ストーカー警告に納得がいかない方へ|警告は争えるのか――処分性を認めた令和6年大阪高裁判決を獲得した弁護士が解説
2026/08/06
「身に覚えのない事実で警告を受けた」「相手方の一方的な申告だけで警告が出された」――ストーカー規制法に基づく警告に納得がいかず、取消しや撤回を求めたいという相談は少なくありません。従来、警告は「行政指導にすぎないから裁判では争えない」と扱われてきました。しかし、当事務所が獲得した令和6年6月26日大阪高裁判決は、この従来の枠組みに正面から一石を投じたものです。本記事では、警告の法的性質と、納得できない場合に取り得る選択肢を解説いたします。
本記事の要点
- ストーカー警告は、従来「行政指導であり取消訴訟の対象にならない」と扱われてきました。
- 令和6年6月26日大阪高裁判決は、警告が単なる行政指導ではなく法的効果を持つことを認め、警察側の主張を排斥しました(当事務所の松村大介弁護士が獲得した判決です)。
- 警告に納得がいかない場合、事実関係の反論・記録の保全のうえで、法的に争う余地を検討することができます。
- 他方、対応を誤ると禁止命令や逮捕に進むリスクがあるため、争う場合も慎重かつ迅速な対応が必要です。
ストーカー警告とは何か
警告は、ストーカー規制法4条に基づき、つきまとい等をした者に対し、警察本部長等が「さらに反復してはならない」旨を告げる制度です。被害申告を受けた警察が、行為者を呼び出して文書または口頭で行うのが通常です。警告自体に罰則はありませんが、警告後もつきまとい等を反復すると、公安委員会による禁止命令(同法5条)や検挙へと段階が進みます。
なぜ「警告は争えない」とされてきたのか
取消訴訟で争えるのは、法律上「処分」に当たる行為に限られます。警告について従来の実務は、法的義務を課すものではない行政指導であり処分性がない、として訴えを門前払いにしてきました。その結果、身に覚えのない警告を受けても、記録上「ストーカー行為者」として扱われたまま、争う手段が事実上ないという問題が指摘されてきました。
令和6年6月26日大阪高裁判決の意義
当事務所の松村大介弁護士が代理人を務めたストーカー規制法警告処分取消等請求控訴事件において、大阪高裁は令和6年6月26日、警告が単なる行政指導ではなく法的効果を持つものであることを前提に、警察側の主張を全面的に排斥する判決を言い渡しました。警告の処分性を正面から認めた点で先例的価値が高く、「警告は争えない」という従来の常識を見直す契機となる判断です。もっとも、個々の警告が争い得るか、どのような手続を選択すべきかは、事案ごとの事実関係に大きく依存します。
警告に納得できない場合の進め方
まず、警告書の写し・交付日時・警察とのやり取りを正確に記録し、相手方とされる人物との関係や経緯を示す客観資料(メッセージ履歴、通話記録、目撃者など)を保全してください。そのうえで、①事実誤認を警察に説明して是正を求める、②取消訴訟等の法的手続を検討する、③今後の接触を避けて慎重に行動記録を残す、といった選択肢を、弁護士とともに検討することになります。冤罪型の警告(誤解や虚偽申告に基づくもの)では、初期の反論資料の質が結論を左右します。
放置するリスク
警告に不服があっても感情的に相手方へ抗議することは絶対に避けてください。それ自体がつきまとい等と評価され、禁止命令、さらには逮捕(禁止命令等違反のストーカー行為は2年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金)へと進む危険があります。争うことと、行動を慎むことは両立させる必要があります。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士は、上記大阪高裁勝訴判決のほか、ストーカー規制法をめぐる行政・刑事双方の事件、警察の処分への不服申立てに関する事件を多数取り扱ってまいりました。相談から解決まで松村弁護士が全工程を直接担当いたします。外国籍の方のご相談には、外国人事件に精通した中国語専属通訳が対応可能です。
結びに
警告は、その後の禁止命令・刑事事件の出発点となる重要な行政上の行為です。納得がいかないまま放置せず、早期に記録を整えて専門家にご相談ください。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例・判決は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。ストーカー規制法警告処分取消等請求控訴事件での勝訴(令和6年6月26日大阪高裁判決)の実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639
東京にて中国人の方をサポート
東京を中心に刑事事件の弁護
----------------------------------------------------------------------