銅線・金属盗で摘発されたとき|組織性の評価と外国人の在留リスク
2026/08/13
太陽光発電所や工事現場からの銅線、側溝の蓋、電線、金属スクラップの窃取は、刑法235条の窃盗罪にあたります。近年は被害が全国的に広がり、令和6年には金属の買取業者に対する規制を強化する法律が成立するなど、取締りが強化されている分野です。複数人での反復的な犯行として組織性が問われやすく、量刑も重くなる傾向にあります。外国籍の方が関与を疑われた場合、在留への影響は極めて大きくなりますので、初動での説明の仕方が結果を左右します。
本記事の要点
- 銅線や金属の窃取は刑法235条の窃盗罪で、施設への立入態様により建造物侵入も問題となります。
- 令和6年に金属くずの買取業者への規制を強化する法律が成立し、取締りが強化されています。
- 複数人での反復的な犯行は組織性が重く評価され、実刑となる可能性が高まります。
- 別表第一の在留資格では、拘禁刑に処せられると執行猶予付きでも入管法24条4号の2に該当します。
銅線盗はどのように立件されますか
銅線盗の立件は、犯行場所の防犯カメラや作業用機材の記録、車両のナンバー自動読取システムの通過記録、そして金属買取業者の取引記録の突合せによって進みます。買取時に本人確認書類の提示と記録の保存が求められるため、売却先の記録から関与者が特定される例が多く見られます。犯行そのものが未明の時間帯であっても、車両の移動経路と売却の時刻が結びつけば、客観的な証拠として機能します。したがって、「見つかっていないから大丈夫」という前提は成り立ちません。売却の記録は長く残ります。
どのような点が重く評価されますか
重く評価されるのは、反復性、計画性、被害の規模、そして役割分担の存在です。太陽光発電設備や変電設備からの銅線窃取は、被害額が大きいだけでなく、電力供給や工事の安全に影響を与えるため、社会的な影響も考慮されます。複数人が車両、工具、売却先を分担している場合には、組織的な犯行として評価され、初犯であっても実刑が選択される可能性が高まります。設備を切断した行為について器物損壊罪(刑法261条)が問題となる場合もあり、罪数が増えることで量刑はさらに重くなります。
自分は運転や運搬だけだと説明できますか
役割が運転や運搬にとどまることは、量刑上意味のある主張です。ただし、窃取の計画を知りながら現場まで送迎し、盗品を運んだ場合には、共同正犯として実行行為者と同等に評価されることがあります。重要なのは、いつ、どの範囲で事情を知ったのか、報酬の約束があったのか、どの程度の意思決定に関与したのかを、客観的な資料と整合する形で説明することです。曖昧な説明は、かえって全体への関与を推認させます。取調べの前に弁護人と方針を確認し、通訳の正確性にも注意してください。
在留を守るために何ができますか
在留を守るには、まず拘禁刑を回避すること、それが困難な場合でも刑期をできる限り短くすることが基本になります。別表第一の在留資格では、窃盗罪で拘禁刑に処せられると執行猶予付きでも入管法24条4号の2により退去強制事由に該当し、別表第二であっても1年を超える実刑であれば同条4号リが問題となります。被害弁償は金額が大きくなりがちですが、分割による弁償計画、勤務先の協力、家族の援助を具体的に示すことで、量刑上の評価は変わり得ます。早期に資力と支援体制を整理してください。
よくあるご質問
落ちていた金属くずを拾って売った場合も罪になりますか
その金属が誰かの管理下にあれば窃盗罪となり、管理を離れた物であれば遺失物等横領罪(刑法254条)の問題となります。工事現場や施設内に置かれた資材は通常管理下にあると評価されますので、拾得物との区別は慎重に検討する必要があります。
買取業者に身分証を出していれば軽くなりますか
身分証の提示は、犯行の隠蔽を図っていないという評価につながる余地はありますが、罪の成立には影響しません。むしろ取引記録から関与が特定される端緒となります。売却の事実を前提に、経緯を正確に説明する準備が必要です。
技能実習中ですが、事件になると帰国になりますか
拘禁刑に処せられれば入管法24条4号の2の問題が生じます。加えて、受入れ機関との雇用関係が終了すれば在留資格に該当する活動を欠くこととなり、同法22条の4による在留資格取消しの検討対象にもなり得ます。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区・高田馬場駅から徒歩約5分)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として取り扱っております。刑事事件と在留の問題を別々の専門家に分けて依頼するのではなく、同一の弁護士が最初の接見から入管手続まで一貫して担当いたします。
当事務所には外国人事件専属の中国語通訳が在籍しており、接見、取調べへの立会い、ご家族との打合せに対応いたします。中国国内にいらっしゃるご家族からのご連絡も、微信(WeChat)で直接お受けしております。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携する行政書士とともに対応いたします。
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本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
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