舟渡国際法律事務所

大麻の営利目的所持で摘発された外国籍の方へ|同居先が「密売拠点」とされた場合の争い方

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大麻の営利目的所持で摘発された外国籍の方へ|同居先が「密売拠点」とされた場合の争い方

大麻の営利目的所持で摘発された外国籍の方へ|同居先が「密売拠点」とされた場合の争い方

2026/07/21

住宅を拠点に違法薬物が密売されていたとして、外国籍の方が大麻取締法違反(営利目的所持)の疑いで逮捕される事案が、2026年7月にも報じられております。報道によれば、家宅捜索で相当量の薬物が押収された事案もあるとされております。

こうした事案では、その住居に居住し、あるいは出入りしていたというだけで、居合わせた方全員が「共同所持」として立件されることがございます。ご本人にとっては「自分の物ではない」「同居人が何をしていたか知らなかった」という認識であることも珍しくありません。この記事では、営利目的所持の重さと、共同所持における認識の争い方、そして薬物事犯に特有の在留リスクを整理いたします(2026年7月時点の法令に基づきます)。

「営利目的」が付くと法定刑が大きく変わります

大麻の所持は、大麻取締法により、単純所持と営利目的所持とで法定刑が大きく異なります。営利目的所持は法定刑が格段に重く、初犯であっても実刑の可能性を正面から検討しなければならない類型です。

営利目的の認定は、押収された薬物の量、小分け用の袋や秤の有無、現金の保管状況、携帯電話内の連絡内容といった間接事実の積み重ねによって行われます。したがって、弁護活動においては、それぞれの間接事実について、営利目的以外の合理的な説明が成り立たないかを一つひとつ検討していく作業が中心となります。

「共同所持」における所持の意思

薬物の所持は、物理的に手に持っていることを要しません。事実上の支配、すなわち自己の意思に基づいて処分し得る状態にあることをもって足りるとされております。もっとも、それは所持の意思があることを前提とするものです。

同じ住居に居住していたというだけで、当然に所持が認められるわけではございません。その薬物が置かれていた場所への立入りの可否、施錠の有無、ご本人が薬物の存在を認識していたか、認識していたとして自らこれを処分し得る立場にあったか。これらはいずれも争い得る点です。

とりわけ、来日して間もない方や、同居人の紹介で短期間だけ住んでいた方の場合、住居内の物品に対する支配の程度は限定的です。こうした事情を、賃貸借の契約関係、家賃の負担状況、居住開始の時期といった客観的資料に即して主張していくことになります。

薬物事犯に特有の在留リスク

薬物事犯において、外国籍の方が最も注意しなければならないのは、入管法24条4号チの構造です。同号は、大麻取締法や覚醒剤取締法などの薬物関係法令に違反して有罪判決を受けた者を退去強制事由としており、この号には、刑の全部の執行猶予が付された場合を除外する規定がございません。

これは何を意味するか。すなわち、薬物事犯では、執行猶予付きの判決を受けても、罰金刑にとどまっても、有罪となった時点で退去強制事由に該当し得るということです。他の多くの罪名では、執行猶予の獲得が在留維持の現実的な目標となり得ますが、薬物事犯においてはそうではありません。

したがって、薬物事犯における弁護活動は、起訴前の段階における不起訴処分の獲得を、最優先というよりも、ほとんど唯一の在留維持の道として位置づける必要がございます。「執行猶予が付いたから日本に居られる」という説明は、少なくとも薬物事犯においては明確に誤りです。この点を正確に説明しない弁護人の選任は、結果としてご本人の在留資格喪失につながりかねません。

初動で押さえていただきたい三点

  • 取調べに不用意に応じないこと。「あの部屋に何かあるのは知っていました」という一言が、所持の認識を認めた供述として扱われることがございます。
  • 早期に弁護人を選任すること。押収物の内訳や捜索の適法性を検討するためには、記録への早期のアクセスが必要です。
  • 通訳の質を確認すること。「知っていた」「見たことがある」「聞いたことがある」の区別は、所持の認識の認定において決定的な差を生みます。

当事務所について

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)では、薬物事犯について豊富な解決実績を有しております。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、徹底的な証拠分析と被告人質問・反対尋問により、無罪判決を獲得した事例がございます。営利目的の薬物事犯は法定刑が極めて重く、執行猶予の獲得も容易ではない類型ですが、捜査の違法性、所持の故意・営利目的の不存在等を丁寧に主張立証することで、結果を覆せる場合がございます。

また、当事務所の松村大介弁護士は、退去強制事由の判断において故意・過失を要件とすべきではないかという論点を、現在係争中の事案において正面から問うております。従来の入管実務は、退去強制事由の該当性を客観的事実のみで判断するものとしてきましたが、そこに責任主義の射程がどこまで及ぶのかは、憲法上・行政法上の重要な問題です。同居人の行為について認識のなかった方が、刑事手続とは別に退去強制の対象とされることが妥当なのか。この問題意識は、共同所持が問題となる薬物事犯にも通じるものと考えております。なお、当該事案は係争中であり、結論を予断するものではございません。

当事務所では、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しております。万一、退去強制手続に進んだ場合にも、在留特別許可の獲得実績を踏まえて対応いたします。

なお、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

おわりに

薬物事犯は、外国籍の方にとって在留への影響が最も直接的に及ぶ類型です。それだけに、起訴前の限られた時間の使い方が結果を分けます。ご自身の物ではないという言い分があるのであれば、それは早い段階で、証拠に即した形で述べておくべきです。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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