在留期間の特例期間とは|刑事事件中に在留期限が来たときの更新申請と2か月を弁護士が解説
2026/10/11
在留期間の特例期間とは、在留期間の更新又は在留資格の変更を申請した外国人が、在留期間の満了日までに処分を受けられなかった場合に、処分がされる時か、満了日から2か月を経過する日が終了する時のいずれか早い時まで、従前の在留資格のまま日本に在留できる期間をいいます(入管法20条6項、21条4項)。
刑事事件で逮捕・起訴された外国人にとって、在留期限は判決とは別に進む時計です。期限を切らして不法残留になれば、判決の確定を待たずに退去強制事由が生じます。判決確定までの時間を家族の在留の準備に使うためにも、更新申請と特例期間の管理が欠かせません。
本記事の要点
- 特例期間は、在留期間の満了日までに更新又は変更の申請をしていることが前提で、30日以下の在留期間の人は対象外です。
- 特例期間は、申請に対する処分がされた時か、満了日から2か月を経過する日が終了する時の、いずれか早い時に終わります。
- 刑事事件の途中で在留期間が切れると、判決とは別に不法残留が退去強制事由になり、判決確定までの時間を生かせなくなります。
- 更新が認められても、判決が確定すれば入管法24条4号の2などの退去強制事由は別に生じるため、配偶者の在留上の地位を引き上げる準備を並行して進めます。
在留期間の特例期間とは何ですか。
在留期間の満了日までに申請をしたのに結果が出ていない人が、最長で満了日から2か月、従前の在留資格のまま日本に在留できる期間です。入管法20条6項が定めています。
「第二項の規定による申請があつた場合(三十日以下の在留期間を決定されている者から申請があつた場合を除く。)において、その申請の時に当該外国人が有する在留資格に伴う在留期間の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、当該外国人は、その在留期間の満了後も、当該処分がされる時又は従前の在留期間の満了の日から二月を経過する日が終了する時のいずれか早い時までの間は、引き続き当該在留資格をもつて本邦に在留することができる。」(入管法20条6項)
「特例期間」という言葉自体は条文にありませんが、この規定によって在留が認められる期間を、実務ではそう呼んでいます。審査が長引いても、申請した人が満了日の翌日から突然不法残留になるわけではない、という仕組みです。
在留期間の更新を申請した場合にも適用されますか。
適用されます。入管法20条6項は在留資格の変更についての規定ですが、21条4項が在留期間の更新の申請に準用しています。
「第二十条第四項及び第五項の規定は前項の規定による許可をする場合について、同条第六項の規定は第二項の規定による申請があつた場合について、それぞれ準用する。」(入管法21条4項)
刑事事件を抱えた方の多くは、今の在留資格のまま在留期間を延ばすことになるため、実際に問題になるのは更新申請の場合です。
特例期間はいつ始まり、いつ終わりますか。
在留期間の満了日の翌日から始まり、処分がされた時か、満了日から2か月を経過する日が終了する時のいずれか早い時に終わります。満了日を過ぎてから申請した場合には、特例期間はありません。
| 状況 | 特例期間の扱い |
|---|---|
| 満了日までに許可又は不許可の処分が出た | 特例期間は生じない |
| 満了日後、2か月以内に許可された | 許可の効力が生じた時点から新しい在留期間で在留 |
| 満了日後、2か月以内に不許可となった | 不許可の処分がされた時に特例期間が終わる |
| 2か月を経過しても処分が出ない | 満了日から2か月を経過する日が終了する時に終わる |
| 30日以下の在留期間を決定されている | 条文上、特例期間の対象外 |
| 満了日を過ぎてから申請した | 申請の時に在留期間がないため対象外 |
許可の効力は、在留カードの交付などの措置があった時に生じます(入管法20条5項、21条4項)。不許可となった場合は、その時点から在留の根拠が問題になるため、直ちに弁護士と対応を相談してください。
刑事事件の最中に在留期限が来たら、どうなりますか。
更新申請をしなければ、満了日の翌日から不法残留となり、刑事判決とは関係なく退去強制事由が生じます。逮捕・勾留されていても、在留期限は止まりません。
