収容令書とは|収容と監理措置の分かれ目、在留特別許可申請の入口を弁護士が解説
2026/10/11
収容令書とは、入国警備官の違反調査の結果、退去強制事由(入管法24条各号)に該当すると疑うに足りる相当の理由がある外国人について、主任審査官が収容すると判断した場合に、その外国人を入管の施設に収容する根拠となる令書をいいます(入管法39条2項、50条2項)。
令和5年改正法(令和6年6月10日施行)により、主任審査官は、収容するか、収容しないで監理措置に付すかを審査することになりました。収容令書による収容と監理措置決定は、どちらも在留特別許可を申請できるようになる入口です。刑事事件の後に入管の手続へ移る外国人とその家族にとって、この段階をどう迎えるかは大きな意味を持ちます。
本記事の要点
- 違反調査で退去強制事由に当たる疑いの相当の理由があると、主任審査官が監理措置に付すか収容するかを審査します(入管法39条2項)。
- 収容しないで手続を進めることが相当と認められれば、収容令書ではなく監理措置決定がされます(同法44条の2第1項)。
- 収容令書による収容又は監理措置決定を受けると、在留特別許可を申請できるようになります(同法50条2項)。
- 収容された後でも、本人は主任審査官に監理措置に付するよう請求できます(同法44条の2第4項)。
収容令書とは何ですか。
退去強制手続を進めるために、外国人を入管の施設に収容する根拠となる令書です。収容するかどうかは、違反調査の後に主任審査官が審査して決めます。
「前項の規定による通知を受けた主任審査官は、容疑者が第二十四条各号のいずれかに該当すると疑うに足りる相当の理由があると認めるときは、第四十四条の二第一項の規定による監理措置に付すか収容するかを審査しなければならない。」(入管法39条2項)
以前は、退去強制事由に当たる疑いがあれば収容することが原則とされていましたが、現在は、収容と監理措置のどちらにするかを個別に審査する仕組みです。収容令書は、その審査の結果、収容と判断された場合に用いられます。
収容と監理措置は、どう違いますか。
収容は入管の施設に身柄を置いたまま手続を進めるもの、監理措置は監理人の監理のもとで自宅などで生活しながら手続を進めるものです。在留特別許可を申請できる点は共通しています。
「容疑者が逃亡し、又は証拠を隠滅するおそれの程度、収容により容疑者が受ける不利益の程度その他の事情を考慮し、容疑者を収容しないでこの章に規定する退去強制の手続を行うことが相当と認めるときは、容疑者を監理措置(次条に規定する監理人による監理に付する措置をいう。以下この節において同じ。)に付する旨の決定をするものとする。」(入管法44条の2第1項)
| 項目 | 収容令書による収容 | 監理措置 |
|---|---|---|
| 生活の場 | 入管の収容施設 | 自宅など(住居及び行動範囲の制限あり) |
| 選ばれる場合 | 監理措置が相当と認められないとき | 逃亡・証拠隠滅のおそれの程度、収容による不利益の程度などから相当と認められるとき(44条の2第1項) |
| 保証金 | なし | 必要な場合、300万円を超えない範囲で法務省令の定める額(同条2項) |
| 監理人 | なし | 監理人による監理に付される |
| 在留特別許可の申請 | できる(50条2項) | できる(50条2項) |
監理措置の詳しい内容は監理措置とはで説明しています。
収容令書は、在留特別許可とどう関係しますか。
収容令書により収容されることが、在留特別許可を申請できる条件の一つです。監理措置決定を受けた場合も同じく申請できます。
入管法50条2項は、在留特別許可の申請者を、収容令書により収容された外国人又は監理措置決定を受けた外国人と定めています。逆にいえば、収容も監理措置もされていない段階では申請できません。申請できる人と時期は在留特別許可の申請権者とはにまとめています。
在留特別許可がされた場合、収容されている人は放免されます。
「主任審査官は、法務大臣から在留特別許可をする旨の通知を受けたときは、その者が被監理者であるときを除き、直ちに当該外国人を放免しなければならない。」(入管法50条9項)
刑事事件の後、収容令書はいつ問題になりますか。
刑事判決を理由とする退去強制事由は、判決の確定によって生じるものとして運用されているため、収容か監理措置かが問題になるのは、通常は判決確定の後です。
