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退去強制事由とは|入管法24条の各号を類型別に整理し、刑事事件・不法残留・資格外活動との関係を解説

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退去強制事由とは|入管法24条の各号を類型別に整理し、刑事事件・不法残留・資格外活動との関係を解説

退去強制事由とは|入管法24条の各号を類型別に整理し、刑事事件・不法残留・資格外活動との関係を解説

2026/10/11

最終更新:2026年10月11日 執筆:弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)/舟渡国際法律事務所

退去強制事由とは、入管法24条各号が定める、外国人を日本から強制的に退去させることができる事由をいいます。同条は、「次の各号のいずれかに該当する外国人については、次章に規定する手続により本邦からの退去を強制し」ることができると定め、不法入国や不法残留、在留資格の取消し、一定の刑事処分など、多くの事由を列挙しています。退去強制事由に当たっても直ちに送還されるわけではなく、出国命令や在留特別許可の制度があります。

この記事の要点

  • 退去強制事由は、入管法24条1号から10号まで(枝番号の号を含みます)に定められています。
  • 在留期間を過ぎて日本にとどまる不法残留(オーバーステイ)は、同条4号ロに当たります。
  • 刑事事件では、在留資格の区分と刑の種類によって該当する号が異なり、薬物犯罪は有罪の判決で当たります(同条4号チ・リ・4号の2)。
  • 自ら出頭した不法残留者などで一定の要件を満たす人は、退去強制ではなく出国命令の対象になります(同法24条の3)。
  • 退去強制された人は、原則として5年間、過去にも退去強制や出国命令を受けたことがある人は10年間、日本に上陸できません(同法5条1項9号)。

退去強制事由には、どのような類型がありますか

大きく分けると、入国・上陸の違反、在留資格の取消し、不正行為への関与、活動の違反、在留期間の経過、刑罰法令違反などの類型があります。

類型主な号内容の例
不法入国・不法上陸1号、2号有効な旅券を持たずに入国した、上陸の許可を受けずに上陸した
在留資格の取消し2号の2から2号の4まで偽りその他不正の手段で許可を受けたとして在留資格を取り消された、取消し後に指定された期間を過ぎて残留した
不正な文書の作成・行使3号他の外国人に不正に許可を受けさせる目的で文書を偽造した、これを手伝った
不法就労助長3号の4事業活動に関し外国人に不法就労活動をさせた、業としてあっせんした
在留カードの偽造等3号の5偽造の在留カードを提供・所持・行使した、他人名義の在留カードを行使した
資格外活動4号イ許可を受けずに収入を伴う活動を専ら行っていると明らかに認められる
不法残留4号ロ在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間を過ぎて残留している
刑罰法令違反4号ニからリまで、4号の2、4号の4薬物犯罪の有罪判決、1年を超える拘禁刑の実刑、別表第一の方の一定の罪による拘禁刑など
売春関係・不法入国の援助4号ヌ、4号ル売春に直接に関係がある業務に従事した、他の外国人の不法入国をあおり、唆し又は助けた
出国命令の違反8号、9号出国期限を過ぎて残留した、出国命令を取り消された

オーバーステイ(不法残留)は、どの号に当たりますか

在留期間の更新や変更を受けないで在留期間を過ぎて日本に残留する人は、入管法24条4号ロの退去強制事由に当たります。

在留期間を1日でも過ぎれば、同号に当たり得ます。ただし、在留期間の満了前に更新や変更の申請をしていた場合は、その処分がされる時か、従前の在留期間の満了の日から2か月を経過する日が終了する時のいずれか早い時まで、引き続き従前の在留資格で在留できます(同法20条6項、21条4項による準用。在留期間が30日以下の場合を除きます)。この特例の期間中は不法残留になりません。

不法残留は刑事罰の対象でもあり、3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金又はその併科とされています(同法70条1項5号)。

刑事事件では、どのような場合に退去強制事由に当たりますか

在留資格の区分、罪名、刑の種類の3点で決まります。

薬物犯罪は、麻薬及び向精神薬取締法、大麻草の栽培の規制に関する法律、あへん法、覚醒剤取締法などに違反して有罪の判決を受ければ、刑の種類を問わず当たります(入管法24条4号チ)。それ以外の罪では、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた場合が基準となり、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた場合などは除かれます(同号リ)。さらに、技術・人文知識・国際業務や留学などの別表第一の在留資格の方は、窃盗、詐欺、傷害、住居侵入、文書偽造などの罪で拘禁刑に処せられると、執行猶予が付いても当たります(同条4号の2)。在留資格ごとの整理は「在留資格の別表第一・別表第二とは」をご覧ください。

このほか、旅券法違反の一定の罪で刑に処せられた場合(同条4号ニ)、集団密航や不法入国者の蔵匿・隠避などの入管法上の罪で刑に処せられた場合(同号ホ)、資格外活動の罪で拘禁刑に処せられた場合(同号ヘ)、少年で長期3年を超える拘禁刑に処せられた場合(同号ト)なども、刑事処分に関連する退去強制事由です。

刑事事件にならなくても、退去強制事由に当たることはありますか

あります。不法残留や資格外活動、在留資格の取消しなどは、起訴されるかどうかとは関係なく退去強制事由になります。

例えば、不法残留で逮捕され、刑事事件としては起訴猶予で不起訴になった場合でも、不法残留の事実がなくなるわけではないため、入管の手続に引き継がれます。不法就労助長(同条3号の4)も、刑事処分の有無を問わず、その行為をしたこと自体が退去強制事由とされています。刑事事件で不起訴を得ることは重要ですが、それで入管の問題が解決するとは限らない点に注意が必要です。

