「認定に服する」とは|口頭審理を請求しない選択と在留特別許可の申請期限を弁護士が解説
2026/10/11
「認定に服する」とは、入国審査官から退去強制対象者に該当すると認定された容疑者が、その認定を争わずに受け入れることをいい、その場合、容疑者は主任審査官から口頭審理の請求をしない旨を記載した文書に署名を求められます(入管法47条5項)。
認定に服すると、その日から3日以内に在留特別許可を申請しなければ、退去強制令書が発付されます。認定に服するか、口頭審理を請求して争うかは、退去強制手続の中で本人が最初に迫られる重要な選択です。
本記事の要点
- 入国審査官の認定に異議がなければ認定に服し、口頭審理の請求をしない旨の文書に署名します(入管法47条5項前段)。
- 認定に服した日から3日以内に在留特別許可を申請しなければ、主任審査官は速やかに退去強制令書を発付します(同項2号)。
- 認定に異議があるときは、通知を受けた日から3日以内に口頭審理を請求できます(同法48条1項)。
- 在留特別許可の判断は、認定に服した後、判定に服した後、又は異議の申出に理由がないと裁決された後に行われるため、争うかどうかと在留特別許可の申請は両立します(同法50条4項)。
「認定に服する」とは何ですか。
入国審査官の違反審査で「退去強制対象者に該当する」と認定されたとき、その認定を争わずに受け入れることです。認定は、理由を付した書面で本人に知らされます。
「入国審査官は、審査の結果、容疑者が退去強制対象者に該当すると認定したときは、速やかに理由を付した書面をもつて、主任審査官及びその者にその旨を知らせなければならない。」(入管法47条3項)
「第三項の場合において、容疑者がその認定に服したときは、主任審査官は、その者に対し、口頭審理の請求をしない旨を記載した文書に署名させなければならない。」(入管法47条5項前段)
退去強制対象者とは、入管法24条各号のいずれかに該当し、かつ出国命令対象者に該当しない外国人をいいます(同法45条1項)。刑事事件をきっかけとする場合、判決が確定して24条4号の2や4号リなどに当たるとして認定されるのが典型です。違反審査の流れは違反審査と認定とはで説明しています。
認定に服さない場合は、どうなりますか。
認定に異議があれば、通知を受けた日から3日以内に、特別審理官に口頭審理を請求できます。さらに口頭審理の判定にも異議があれば、法務大臣に異議を申し出ることができます。
「前条第三項の通知を受けた容疑者は、同項の認定に異議があるときは、その通知を受けた日から三日以内に、口頭をもつて、特別審理官に対し口頭審理の請求をすることができる。」(入管法48条1項)
口頭審理の判定を受け入れる場合は、今度は異議を申し出ない旨の文書に署名します(同条9項)。異議の申出も、判定の通知を受けた日から3日以内に書面で行います(同法49条1項)。どの段階でも、期限はわずか3日です。口頭審理の手続は口頭審理とはで詳しく取り上げています。
各段階で、服する場合と争う場合の違いはどうなっていますか。
3つの段階それぞれに「服する」か「争う」かの選択があり、服した時点から在留特別許可の申請期限3日が動き出します。
| 段階 | 服する場合に署名する文書 | 争う場合の手続と期限 | 在留特別許可申請の3日の起算点 |
|---|---|---|---|
| 入国審査官の認定 | 口頭審理の請求をしない旨(47条5項) | 口頭審理の請求:通知から3日以内(48条1項) | 認定に服した日 |
| 特別審理官の判定 | 異議を申し出ない旨(48条9項) | 異議の申出:通知から3日以内(49条1項) | 判定に服した日(48条10項) |
| 法務大臣の裁決 | なし | 入管の手続内ではなし | 理由がない旨の通知を受けた日(49条7項) |
認定に服すると、在留特別許可の申請はどうなりますか。
認定に服した日から3日以内に申請しなければなりません。この期限を過ぎると退去強制令書が発付され、その後は在留特別許可を申請できなくなります。
「第三項の認定に服した日から三日以内に第五十条第一項の規定による許可の申請をしなかつたとき。」(入管法47条5項2号)
反対に、認定に服しても在留特別許可の道が閉ざされるわけではありません。在留特別許可の判断は、次のいずれかの後に行われると定められています。
