強盗致傷で逮捕された中国籍の方のご家族へ|裁判員裁判対象事件の重さと、在留への影響
2026/07/21
高額な商品を売却した直後の現金が路上で奪われ、負傷者が出たとして、複数の外国籍の方が強盗致傷の疑いで逮捕される事案が報じられております。報道によれば、売却の場に居合わせた者、車両を用意した者、実行に及んだ者といった形で役割が分かれていたとされる事案もございます。
ご家族の立場からすれば、「うちの子は見張りをしていただけだと聞いている」「そもそも何が起きるのか知らなかったはずだ」というお気持ちを抱かれることも多いのではないかと存じます。この記事では、強盗致傷という罪名の重さと、共犯事案における認識の争い方、そして在留資格への影響について整理いたします(2026年7月時点の法令に基づきます)。
強盗致傷は法定刑が極めて重い罪名です
強盗致傷罪(刑法240条前段)の法定刑は、無期又は6年以上の拘禁刑とされております。酌量減軽をしても執行猶予の可能な範囲に届くとは限らず、実刑となる可能性を正面から見据えなければならない類型です。
しかも、強盗致傷は裁判員裁判の対象事件(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律2条1項)です。市民の裁判員が加わる公判では、専門的な法律論だけでなく、事実経過が分かりやすく伝わるかどうかが結果を大きく左右いたします。公判前整理手続を通じて争点を絞り込み、証拠構造を早い段階で見極める作業が不可欠となります。
共犯事案では「どこまで知っていたか」が決定的です
複数名が関与する事案では、全員が同じ罪名で処断されるとは限りません。共謀共同正犯が成立するためには、単に現場にいたというだけでは足りず、犯行についての意思連絡と、自己の犯罪として遂行する意思が必要とされます。
とりわけ強盗致傷では、二つの段階での認識が問題となります。第一に、暴行・脅迫を用いて財物を奪うという計画についての認識です。第二に、致傷の結果についての予見可能性です。「金銭のやり取りに立ち会うだけと聞いていた」「暴力を用いるとは知らされていなかった」という主張は、決して形式的な弁解ではなく、罪名そのものを左右する重要な争点となり得ます。
こうした主張を通すためには、連絡の履歴、報酬の約束の内容、集合から現場までの経緯といった客観的資料を、弁護人が早期に把握し、保全しておく必要がございます。ご本人の記憶が新しいうちに、正確に聴き取っておくことの意味は大きいと申し上げられます。
在留資格への影響
強盗致傷で実刑判決を受けますと、入管法24条4号リの「無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者」に該当することがほぼ避けられません。同号は刑の全部の執行猶予が付された場合を除外しておりますが、法定刑の重さに照らせば、執行猶予の獲得自体が容易ではございません。
したがって、この類型では、罪名を軽い犯罪(窃盗、傷害、あるいは幇助)へと落とすこと、あるいは起訴の対象から外れることが、そのまま在留の可否に直結いたします。「刑を軽くする」という一般的な目標設定では足りず、「どの罪名で、どの刑期に収まるか」という一段深い設計が必要となります。
初動で押さえていただきたい三点
- 取調べに不用意に応じないこと。共犯者の供述と食い違う点について、記憶が曖昧なまま「そうかもしれません」と述べた調書は、公判で最も攻撃されやすい証拠となります。
- 早期に弁護人を選任すること。裁判員裁判対象事件では、公判前整理手続の設計が結果を大きく左右いたします。捜査段階からの一貫した方針が不可欠です。
- 通訳の質を確認すること。「知っていた」「聞いていた」といった動詞の訳し分けは、共謀の認定に直接影響いたします。捜査機関の通訳とは別に、依頼者ご本人のための通訳を確保することの意味は、この類型で特に大きいと考えております。
当事務所について
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護に取り組んでまいりました。
松村大介弁護士は、裁判員裁判対象事件や、世界的に報道された重大事件への対応経験を有しております。重大事件では、報道が先行することでご本人・ご家族が孤立しやすく、また証拠の量も膨大となりますが、記録の精査と主張の組立てを積み重ねることでしか道は開けません。
また、覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、徹底した証拠分析と被告人質問・反対尋問により無罪判決を獲得した事例もございます。法定刑の重い類型において、検察官の描く事件像を証拠に即して解体していく手法は、強盗致傷のような共犯事案にも通じるものです。
当事務所では、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。中国語専属通訳が常駐しており、接見・打合せ・公判の各段階でご利用いただけます。中国本土にお住まいのご家族との連絡・報告についても、弁護人が窓口となって対応いたします。
なお、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
最後に
罪名が重いという事実は動かせません。しかし、その罪名が本当にご本人に当てはまるのかは、これから争うことができます。ご家族にできることは、まず正確な情報を把握し、早く弁護人につなぐことです。焦らず、しかし止まらずに進めてまいりましょう。
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639
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