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在留特別許可が不許可になった後|取消訴訟・執行停止と配偶者の事情の主張を弁護士が解説

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在留特別許可が不許可になった後|取消訴訟・執行停止と配偶者の事情の主張を弁護士が解説

在留特別許可が不許可になった後|取消訴訟・執行停止と配偶者の事情の主張を弁護士が解説

2026/10/11

在留特別許可が不許可になっても、それで終わりではありません。不許可の理由書を読み込み、取消訴訟と執行停止の申立てによって、配偶者や子との生活を守る事情を裁判所に改めて示すことができます。

ただし、不許可の後は退去強制令書が速やかに発付され、送還に向けた手続が進みます。時間との勝負になるため、何が起き、何ができるのかを先に知っておくことが大切です。

本記事の要点

  • 在留特別許可をしない処分は、理由を付した書面で本人に通知されます(入管法50条10項)。
  • 不許可の処分を受けると、主任審査官は速やかに退去強制令書を発付します(入管法47条5項3号)。発付後は在留特別許可の申請はできません(入管法50条3項)。
  • 不許可処分と退去強制令書発付処分は取消訴訟で争えますが、送還を止めるには執行停止の申立ても検討する必要があります。
  • 裁判では、配偶者や子の事情、事情の近い公表事例との違いを示し、処分が裁量の範囲を逸脱・濫用したことを主張します。
  • 退去強制令書の発付後の事情変更は入管の運用上原則として考慮されないため、配偶者の永住許可などは不許可になる前に進めておくべきです。

在留特別許可が不許可になると、その後どうなりますか。

理由を付した書面で不許可が通知され、続いて退去強制令書が発付されます。この段階から、送還に向けた手続が本格的に動き出します。

「法務大臣は、在留特別許可の申請があつた場合において在留特別許可をしない処分をするときは、法務省令で定める手続により、速やかに理由を付した書面をもつて、当該申請をした外国人にその旨を知らせなければならない。」(入管法50条10項)

不許可の処分を受けたときは、主任審査官が速やかに退去強制令書を発付することになっています(入管法47条5項3号。口頭審理や異議の申出を経た場合も同様の準用があります)。そして、在留特別許可の申請は、退去強制令書が発付された後はすることができません(同法50条3項)。入管の手続の中で同じ申請をやり直す道は、ここで閉じることになります。

不許可の理由書は、何のために読むのですか。

入管がどの事情を重く見て、どの事情を評価しなかったのかを把握するためです。理由書は、取消訴訟で何を争うかを決める出発点になります。

確認するポイントは次のとおりです。

  • 退去強制の理由となった事実(罪名、刑の重さ)をどう評価しているか
  • 配偶者との婚姻を、ガイドラインの「特に考慮する積極要素」として扱ったか
  • 子の監護養育、在留期間、地域社会との関係をどう評価したか
  • 申請で主張した事情のうち、理由書で触れられていないものはどれか

主張したのに理由書で触れられていない事情は、考慮すべき事情を考慮しなかったという主張の手がかりになります。理由書と申請時の資料は、必ず手元に保管してください。

不許可の処分は、裁判で争えますか。

争えます。在留特別許可をしない処分と退去強制令書の発付処分について、行政事件訴訟法に基づく取消訴訟を起こすことができます。出訴できる期間には限りがあるため、通知を受けたらすぐに弁護士に相談してください。

手段対象・内容目的
取消訴訟在留特別許可をしない処分、退去強制令書発付処分処分の取消しを求める
執行停止の申立て退去強制令書の執行(送還など)判決までの間の送還を止める
自ら退去する許可(入管法52条4項)自らの負担で出国一定の場合、上陸を拒否される期間を1年とする決定を受けられることがある(同条5項)

最後の行は争う手段ではありませんが、過去に退去強制や出国命令による出国の経験がない人などが対象で、将来日本に戻る道を残す選択肢として比較検討します。訴訟の流れは退去強制の取消訴訟で詳しく説明しています。

取消訴訟を起こせば、送還は止まりますか。

訴訟を起こしただけでは、送還は止まらないのが原則です。送還を止めるには、裁判所に執行停止を申し立て、認められる必要があります。

入管法は、退去強制令書の執行について次のように定めています。

「退去強制令書を執行するときは、退去強制を受ける者に退去強制令書又はその写しを示して、速やかにその者を第五十三条に規定する送還先に送還しなければならない。」(入管法52条3項)

このため、取消訴訟と執行停止の申立ては、できるだけ同時に準備します。直ちに送還できないときは、主任審査官が監理措置に付すか収容するかを審査することになっており(同条8項)、その段階での家族の関わり方も検討が必要です。執行停止については退去強制令書の執行停止をご覧ください。

