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配偶者の永住申請を急ぐべき理由|夫(妻)の刑事事件と時間の競争を弁護士が解説

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配偶者の永住申請を急ぐべき理由|夫(妻)の刑事事件と時間の競争を弁護士が解説

配偶者の永住申請を急ぐべき理由|夫(妻)の刑事事件と時間の競争を弁護士が解説

2026/10/11

夫(妻)が刑事事件で起訴され退去強制のおそれがあるときは、配偶者の永住許可申請をできるだけ早く始めるべきです。在留特別許可の判断の時点で配偶者が永住者になっていれば、その婚姻はガイドラインの「特に考慮する積極要素」に当たりますが、別表第一の在留資格のままでは当たらないからです。

刑事事件を理由とする退去強制事由は判決の確定で生じるため、捜査と公判の期間は、配偶者の永住審査を進めるための貴重な時間になります。ただ、永住の審査には時間がかかり、10年の在留要件も満たしている必要があります。判決を見てから考えるのでは間に合いません。

本記事の要点

  • 配偶者が永住者であれば、婚姻は在留特別許可に係るガイドライン第2の2(2)ウの「特に考慮する積極要素」に当たります。
  • 配偶者が別表第一の在留資格で、本人に刑事処分がある公表事例は8件あり、すべて不許可でした。
  • 退去強制令書が発付された後の事情の変化は、原則として考慮されません。
  • 永住許可は原則10年の在留が目安で、審査も長期化する傾向にあるため、判決確定までの時間との競争になります。
  • 夫(妻)の刑事事件が配偶者の永住審査にどう影響するかは一概にいえないため、弁護士と相談しながら進めることが大切です。

なぜ配偶者が永住者であることが、それほど重要なのですか。

在留特別許可に係るガイドラインが婚姻を「特に考慮する積極要素」として挙げるのは、配偶者が日本人・特別永住者か、永住者など入管法別表第二の在留資格で在留している場合に限られるからです。配偶者が「技術・人文知識・国際業務」などの別表第一の在留資格であれば、この要素には当たりません。

「当該外国人が、入管法別表第二に掲げる在留資格で在留している者と法的に婚姻している場合」(在留特別許可に係るガイドライン第2の2(2)ウ。続けて、婚姻が安定かつ成熟していることなどを求めています)

公表事例にも差が表れています。令和6年分(6月9日まで)・配偶者が正規在留外国人の場合・許可第4事例は、入管法違反(不法残留)で懲役2年6月・執行猶予3年(当時の刑名。現行法の拘禁刑に相当)の判決を受けていましたが、配偶者が永住者で、「永住者の配偶者等」として許可されました。同じ時期の不許可第3事例は、詐欺・電子計算機使用詐欺等で懲役1年6月・執行猶予3年、配偶者は「技術・人文知識・国際業務」でした。罪名が違うため単純比較はできませんが、当事務所が平成26年分から令和7年分(2025年)までの公表事例を原典で精査したところ、配偶者が別表第一の在留資格で、本人に刑事処分(執行猶予を含みます)がある事例は8件あり、すべて不許可でした。

配偶者は、いつまでに永住者になっている必要がありますか。

遅くとも、夫(妻)の在留特別許可について判断がされる時点までです。退去強制令書が発付された後に配偶者が永住者になっても、原則として考慮されません。

在留特別許可の判断は、入国審査官の認定若しくは特別審理官の判定に服し、又は法務大臣が異議の申出に理由がないと裁決した後にされます(入管法50条4項)。そのうえで、ガイドラインは次のように述べています。

「在留が認められず退去強制令書を発付された外国人は、速やかに本邦から退去することが原則となるため、退去強制令書が発付された後の事情変更等は原則として考慮されません。」(在留特別許可に係るガイドライン第3(注4))

目標は、できれば刑事判決が確定する前に、配偶者の永住許可を得ておくことです。

刑事事件の期間は、どのくらいの時間を生みますか。

事案によりますが、捜査と公判に適切に対応すれば、判決確定まで数年の時間が生まれることがあります。条文の「処せられた」「有罪の判決を受けた」は判決の確定を指すものとして運用されているからです。

刑事事件の段階退去強制事由との関係配偶者の永住申請で進めること
逮捕・勾留・起訴まだ生じていない(不法残留などを除く)要件の確認、書類の収集、申請
第1審判決控訴期間14日(刑事訴訟法373条)内に控訴すれば確定しない審査中の照会や追加資料への対応
控訴審・上告審確定まで生じない審査結果を待ちつつ、婚姻の実体を記録
判決確定24条4号の2・4号チ・4号リなどが生じ得るここまでに許可を得ておくのが理想

控訴や上告は、被告人に認められた正当な権利です。争う点があれば上訴でより良い判決を求めることができ、結果として確定までの時間も延びます。被告人だけが控訴した事件では、原判決より重い刑を言い渡すことはできません(刑事訴訟法402条)。詳しくは控訴・上告の解説をご覧ください。