「在留特別許可は、当該外国人が第四十七条第三項の認定若しくは第四十八条第八項の判定に服し、又は法務大臣が前条第三項の規定により異議の申出が理由がないと裁決した後でなければすることができない。」(入管法50条4項)
つまり、認定に服した場合も、口頭審理や異議の申出で争った場合も、最終的に在留特別許可の判断を受ける道は残ります。期限の詳細は在留特別許可申請の「3日」とはをご覧ください。
認定に服するかどうかは、どう判断すればよいですか。
まず、認定の内容そのものに誤りがないかを確認します。誤りがあれば口頭審理で争い、誤りがなければ在留特別許可の申請に力を集中する、というのが基本的な考え方です。
たとえば、別表第一の在留資格の人が罰金のみの刑を受けた場合は入管法24条4号の2に当たらず、刑の全部の執行猶予を受けた場合は同条4号リに当たりません。適用された号が正しいか、出国命令対象者に当たる余地はないかなど、認定の根拠を条文に照らして点検します。認定に誤りがなく、日本に残りたい理由が家族関係にあるのであれば、争うことよりも、在留特別許可の申請書と資料をいかに整えるかが結論を左右します。
署名を求められたとき、何に注意すべきですか。
署名を求められる文書には複数の種類があり、意味がまったく違います。特に、在留特別許可を申請しない旨の文書に署名すると、3日を待たずに退去強制令書が発付されます。
「第五十条第一項の規定による許可の申請をしない旨を記載した文書に署名したとき。」(入管法47条5項1号)
「口頭審理を請求しない」文書と「在留特別許可を申請しない」文書を取り違えると、取り返しがつきません。日本語の書面の意味が分からないときは通訳を求め、その場で署名せず、弁護士に連絡してください。家族も、本人にこの点を事前に伝えておくことが大切です。
刑事事件から入管の手続に入る人は、何を準備しておくべきですか。
認定を受けてからの3日では、家族関係の資料をそろえることはできません。判決が確定する前から、在留特別許可の申請を見据えた準備を進めておく必要があります。
刑事判決を理由とする退去強制事由は、判決の確定によって生じるものとして運用されています。確定までの時間を使って、配偶者の永住許可や帰化を進め、同居や家計の共同、子の監護養育の記録を残しておけば、認定に服した後の申請で主張できる事情が大きく変わります。ガイドラインは、配偶者が日本人・特別永住者又は別表第二の在留資格者である場合の婚姻を「特に考慮する積極要素」としています(第2の2(1)ウ、(2)ウ)。当事務所には、刑事事件で有罪判決を受けた方について、この準備を重ねて在留特別許可を得た実績があります。ただし、結果をお約束できるものではありません。
よくある質問
Q1. 認定に服したら、もう何も争えないのですか。
口頭審理を請求する機会はなくなりますが、3日以内に在留特別許可を申請することはできます(入管法47条5項2号)。在留特別許可をしない処分がされた場合には、理由を付した書面で通知され(同法50条10項)、取消訴訟などを検討することになります。
Q2. 口頭審理を請求すると、在留特別許可を申請できなくなりますか。
なりません。特別審理官は、認定に誤りがないと判定したときに、異議を申し出ることができる旨とあわせて在留特別許可を申請できる旨も知らせます(入管法48条8項)。在留特別許可の判断は、判定に服した後や異議に理由がないと裁決された後にも行われます(同法50条4項)。
Q3. 監理措置で外にいる場合も、同じ手続になりますか。
同じです。違反審査と認定、口頭審理、異議の申出の流れは、収容されている場合も監理措置に付されている場合も変わりません。在留特別許可の申請も、監理措置決定を受けた外国人がすることができます(入管法50条2項)。
Q4. 家族が本人に代わって署名や申請をすることはできますか。
入管法47条5項は、容疑者本人に署名させると定めており、在留特別許可の申請も本人が行うものとされています(同法50条2項)。家族は、婚姻や同居の資料、陳述書などを準備し、本人の申請を支える立場になります。
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本記事は一般的な解説であり、個別の事案の結論を保証するものではありません。具体的な見通しは、事情を伺ったうえでご説明します。
最終更新日:2026年10月11日
舟渡国際法律事務所
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