退去強制事由に当たると、必ず送還されるのですか

必ずしもそうではありません。違反調査、違反審査、口頭審理、異議の申出という手続を経て判断され、出国命令や在留特別許可の制度もあります。

入管法24条2号の4、4号ロ又は6号から7号までの退去強制事由に当たる人で、違反調査の開始前に速やかに出国する意思をもって自ら出入国在留管理官署に出頭した人、又は違反調査の開始後、入管法47条3項の通知を受ける前に速やかに出国する意思があることを表明した人で、一定の罪で拘禁刑に処せられていないこと、過去に退去強制や出国命令を受けていないことなどの要件を満たす人は、退去強制ではなく出国命令の対象となります(同法24条の3)。また、退去強制事由に当たる場合でも、法務大臣は、家族関係や在留期間、人道上の配慮の必要性などを考慮して、在留を特別に許可することができます(同法50条1項・5項)。手続の流れは「退去強制とは」、在留特別許可については「在留特別許可とは」で解説しています。

退去強制されると、再び日本に来ることはできますか

退去強制された人は、原則として退去の日から5年間、過去に退去強制や出国命令による出国をしたことがある人は10年間、上陸を拒否されます。

入管法5条1項9号は、退去強制された人のうち、一定の決定を受けて定められた日までに自ら退去した人は1年、初めて退去強制された人は5年、それ以外の人は10年を上陸拒否期間と定めています。出国命令により出国した人の上陸拒否期間は、原則として1年です。また、日本又は外国で1年以上の拘禁刑に処せられたことのある人は、期間の定めなく上陸拒否事由に当たります(同項4号。執行猶予付きの判決の場合は、執行猶予期間中はこれに当たると扱われます)。

出国の形上陸拒否期間根拠条文
出国命令による出国原則1年(違反調査開始後に出国の意思を表明して出国命令を受けた人が短期滞在で来日する場合は5年)入管法5条1項9号ホ・ヘ
退去強制(一定の決定を受けて期限までに自ら退去)1年同号ロ
初めての退去強制5年同号ハ
2回目以降の退去強制など10年同号ニ
1年以上の拘禁刑に処せられたことがある期間の定めなし同項4号

弁護士に相談すべき場面

  • 在留期間を過ぎてしまい、出頭すべきか、どのような手続になるのかを知りたいとき。
  • 刑事事件で起訴され、判決の内容によって退去強制事由に当たるかを知りたいとき。
  • 不起訴になったのに、入管に収容されたと連絡を受けたとき。
  • 勤務先や知人から在留カードの受渡しや名義貸しを頼まれ、関与してしまったとき。
  • 退去強制事由に当たると言われたが、日本に家族がいて在留特別許可を求めたいとき。

当事務所では中国語での相談に対応しており、中国語の通訳を完備し、中国律師(中国の弁護士資格者)も在籍しています。刑事弁護と入管事件を一体で扱い、刑事事件では無罪判決(一部無罪)の獲得実績、入管事件では在留特別許可の獲得実績があります。行政事件では違法な行政処分の撤回を得た例があり、取り扱った事件の一部は法律学の学術誌で取り上げられています。弁護の考え方は「松村大介弁護士の弁護方針」(note)にまとめています。

よくある質問

罰金刑でも退去強制事由に当たりますか。

一般的な犯罪では、罰金刑は退去強制事由に当たりません。ただし、薬物犯罪では、罰金を含む有罪の判決で当たります(入管法24条4号チ)。旅券法違反の一定の罪や、集団密航などの入管法上の罪も、刑に処せられたことが退去強制事由とされています(同号ニ・ホ)。

執行猶予付きの判決なら、退去強制事由には当たりませんか。

在留資格によって異なります。永住者や日本人の配偶者等などの別表第二の方は、一般的な犯罪で刑の全部の執行猶予を受けた場合は当たりません(同号リ)。別表第一の方は、窃盗や詐欺などの罪で拘禁刑に処せられると、執行猶予付きでも当たります(同条4号の2)。

決められた時間を超えてアルバイトをした留学生は、退去強制事由に当たりますか。

資格外活動許可の範囲を超えて働いた場合、収入を伴う活動を「専ら行つていると明らかに認められる」ときは、入管法24条4号イに当たります。その程度に至らない場合でも、資格外活動の罪(同法73条)で拘禁刑に処せられれば、同条4号ヘに当たります。在留期間の更新にも影響するため、早めに相談することをお勧めします。

家族も一緒に退去強制されるのですか。

退去強制事由は一人ひとりについて判断されます。本人が退去強制されても、家族が自分の在留資格を持っていれば、直ちに在留できなくなるわけではありません。ただし、家族滞在など本人の在留を前提とする在留資格の場合は、在留の基礎を失うことになるため、在留資格の変更などを検討する必要があります。

自分が退去強制事由に当たるかどうか分かりません。

在留カードの在留資格と在留期限、刑事事件の罪名と処分の内容が分かる書類(判決書や略式命令の写しなど)があれば、該当する号を検討することができます。入管法24条は号の数が多く、判断を誤ると不利な手続の選択につながるため、資料をそろえて弁護士にご相談ください。

根拠条文・出典

  • 出入国管理及び難民認定法5条1項4号・9号、20条6項、21条4項、24条、24条の3、50条1項・5項、70条1項5号、73条(e-Gov法令検索の現行条文で確認。2026年10月11日)

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