なお、刑事事件の最中に本人の在留期間が切れると、判決とは別に不法残留が退去強制事由になります。在留期間の更新を切らさないことが前提です。

配偶者の永住許可には、どのような要件がありますか。

法律上は、素行善良、独立生計、永住が日本国の利益に合することが必要です(入管法22条2項)。ガイドラインは、原則として引き続き10年以上の在留を目安にしています。

「一素行が善良であること。二独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること。」(入管法22条2項)
要件内容確認のポイント
素行善良入管法22条2項1号配偶者本人に処罰歴がないか
独立生計入管法22条2項2号夫(妻)の収入に頼っていた場合の見通し
在留期間原則10年以上、うち5年以上は就労資格(技能実習・特定技能1号を除く)又は居住資格何年何月に到達するか
処罰歴「罰金刑や拘禁刑などを受けていないこと。」配偶者本人について確認
公的義務納税、公的年金・公的医療保険料の納付、入管法上の届出など納期限内に納めているか

公的義務について、ガイドラインは「当初の納税(納付)期間内に履行されていない場合は、原則として消極的に評価されます。」としています。家計が苦しい時期こそ、納期限を守ることが大切です。期間の特例は永住許可の「原則10年」と特例とはで説明しています。

審査に時間がかかるのに、なぜ判決を待ってはいけないのですか。

判決確定後に申請したのでは、永住の審査が終わる前に入管の手続が進み、間に合わないおそれが高いからです。

永住許可の審査は長期化する傾向にあります。一方、判決が確定すると、入管の違反調査、収容令書による収容又は監理措置、在留特別許可の申請、違反審査と手続が進みます。入国審査官の認定に服した場合、その日から3日以内に在留特別許可を申請しなければ退去強制令書が発付されます(入管法47条5項2号)。

逆に、逮捕や起訴の段階で準備を始めれば、刑事裁判の期間をそのまま永住の審査に充てられます。判決の前に申請を済ませておく、という順序で考えてください。

配偶者がまだ10年に届かない場合は、どうすればよいですか。

配偶者がいつ要件に届くかを正確に計算し、刑事事件の見通しと突き合わせます。判決確定より後になりそうなら、計画を立て直します。

  • 在留期間の計算:うち5年以上が就労資格又は居住資格かも確かめます。
  • 帰化との比較:帰化も2026年4月1日から、運用上、原則として10年以上の在留が求められるようになりました。どちらに早く到達できるかを比べます。
  • 刑事弁護の目標:別表第一の在留資格の人は、不起訴や罰金にとどまれば入管法24条4号の2には当たりません。薬物事件は罰金でも4号チに当たります。

永住と帰化のどちらを目指すかは配偶者は永住と帰化どちらを目指すべきかで比べています。

夫(妻)の刑事事件は、配偶者の永住審査に影響しますか。

一概にはいえません。永住許可は申請者である配偶者本人の要件で審査されますが、家族の状況も含めて確認されることがあるため、申請の時期や説明の仕方は弁護士と相談しながら決めるべきです。

当事務所には、有罪判決を受けた方について、判決確定までの期間に家族の状況を整え、在留特別許可を得た実績があります。もっとも、結論は個別の事情により異なり、許可をお約束できるものではありません。刑事弁護と配偶者の申請を並行して進める全体像は、在留特別許可と配偶者の在留資格にまとめています。逮捕の知らせを受けたら、できるだけ早くご相談ください。

よくある質問

Q1. 配偶者が永住を申請中であれば、在留特別許可で評価されますか。

ガイドライン第2の2(2)ウが対象とするのは、別表第二の在留資格で在留している者との婚姻です。申請中の段階ではまだ永住者ではないため、この要素には当たらないと考えておくべきです。

Q2. 判決が確定した後に永住許可が出ても、間に合いますか。

在留特別許可の判断(入管法50条4項)の前に許可が出ていれば、評価の対象になり得ます。しかし、退去強制令書が発付された後の事情変更は原則として考慮されません。

Q3. 控訴すると、かえって重い刑になりませんか。

被告人だけが控訴した事件では、原判決より重い刑を言い渡すことはできません(刑事訴訟法402条)。控訴期間は14日です(同法373条)。

Q4. 配偶者が定住者や永住者の配偶者等の場合も、永住を急ぐ必要がありますか。

定住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等も別表第二の在留資格なので、その配偶者との婚姻はすでに第2の2(2)ウの対象です。別表第一の場合ほど急ぐ必要はありませんが、在留期間の更新が途切れないよう管理してください。

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本記事は一般的な解説であり、個別の事案の結論を保証するものではありません。具体的な見通しは、事情を伺ったうえでご説明します。

最終更新日:2026年10月11日

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
外国人の刑事弁護、入管手続(退去強制・在留特別許可・監理措置)、行政訴訟を主たる注力分野とする。中国律師が在籍。
弁護方針:松村大介弁護士の弁護方針|法律に命を吹き込む
代表電話:050-7587-4639 微信ID:matsumura1119

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

中文版(简体):配偶为何要尽早申请永住|丈夫(妻子)涉刑事案件时与时间赛跑(律师解说)

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