「学校や会社に知られなければ大丈夫」の落とし穴|逮捕から退学・解雇、在留資格取消しへの連鎖
2026/07/22
刑事事件を起こしてしまった外国人の方やご家族から、「学校(会社)にさえ知られなければ、在留資格は大丈夫でしょうか」というご質問をよくいただきます。お気持ちは理解できますが、この問いの立て方自体に、危険な見落としが潜んでいます。外国人事件の本当の怖さは、刑事処分の重さそのものよりも、身柄拘束の長期化が生活の基盤を壊し、それが在留資格を壊すという連鎖にあるからです。
連鎖の構造:逮捕から在留資格喪失まで
典型的な連鎖はこう進みます。逮捕・勾留により、学校や職場に事情を説明できないまま欠席・欠勤が続く。やがて在籍の継続が困難となり、退学・解雇に至る。すると、留学や就労系の在留資格の基礎となる「活動」そのものが失われる。入管法22条の4第1項は、在留資格に応じた活動を継続して3月以上行わないで在留している場合などを在留資格取消しの事由と定めており(正当な理由がある場合は除かれます)、また次回の在留期間更新においても、活動実績の欠如と刑事事件の存在が二重の障害となります。つまり、刑事処分が罰金や不起訴で終わったとしても、身柄拘束の長期化と退学・解雇という中間項を経由して、在留の基盤が崩れうるのです。
だからこそ「早期釈放」が在留を守る
この連鎖を断ち切る鍵は、できる限り早い身柄解放です。勾留決定を争う準抗告、勾留取消請求、起訴後であれば保釈請求など、日本の刑事手続には身柄解放のための手段が用意されています。釈放が早ければ、学籍・雇用を維持したまま手続に対応できる可能性が高まり、在留資格の基礎が守られます。当事務所が外国人事件で身柄解放活動を特に重視するのは、それが刑事弁護であると同時に在留資格の防衛活動でもあるからです。
学校・会社への対応は弁護士と共に
学校・勤務先への説明は、隠し通そうとするのでも、無防備にすべてを伝えるのでもなく、事案の見通しを踏まえた適切な範囲の説明を、適切なタイミングで行うことが重要です。虚偽の説明は後に発覚したとき致命的です。休学・休職の制度の活用、復学・復職の条件の確認など、在籍を維持するための現実的な調整は、弁護人のサポートのもとで進めることをお勧めします。なお、退学・解雇や在留資格の取消しといった処分に対しては、行政手続・行政争訟として争う余地が問題となる場合もあり、この局面でも法的検討が有用です。
注意すべきポイント3つ
- 「バレていないから何もしない」は最悪の選択です。時間の経過とともに、活動実績の空白は取り返しがつかなくなります。
- 学校・会社への報告内容は、必ず弁護士と相談してから決めること。
- 更新時期が近い方は、刑事事件への対応と更新申請の準備を一体として設計する必要があります。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続に豊富な実績を有しています。在留資格を失い刑事裁判となった依頼者について、婚姻・認知の壁を乗り越えて難関とされた在留特別許可を獲得した事例、書面上の記載と実態の乖離が争われた企業関係事件で東京地裁・東京高裁いずれも勝訴した事例、警察の処分の法的性質を正面から争い大阪高裁で勝訴した行政訴訟の事例など、刑事・行政の双方にまたがる紛争解決の経験を有しています。不法就労助長罪の認定事件で前例のない在留特別許可を獲得した実績もございます。
松村弁護士が全工程を直接担当し、中国語専属通訳が常駐しています。休学・退学・転職に伴う在留資格の変更・更新は、提携の行政書士と連携して対応いたします。
結語
外国人刑事事件では、警察・検察との戦いと同時に、生活の基盤を守る戦いが進行しています。「知られるかどうか」ではなく「基盤を維持できるかどうか」に目を向けることが、在留を守る第一歩です。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。(本記事は2026年7月時点の情報に基づいています。)
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639
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