無銭飲食・無賃乗車で通報されたとき|成立する罪と在留への影響
2026/08/13
飲食店で代金を支払わずに店を出る、運賃を支払わずに電車に乗るといった行為は、状況によって刑法246条の詐欺罪が成立します。当初から支払う意思がなかったのか、飲食の後に支払えないことが判明したのかによって、成立する条項も結論も変わります。金額が小さいため軽く考えられがちですが、詐欺罪は入管法24条4号の2の対象であり、別表第一の在留資格の方にとっては在留を失いかねない事件です。
本記事の要点
- 当初から支払意思がなく飲食した場合は、刑法246条1項の詐欺罪が成立します。
- 支払を免れるために店員を欺いて退去した場合は、同条2項の詐欺利得罪が問題となります。
- 無賃乗車については、詐欺罪のほか鉄道営業法上の処罰規定や増運賃の請求があります。
- 詐欺罪は入管法24条4号の2の対象であるため、罰金または不起訴での解決を目指します。
無銭飲食はどの条文で処罰されますか
無銭飲食は、行為の時点によって適用条項が変わります。最初から代金を支払う意思がないのに注文した場合は、店をだまして飲食物の交付を受けたものとして、刑法246条1項の詐欺罪が成立します。これに対し、飲食後に所持金がないことに気づき、電話をかけてくると偽って店を出た場合には、支払を免れるという財産上の利益を得たものとして、同条2項の詐欺利得罪が問題となります。他方、店員に何も告げずに黙って走り去った場合には、欺く行為がないため詐欺罪の成立が争われることがあります。
無賃乗車ではどのような責任が生じますか
無賃乗車では、刑事責任と民事上の責任の双方が生じ得ます。他人の定期券を使う、改札を通らずに乗車するといった行為は、鉄道事業者を欺いて運送という利益を得たものとして詐欺罪が問題となるほか、鉄道営業法29条にも不正乗車を処罰する規定が置かれています。加えて、運送約款に基づき、正規の運賃に加えて増運賃を請求されるのが通常です。定期券の不正使用が長期間にわたる場合には請求額が高額となり、鉄道事業者が刑事告訴に踏み切る例もありますので、早期の精算が重要です。
取調べではどこが問われますか
問われるのは、注文または乗車の時点における支払の意思と能力です。所持金がいくらあったのか、支払える見込みをどう考えていたのか、後日支払う意思を伝えたのかといった点が具体的に確認されます。飲酒による判断力の低下や、財布を紛失したという事情は、故意の認定に関わる重要な事実です。他方、これらを後から思いついたように述べても信用されにくいため、当初から正確に説明することが必要です。金額が小さい事件でも、供述の一貫性は結論を左右します。
在留への影響と目指すべき解決
詐欺罪は入管法24条4号の2の対象となる罪に含まれるため、留学、家族滞在、技術・人文知識・国際業務といった別表第一の在留資格の方は、拘禁刑に処せられれば執行猶予が付いても退去強制事由に該当します。したがって、目指すべきは、支払を済ませたうえでの不起訴処分です。飲食店や鉄道事業者は、精算と謝罪があれば被害届の提出や告訴に至らないことも多く、迅速な対応が結果を大きく変えます。金額の小ささに安心せず、事件化した段階で速やかに対応してください。
よくあるご質問
財布を忘れただけでも詐欺になりますか
注文の時点で支払う意思と能力があったのであれば、詐欺罪は成立しません。忘れたことに気づいた後、店に事情を説明し支払方法を相談していれば、なおさらです。問題となるのは、支払を免れるために虚偽を述べて店を出た場合です。
後から支払えば事件になりませんか
支払によって被害が回復されれば、被害届が出されない、あるいは起訴猶予となる可能性が高まります。ただし、すでに捜査が始まっている場合には、支払だけで当然に終了するわけではありません。謝罪と経緯の説明を併せて行ってください。
定期券を貸し借りした場合も罪になりますか
他人名義の定期券を使用する行為は不正乗車にあたり、詐欺罪や鉄道営業法29条の問題となります。貸した側も関与を問われる可能性があります。増運賃の請求も高額になりやすいため、判明した時点で速やかに精算してください。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。
当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。
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本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
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