舟渡国際法律事務所

永住許可の「原則10年」と特例とは|配偶者・定住者の要件と在留特別許可への備え

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永住許可の「原則10年」と特例とは|配偶者・定住者の要件と在留特別許可への備え

永住許可の「原則10年」と特例とは|配偶者・定住者の要件と在留特別許可への備え

2026/10/11

永住許可の「原則10年」とは、永住許可に関するガイドラインが、永住が日本国の利益に合するかどうかの目安として、原則として引き続き10年以上日本に在留し、そのうち5年以上は就労資格又は居住資格で在留していることを求めるものをいいます(入管法22条2項、永住許可ガイドライン)。日本人・永住者・特別永住者の配偶者や定住者には、この期間を短くする特例があります。夫(妻)が刑事事件を起こしたとき、配偶者がいつ永住に届くかは、この原則と特例のどちらに当たるかで大きく変わります。

本記事の要点

  • 原則は引き続き10年以上の在留で、うち5年以上は就労資格(技能実習・特定技能1号を除く)又は居住資格での在留が必要です。
  • 日本人・永住者・特別永住者の配偶者は、実体を伴った婚姻生活3年以上かつ引き続き1年以上の在留が目安になります。
  • 定住者は5年以上の在留などが目安とされています。
  • 日本人・永住者・特別永住者の配偶者又は子は、素行善良と独立生計の要件に適合することを要しません(入管法22条2項ただし書)。
  • 配偶者が永住に届く時期を早めに計算し、刑事判決の確定までに申請を進めることが在留特別許可への備えになります。

永住許可の「原則10年」とは何ですか。

永住が日本国の利益に合するかどうかを判断するための、在留期間の目安です。法律の条文に「10年」と書かれているわけではなく、永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂)が示しています。

「法務大臣は、その者が次の各号のいずれにも適合し、かつ、その者の永住が日本国の利益に合すると認めたときに限り、これを許可することができる。」(入管法22条2項)

ガイドラインは、この「日本国の利益に合する」の中身として、原則として引き続き10年以上在留していること、そのうち5年以上は就労資格又は居住資格で在留していることを挙げています。あわせて「罰金刑や拘禁刑などを受けていないこと。」や、納税・公的年金・公的医療保険料の納付などの公的義務を適正に果たしていることも求められます。

「うち5年以上は就労資格又は居住資格」とはどういう意味ですか。

10年在留していても、そのうち5年以上が就労資格又は居住資格での在留でなければ、原則の目安を満たしません。しかも、就労資格からは技能実習と特定技能1号が除かれています。

たとえば、留学で来日し、卒業後に「技術・人文知識・国際業務」で働いている配偶者であれば、就労資格に切り替わってからの年数を数えることになります。技能実習や特定技能1号で働いていた期間は、就労資格の5年には算入されません。配偶者がいつ要件に届くかは、在留カードや過去の許可の記録をもとに、在留資格ごとの期間を一つずつ確かめて計算します。「日本に10年いるから大丈夫」と思い込まないことが大切です。

原則10年の特例には、どのようなものがありますか。

配偶者の問題に関係する主な特例は、日本人・永住者・特別永住者の配偶者の特例と、定住者の特例です。

区分在留期間の目安素行・独立生計の要件
原則(下記以外)引き続き10年以上在留、うち5年以上は就労資格(技能実習・特定技能1号を除く)又は居住資格必要
日本人・永住者・特別永住者の配偶者実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ引き続き1年以上在留要しない(入管法22条2項ただし書)
定住者5年以上在留など必要

配偶者の特例について、ガイドラインの文言は次のとおりです。

「実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留していること」(永住許可に関するガイドライン)

このほかにも特例はありますが、本記事では配偶者の地位の問題に関係するものに絞っています。

日本人・永住者の配偶者には、在留年数以外にどのような緩和がありますか。

素行が善良であることと、独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有することの2つの要件に、適合することを要しません。入管法22条2項ただし書がそう定めています。

「ただし、その者が日本人、永住許可を受けている者又は特別永住者の配偶者又は子である場合にあつては次の各号のいずれにも適合することを要せず」(入管法22条2項ただし書)

ただし、緩和されるのは1号と2号だけで、永住が日本国の利益に合することは引き続き求められます。ガイドラインはこの中に、罰金刑や拘禁刑などを受けていないこと、公的義務を適正に果たしていることを含めています。配偶者の特例を使う場合でも、納税や保険料の納付状況は丁寧に確認しておく必要があります。