執行猶予付きの判決が確定した場合は、その後に入管の違反調査が始まり、収容か監理措置かが審査されます。実刑判決の場合は、刑の執行を終えた後や仮釈放の際に入管の手続へ移ることになります。刑事施設から入管の手続に移る場面での対応は刑務所からの監理措置で扱っています。
なお、別表第一の在留資格の人が窃盗や詐欺などで拘禁刑に処せられた場合(入管法24条4号の2)は執行猶予付きでも、薬物事件は罰金でも(同条4号チ)、退去強制事由になります。刑事弁護の段階からこの見通しを持っておくことが大切です。
収容された後に、監理措置を求めることはできますか。
できます。収容された本人は、主任審査官に対して、自分を監理措置に付するよう請求できます。主任審査官は職権で監理措置に切り替えることもあります。
「法務省令で定めるところにより、主任審査官に対し、自己を監理措置に付することを請求することができる。」(入管法44条の2第4項)
本人が16歳未満の場合や、病気などで自ら請求できない場合は、同居する配偶者、子、父母などが代わって請求できます(同条5項)。請求が認められなかったときは、理由を付した書面で通知されます(同条9項)。請求にあたっては、逃亡や証拠隠滅のおそれが低いこと、収容によって本人や家族が受ける不利益が大きいことを、具体的な資料で示すことになります。
監理措置中に気をつけることは何ですか。
付された条件を守ることです。監理措置中の条件違反は、在留特別許可の判断で不利に扱われます。
在留特別許可に係るガイドラインは、素行が善良でない例として、次の事情を挙げています。
「仮放免又は監理措置中に逃亡又は条件に違反したこと」(在留特別許可に係るガイドライン第2の3)
住居や行動範囲の制限、呼出しへの出頭などの条件は、在留特別許可を求める本人の誠実さを示す場面でもあります。配偶者が監理人を引き受ける場合には、本人の生活を支えながら条件の遵守を見守る役割を担います。
収容令書が出る前に、家族は何を準備すべきですか。
在留特別許可の申請書と資料、そして配偶者の在留上の地位です。収容や監理措置の段階になってから準備を始めると、申請の期限に追われることになります。
ガイドラインが婚姻を特に考慮する積極要素とするのは、配偶者が日本人・特別永住者である場合と、永住者・定住者など別表第二の在留資格で在留している場合です(第2の2(1)ウ、(2)ウ)。配偶者が別表第一の在留資格であれば、判決確定までの期間に永住許可や帰化を進めておく意味は大きいといえます。当事務所には、刑事事件で有罪判決を受けた方について、確定までの時間に家族の状況を整え、在留特別許可を得た実績があります。もっとも、見通しは事案によって異なります。
入管の手続がどこから始まるかは違反調査とはをご覧ください。
よくある質問
Q1. 退去強制手続に入ると、必ず入管の施設に収容されるのですか。
そうとは限りません。主任審査官は、監理措置に付すか収容するかを審査し(入管法39条2項)、収容しないで手続を進めることが相当と認めるときは監理措置決定をします(同法44条の2第1項)。どちらの場合も在留特別許可を申請できます。
Q2. 監理措置の保証金はいくらですか。
保証金は常に必要なわけではなく、逃亡や証拠隠滅を防ぐために必要と認められる場合に条件とされます。額は300万円を超えない範囲内で法務省令で定める額とされています(入管法44条の2第2項)。
Q3. 収容中に監理措置を請求して、認められなかった場合はどうなりますか。
主任審査官は、理由を付した書面でその旨を通知します(入管法44条の2第9項)。収容中であっても在留特別許可の申請はできるため(同法50条2項)、並行して申請の準備を進めることが大切です。
Q4. 収容されている間に在留特別許可がされたら、どうなりますか。
主任審査官は、法務大臣から在留特別許可をする旨の通知を受けたときは、直ちに本人を放免しなければなりません(入管法50条9項)。在留資格と在留期間が決定され、中長期在留者となる場合は在留カードが交付されます(同条6項・7項)。
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本記事は一般的な解説であり、個別の事案の結論を保証するものではありません。具体的な見通しは、事情を伺ったうえでご説明します。
最終更新日:2026年10月11日
舟渡国際法律事務所
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