刑事事件を理由とする退去強制事由、たとえば入管法24条4号の2や4号リは、判決の確定によって生じるものとして運用されています。そのため、捜査段階から上訴審まで適切に対応すれば、確定までに一定の時間が生まれることがあります。しかし、その間に在留期間が切れて不法残留になれば、入管は判決の確定を待たずに手続を進めることができ、せっかくの時間が失われます。身柄を拘束されている場合の申請の方法を含め、期限の数か月前から準備を始めることが大切です。刑事事件と更新の関係は刑事事件と在留期間の更新でも取り上げています。
刑事事件中の更新申請では、何に気をつければよいですか。
更新は申請すれば当然に認められるものではなく、法務大臣が相当の理由があると認めるときに限り許可されます。申請書の記載は正確に、事実と異なる申告は決してしないことが前提です。
「前項の規定による申請があつた場合には、法務大臣は、当該外国人が提出した文書により在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、これを許可することができる。」(入管法21条3項)
在留諸申請で虚偽の内容を申告したことは、在留特別許可の判断でも消極要素として考慮されます(ガイドライン第2の9)。刑事事件の状況をどう説明するかは、刑事弁護の方針とも関わるため、弁護人と相談して決めてください。更新の実務は刑事事件中の在留期間更新で詳しく整理しています。
配偶者の在留期間にも注意が必要ですか。
必要です。在留特別許可で家族関係を積極要素として主張するには、配偶者自身が適法に在留し続けていることが前提になります。
ガイドラインは、配偶者が日本人・特別永住者である場合や、永住者・定住者など別表第二の在留資格で在留している場合の婚姻を「特に考慮する積極要素」としています(第2の2(1)ウ、(2)ウ)。判決確定までの時間を使って配偶者の永住許可や帰化を進めるとしても、その間、配偶者の在留を切らさないことが出発点です。永住許可のガイドラインも、入管法上の届出などの公的義務を適正に果たしていることを求めています。考え方の全体は在留特別許可と配偶者の在留資格をご覧ください。
弁護士は在留期限について何をしますか。
本人と配偶者の在留期限を最初の接見の段階で確認し、刑事事件の見通しと並べて管理します。
- 本人と配偶者の在留カードの満了日を確認し、更新申請の時期を決める
- 身柄拘束中の申請方法や必要書類を確認し、家族と分担して準備する
- 判決確定までの見通しを立て、配偶者の永住許可・帰化の準備と並行させる
- 特例期間中に処分が出たときの対応をあらかじめ決めておく
当事務所には、刑事事件で有罪判決を受けた方について、判決確定までの時間を生かして家族の状況を整え、在留特別許可を得た実績があります。ただし、結果は事案ごとに異なり、お約束できるものではありません。
よくある質問
Q1. 特例期間中も、これまでどおり働くことはできますか。
入管法20条6項は、特例期間中も「引き続き当該在留資格をもつて本邦に在留することができる」と定めています。そのため、従前の在留資格で認められた範囲の活動を続けることになります。範囲を超える活動は認められません。
Q2. 在留期間の満了日を1日でも過ぎてから申請した場合はどうなりますか。
入管法20条6項は、申請の時に有する在留期間の満了日までに処分がされない場合の規定であり、満了日を過ぎてからの申請には特例期間がありません。その場合は不法残留の状態となり、退去強制事由に当たります。速やかに弁護士に相談してください。
Q3. 2か月を過ぎても結果が出ないときは、どうすればよいですか。
条文上、特例期間は満了日から2か月を経過する日が終了する時に終わります。申請後は審査の進み具合を確認し、2か月に近づいても結果が出ない場合は、早めに弁護士と対応を相談してください。
Q4. 更新が認められれば、刑事事件で退去強制になることはありませんか。
そうとは限りません。更新は在留期間を延ばすだけで、判決が確定すれば入管法24条4号の2や4号リなどの退去強制事由は別に生じ得ます。更新で在留を保ちながら、配偶者の在留上の地位を引き上げる準備を進めることが大切です。
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本記事は一般的な解説であり、個別の事案の結論を保証するものではありません。具体的な見通しは、事情を伺ったうえでご説明します。
最終更新日:2026年10月11日
舟渡国際法律事務所
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