二つの経路
刑事処分が「経営・管理」在留資格に及ぶ経路は、大きく二つあります。第一に、退去強制事由(入管法24条)への該当です。1年を超える拘禁刑に処せられ執行が猶予されなかった場合(4号リ)や、薬物事犯(4号チ)など、号ごとに構造が異なるため、当該事件がどの号に関わるかを精査する必要があります。なお令和7年6月施行の改正刑法により、従来の二つの自由刑は「拘禁刑」に一本化されました。第二に、退去強制に至らなくとも、更新時の「素行が善良であること」の要件による不利益評価です。罰金や執行猶予でも、この経路で在留に影響が及び得ます。
3. 「執行猶予だから安心」ではない
外国人経営者の弁護で最も注意すべきは、「執行猶予判決を得れば在留を続けられる」という理解が、必ずしも正しくないことです。執行猶予でも退去強制事由に該当する類型があり、また更新拒否のリスクは別途残ります。だからこそ、事業者の刑事弁護は、起訴前段階での不起訴処分の獲得を最優先の目標として組み立てる必要があります。入管法の構造を踏まえた弁護方針でなければ、刑事で「勝った」つもりが、在留で「負ける」結果を招きかねません。
4. 退去強制と故意・過失をめぐる論点
事業に絡む事件では、経営者が違法な事実をどこまで認識していたか(故意・過失)が、しばしば争点になります。刑事事件では故意・過失を争うのが当然ですが、入管実務では、退去強制事由の判断に故意・過失は不要とする運用が長く踏襲されてきました。当事務所は、この運用に対し、責任主義や個人の尊重(憲法13条)、適正手続(憲法31条)の観点から、退去強制事由にも故意・過失の視点を及ぼすべきではないかという論点を、実際の訴訟を通じて問い続けています。事業者の刑事弁護では、この視座を初動から持ち込むことが、後の在留維持の備えになります。
5. 当事務所のご案内と解決事例
舟渡国際法律事務所の松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077)は、企業をめぐる紛争にも実績があります。虚偽の株主総会決議による代表取締役解任事件で東京地裁・東京高裁のいずれでも勝訴した事例、外資系企業の支配権紛争で依頼者側の勝訴を得た事例など、事業の実体と経営者の立場を的確に立証してきました。事業に絡む刑事事件でも、この経験が防御の土台になります。
また、不法就労助長罪の認定が問題となる事案において、退去強制事由の判断における故意・過失のあり方を問う訴訟を係争中であり、事業者側の在留を守る主張を、憲法・行政法の視座から組み立てています。刑事処分から在留特別許可の獲得までを一貫して見据えた弁護を、実際の事件で積み重ねてきました。
当事務所では、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しています。提携の行政書士とともに、事業の継続を見据えた在留資格の手続にも一貫して対応いたします。
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
6. おわりに
事業に絡む刑事事件は、経営者ご自身の在留、ひいては会社と従業員の将来に直結します。だからこそ、刑事と入管を切り離さず、最初から一体で見据えた方針が欠かせません。事業を守るための備えは、事件の初動から始まります。(本記事は2026年7月時点の情報に基づく一般的な解説です。制度の詳細は、e-Gov法令検索や入管庁の公表資料をあわせてご確認ください。)
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639
東京にて中国人の方をサポート
東京を中心に刑事事件の弁護
----------------------------------------------------------------------