裁判では、配偶者の事情をどう主張しますか。

入管法50条5項が考慮事情として定める「家族関係」が正しく評価されたかを中心に、処分が裁量の範囲を逸脱し又は濫用したものであることを主張します。配偶者の在留資格、婚姻の期間と実態、子の監護養育を、具体的な証拠で示します。

主張の柱は次の3つです。

  • ガイドライン第2の2の「特に考慮する積極要素」に当たる家族関係を、適切に評価していないこと
  • 事情の近い公表事例では許可されているのに、合理的な理由なく異なる判断をしたこと(平等原則)
  • 退去強制の理由となった事実の程度に比べ、家族と引き離す不利益が大きすぎること(比例原則)

公表事例を使った主張の組み立て方は公表事例を使った主張の組み立てで整理しています。裁判では、刑事処分の内容だけでなく、配偶者の在留資格や日本で育った子の生活など家族の具体的な事情が、裁量の逸脱・濫用の有無を判断する材料になります。だからこそ、家族の事情は証拠で丁寧に示す必要があります。

不許可の後に配偶者が永住許可を受けたら、考慮されますか。

入管の運用上、退去強制令書が発付された後の事情変更は原則として考慮されないとされています。取消訴訟でも処分の時点の事情が審理の中心になるのが一般的であり、後から配偶者の地位が変わっても、それだけで結論が変わるとは限りません。

「在留が認められず退去強制令書を発付された外国人は、速やかに本邦から退去することが原則となるため、退去強制令書が発付された後の事情変更等は原則として考慮されません。」(ガイドライン第3の注4)

だからこそ、配偶者の永住許可や帰化は、在留特別許可の判断より前に済ませておくことが重要です。配偶者が永住者や日本人であれば、婚姻はガイドラインの「特に考慮する積極要素」に当たります(第2の2(1)ウ・(2)ウ)。

不許可を避けるために、刑事事件の段階で何ができますか。

刑事判決を理由とする退去強制事由は判決の確定によって生じるため、確定までの時間を使って家族の状況を整えることができます。不許可になってから争うより、不許可にならない状況を先に作る方が、現実的な道です。

捜査段階で不起訴や罰金を目指すこと、事実や量刑に争う点があれば上訴によってより良い判決を求めること、その間に配偶者の永住許可や帰化を進めること。当事務所には、刑事事件で有罪判決を受けた方について、判決確定までの期間に家族の状況を整え、在留特別許可を得た実績があります。全体の考え方は在留特別許可と配偶者の在留資格をご覧ください。

よくある質問

Q1. 不許可の後、もう一度在留特別許可を申請できますか。

不許可の処分を受けると速やかに退去強制令書が発付され(入管法47条5項3号)、発付後は在留特別許可の申請はできません(同法50条3項)。入管の手続の中で争う道は閉じるため、取消訴訟などを検討することになります。

Q2. 取消訴訟はいつまでに起こせばよいですか。

出訴できる期間が法律で定められています。処分の通知を受けたら、理由書と通知書を持ってすぐに弁護士に相談してください。送還を止める執行停止の申立ても、並行して準備する必要があります。

Q3. 訴訟中は家族と一緒に暮らせますか。

執行停止が認められるか、監理措置に付されるか、収容されるかによって異なります。直ちに送還できないときは、主任審査官が監理措置に付すか収容するかを審査します(入管法52条8項)。

Q4. 配偶者が別表第一の在留資格でも、裁判で勝てる見込みはありますか。

個別の事情によるため一概には言えません。公表事例では、配偶者が別表第一の在留資格で本人に刑事処分がある事例はすべて不許可でした。裁判では家族の具体的な事情を丁寧に示すことになりますが、できれば不許可になる前に配偶者の地位を整えておくことが望まれます。

Q5. 自分から出国した場合、日本に戻ることはできますか。

退去強制令書の発付を受けた人が自らの負担で出国する許可を受けた場合、一定の条件を満たせば、上陸を拒否される期間を1年とする決定を受けられることがあります(入管法52条4項・5項)。過去に退去強制や出国命令による出国の経験がないことなどが条件です。

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本記事は一般的な解説であり、個別の事案の結論を保証するものではありません。具体的な見通しは、事情を伺ったうえでご説明します。

最終更新日:2026年10月11日

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
外国人の刑事弁護、入管手続(退去強制・在留特別許可・監理措置)、行政訴訟を主たる注力分野とする。中国律師が在籍。
弁護方針:松村大介弁護士の弁護方針|法律に命を吹き込む
代表電話:050-7587-4639 微信ID:matsumura1119

舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

中文版(简体):在留特别许可被拒之后|撤销诉讼、停止执行与配偶情况的主张(律师解说)

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