外国人同士の夫婦は、どの特例を使えますか。

配偶者自身が定住者であれば定住者の特例を使える可能性がありますが、夫婦がともに別表第一の在留資格であれば、原則の10年によることになります。配偶者の特例は、相手が日本人・永住者・特別永住者である場合に限られるからです。

夫が「技術・人文知識・国際業務」、妻が「家族滞在」という典型的な家庭で、刑事事件の当事者が一方であるときは、もう一方が永住を目指すことになります。この場合、相手方は永住者ではないので、配偶者の特例は使えません。配偶者がすでに定住者であれば、ガイドライン上も別表第二の在留資格者との婚姻に当たり、そのうえで永住へ進む道があります。詳しくは配偶者が定住者から永住者になるまでをご覧ください。

在留特別許可の観点で、10年と特例をどう読めばよいですか。

配偶者が永住に届く時期と、刑事判決が確定する時期を並べて考えることです。刑事判決を理由とする退去強制事由は判決の確定によって生じるため、確定までに配偶者の地位を別表第二まで引き上げられるかどうかが、在留特別許可の見通しを左右します。

在留特別許可に係るガイドラインは、別表第二の在留資格者との婚姻を「特に考慮する積極要素」としています(第2の2(2)ウ)。当事務所が平成26年分から令和7年分までの公表事例を原典で精査したところ、配偶者が別表第一の在留資格で本人に刑事処分(執行猶予付き判決を含みます)がある事例は8件あり、すべて不許可でした。永住の審査は長期化する傾向にあるため、要件を満たした時点ですぐ申請できるよう、書類を前もって整えておくべきです。2026年4月からは帰化も運用上原則10年以上の在留が求められるため、帰化との比較も必要です。急ぐべき理由は配偶者の永住申請を急ぐべき理由で整理しています。

配偶者の永住について、いつ弁護士に相談すべきですか。

夫(妻)が逮捕された直後、遅くとも起訴の段階です。その時点で配偶者が原則10年と特例のどちらに当たり、いつ要件に届くかを計算すれば、刑事弁護の方針と在留の準備を一体で組み立てられます。

夫(妻)の刑事事件が配偶者自身の永住審査にどう影響するかは一律に言えません。要件は申請者本人について審査されますが、家族の状況も含めて確認されることがあるため、申請の時期は弁護士と相談して決めてください。永住許可の全体像は永住許可とは(配偶者の地位を引き上げる観点)で説明しています。当事務所には、刑事事件で有罪判決を受けた方について、判決確定までの期間に家族の在留上の地位を整え、在留特別許可を得た実績があります。結果は事案ごとに異なりますが、早めの相談が選択肢を広げます。

よくある質問

Q1. 日本に10年住んでいれば、永住許可の申請ができますか。

10年のうち5年以上が就労資格又は居住資格での在留である必要があり、技能実習と特定技能1号の期間は就労資格に含まれません。素行、独立生計、公的義務の履行なども確認されます。

Q2. 永住者と結婚して何年で永住を申請できますか。

ガイドラインでは、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ引き続き1年以上日本に在留していることが目安です。素行善良と独立生計の要件は入管法22条2項ただし書により要しません。

Q3. 夫婦とも外国人で、夫が永住者ではありません。妻は配偶者の特例を使えますか。

使えません。配偶者の特例は、日本人・永住者・特別永住者の配偶者が対象です。妻が定住者であれば定住者の特例を、そうでなければ原則10年を目安に考えます。

Q4. 配偶者の特例でも、罰金刑や拘禁刑の有無は問われますか。

入管法22条2項ただし書で緩和されるのは素行善良と独立生計の要件です。ガイドラインは日本国の利益に合することの中に、罰金刑や拘禁刑などを受けていないことを含めています。

Q5. 配偶者が永住者になるまで、刑事事件の判決確定を待ってもらえますか。

待ってもらう制度はありません。ただ、刑事判決による退去強制事由は確定で生じるため、捜査・公判に適切に対応し上訴の権利も行使すると、結果として確定までに時間が生まれることがあります。その間に申請を進めます。

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本記事は一般的な解説であり、個別の事案の結論を保証するものではありません。具体的な見通しは、事情を伺ったうえでご説明します。

最終更新日:2026年10月11日

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
外国人の刑事弁護、入管手続(退去強制・在留特別許可・監理措置)、行政訴訟を主たる注力分野とする。中国律師が在籍。
弁護方針:松村大介弁護士の弁護方針|法律に命を吹き込む
代表電話:050-7587-4639 微信ID:matsumura1119

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

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