示談が成立してから不起訴処分が出るまでの流れと、勾留期間の中での時間配分
2026/08/13
示談が成立しても、その日のうちに釈放されるわけではありません。示談書は検察官に提出され、弁護人の意見書とともに検討されたうえで、処分の判断が下されます。身柄事件では勾留の満期という締切があり、そこから逆算して交渉の日程を組む必要があります。また、不起訴処分が出た後も、在留資格に関する手続が残る場合があります。ここでは、示談書の調印から処分の告知、そして釈放後の入管対応までを、時間軸に沿って整理します。
本記事の要点
- 身柄事件では、勾留期間(原則10日、延長で最大20日)の満期が処分の締切になります。
- 示談書は調印後すぐに検察官へ提出し、意見書で不起訴を求める理由を具体的に述べます。
- 不起訴処分の告知は自動ではなく、被疑者側から請求して処分告知書を得ます(刑事訴訟法259条)。
- 釈放後も、資格外活動や不法残留がある場合は入管法19条や24条2号の2などの手続が別に進みます。
示談書の調印後、検察官への提出はどう進みますか
調印の当日または翌日には提出するのが実務です。検察官は勾留満期の前日までに処分方針を固めることが多く、書類が届くのが遅れると判断材料に入らないおそれがあるためです。提出は、示談書の写しに加え、弁護人の意見書、被害弁償の裏付けとなる振込記録、被害者が処罰を望まない旨を記した書面、身元引受書、再発防止の計画などを一括して行います。意見書では、事実関係を争わない旨、被害が回復した経緯、本人の生活状況と監督体制、外国籍の場合は在留への影響までを述べ、起訴猶予(刑事訴訟法248条)が相当である理由を組み立てます。提出後は担当検察官に連絡し、受領と検討状況を確認します。
勾留期間の中でどのように日程を組みますか
逆算での日程管理が要点になります。勾留は原則10日で、やむを得ない事由があるときは通じて10日を超えない範囲で延長されます(刑事訴訟法208条)。したがって最長20日が処分までの持ち時間です。実務では、逮捕直後に弁護人を選任し、検察官を通じて被害者の意向を確認し、連絡先の開示を得るまでに数日を要します。交渉と金銭の準備にさらに時間がかかりますので、送金や親族との調整が必要な場合は初日から並行して着手します。満期の2日前には示談書を提出できるよう組み立て、間に合わない見込みが立った時点で、処分保留や在宅への切替えを求める交渉に方針を移します。
不起訴になったことはどうやって確認しますか
検察官に処分結果を照会し、必要に応じて不起訴処分告知書の交付を請求します(刑事訴訟法259条)。不起訴の告知は当然にはなされないため、請求して書面を得ておくことが重要です。この書面は、勤務先への説明、在留期間更新の申請、在留特別許可の手続などで、刑事処分が科されていないことを示す資料になります。ただし、告知書には不起訴の理由が記載されないことが通常で、嫌疑なしか起訴猶予かの区別は明示されません。理由の区別が在留審査で意味を持つ場面もありますので、弁護人が交渉の経過を整理した報告書を併せて用意しておくと説明がしやすくなります。
釈放された後、入管の手続はどうなりますか
刑事処分が終わっても、在留資格の問題が自動的に解決するわけではありません。不起訴であれば拘禁刑に処せられていませんので、別表第一の在留資格の方も入管法24条4号の2の退去強制事由には該当しません。しかし、勤務先を離職している、届出をしていない、資格外活動をしていたといった事情があれば、入管法19条違反や在留資格取消し(同法22条の4)が別に問題になります。在留期限が迫っている場合は、釈放後すぐに更新や変更の申請を検討します。退去強制手続に移行した場合でも、収容によらない監理措置(同法44条の2以下)や在留特別許可(同法50条)を求める道があります。
よくあるご質問
示談が満期に間に合わない場合はどうなりますか
交渉が進行中であることを検察官に示し、処分保留による釈放や、在宅事件への切替えを求めることになります。示談の見込みを裏付ける資料、例えば被害者側との連絡経過や金銭の準備状況を具体的に示せるかが分かれ目です。起訴後でも示談は量刑上意味を持ちますので、交渉自体は継続します。
不起訴になれば前科は残りませんか
前科は付きません。ただし、捜査を受けた記録としての前歴は残ります。前歴は一般に公開されるものではありませんが、将来別の事件で処分を検討する際に参照されます。在留資格の審査でも事件の存在自体は質問されることがありますので、正確に説明できる準備をしておくほうが安全です。
不起訴でも在留カードに影響はありますか
不起訴自体が在留カードの記載を変えることはありません。もっとも、勤務先を退職した、届出事項に変更が生じたといった事情があれば、入管法上の届出義務が別途生じます。届出を怠った状態が続くと更新審査で不利に働きますので、釈放後は速やかに在留状況を点検してください。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。
当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。
これまでの解決実績の一部をご紹介いたします。
- 盗撮被害の事案において、刑事告訴と示談交渉を担当し、300万円の慰謝料の支払を内容とする示談を成立させた事例(被害者代理人)。
- 特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案において、取調べへの対応と主張立証を尽くし、全件について不起訴処分を獲得した事例。
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本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
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