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刑務所にいる間から監理措置を準備できるか|出所と同時の入管収容を避けるための手続と、在留特別許可を申請する時期

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刑務所にいる間から監理措置を準備できるか|出所と同時の入管収容を避けるための手続と、在留特別許可を申請する時期

刑務所にいる間から監理措置を準備できるか|出所と同時の入管収容を避けるための手続と、在留特別許可を申請する時期

2026/09/23

更新日:2026年9月23日/執筆:弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077)

監理措置とは、退去強制手続の対象となった外国人を入管施設に収容せず、主任審査官が選んだ「監理人」の監理の下で、社会の中で生活させながら手続を進める制度です(出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」といいます。)第44条の2、第52条の2)。令和5年の入管法改正で新設され、令和6年6月10日から施行されています。

刑務所で服役している外国人のご家族から、「出所したら、そのまま入管に連れて行かれるのか」「刑務所にいるうちに、何かできることはないのか」というご相談をよくいただきます。結論から申し上げると、刑務所にいる間にできることはあります。刑務所の中でも退去強制手続は進みますし、在留特別許可の申請もできます。監理措置そのものの正式な「請求」は入管に収容されてからでなければできませんが、入管は釈放の時点で「監理措置に付すか、収容するか」を審査しなければならず、その審査で、収容せずに監理措置に付する決定をすることができます。服役中から準備を整えておけば、「出所したその日に入管施設へ移送される」事態を避けられる可能性があります。

本記事の要点

  • 刑務所で服役している間も、入国警備官が刑務所に出向いて取り調べるなどして、退去強制手続を進めることができます(入管法第63条第1項)。
  • 在留特別許可の申請は、刑務所の中からでもできます(同項による第50条第2項の読替え)。一方、退去強制令書が発付された後は申請できません(第50条第3項)。出所を待っていると、申請の機会そのものを失うおそれがあります。
  • 監理措置の正式な請求は入管に収容された後でなければできませんが(第44条の2第4項、第52条の2第4項)、釈放時に入管が行う「監理措置か収容か」の審査で、職権により監理措置に付する決定をすることができます(第39条第2項・第44条の2第1項、第52条第8項・第52条の2第1項)。
  • 服役中に準備すべきことは、監理人の確保、出所後の住居と生活の見通し、保証金、そして逃亡のおそれが低いことを示す資料です。
  • 1年を超える実刑判決を受けた方の在留特別許可には、「人道上の配慮に欠けると認められる特別の事情」が必要とされ(第50条第1項ただし書)、ハードルは高くなります。早い段階から専門家と準備を進めることが重要です。

1 監理措置とはどのような制度か?

監理措置は、退去強制手続の対象となった外国人について、「収容」に代わる選択肢として設けられた制度です。従来は、退去強制手続の対象となると原則として入管施設に収容され、収容を解くには仮放免を求めるほかありませんでした。長期収容が社会問題となったことを受けて、令和5年の改正で、収容しないで手続を進める仕組みとして監理措置が導入されました。

監理措置には2種類あります。退去強制令書が発付される前の段階の監理措置(第44条の2)と、退去強制令書が発付された後の段階の監理措置(第52条の2)です。主任審査官は、前者では「逃亡し、又は証拠を隠滅するおそれの程度」、後者では「逃亡し、又は不法就労活動をするおそれの程度」を、いずれも「収容により受ける不利益の程度その他の事情」と併せて考慮し、収容しないことが相当と認めるときは監理措置に付する決定をします。

監理措置に付されると、住居や行動範囲の制限、呼出しへの出頭義務などの条件が付されます(第44条の2第1項、第52条の2第1項)。必要と認められるときは、300万円を超えない範囲で保証金の納付も条件とされます(第44条の2第2項、第52条の2第2項)。なお、仮放免は、改正後は「健康上、人道上その他これらに準ずる理由」により収容を一時的に解除する制度と位置付けられています(第54条第2項)。健康上の問題などがない方にとって、収容を避けるための主な手段は監理措置です。

2 刑務所にいる間も退去強制手続は進むのか?

進みます。入管法第63条第1項は、退去強制の対象となる外国人について刑事訴訟や刑の執行の手続が行われる場合でも、その者を収容せず、監理措置にも付さないまま、退去強制の手続を行うことができると定めています。この場合、入国警備官は容疑者に出頭を求めるだけでなく、「自ら出張して」取り調べることができるとされています。実務上も、入国警備官が刑務所に出向いて違反調査を行い、入国審査官の審査、特別審理官の口頭審理、法務大臣(地方出入国在留管理局長)への異議の申出と、手続が刑務所の中で進んでいくことがあります。

刑務所の中で退去強制令書が発付された場合、その執行は、原則として刑の執行が終わった後に行われます(第63条第2項本文)。ただし、刑の執行中であっても、検事総長又は検事長の許可があるときは執行できるとされています(同項ただし書)。

なお、1年を超える実刑判決(刑の全部の執行猶予が付されたものなどを除きます。)を受けた外国人は、それ自体が退去強制事由となります(第24条第4号リ)。薬物事犯など、刑の重さにかかわらず退去強制事由となる罪もあります(同号チ)。刑務所で服役している外国人の多くは、退去強制手続の対象となり得る状態にあります。

3 刑務所にいる間に在留特別許可を申請できるのか?

できます。在留特別許可の申請は、本来、「収容令書により収容された外国人又は監理措置決定を受けた外国人」がするものとされています(第50条第2項)。しかし、刑事手続が行われている場合については、第63条第1項がこれを「入国審査官の審査を受けることとされた外国人」と読み替えています。つまり、刑務所で服役していて入管に収容されていない方も、入国審査官の審査の対象となっていれば、在留特別許可を申請できます。

ここで注意しなければならないのが、第50条第3項です。在留特別許可の申請は、退去強制令書が発付された後はすることができません。刑務所の中で手続が進み、出所前に退去強制令書が発付されてしまえば、出所後に在留特別許可を申請しようとしても、もはや申請できないということになります。その後に処分を争うには、退去強制令書発付処分等の取消訴訟を、処分を知った日から6か月以内に提起するほかなくなります(行政事件訴訟法第14条第1項)。

刑務所にいる間に入管の取調べが始まったら、在留特別許可の申請の準備も同時に始める必要があります。在留特別許可の判断では、在留を希望する理由、家族関係、素行、入国の経緯、在留期間、法的地位、退去強制の理由となった事実、人道上の配慮の必要性などが考慮されます(第50条第5項)。服役中の反省の状況や、家族との関係が続いていることを示す資料は、この段階から意味を持ちます。

4 刑務所にいる間に監理措置を申請できるのか?

法律上の「請求」は、入管に収容された後でなければできません。監理措置に付することを請求できるのは、退去強制令書の発付前であれば「収容された容疑者」(仮放免中の者を含みます。第44条の2第4項)、発付後であれば「収容されている者又は仮放免されている者」(第52条の2第4項)とされているためです。出入国在留管理庁も、監理措置決定の申請の対象者を、収容令書又は退去強制令書の発付を受けて収容されている外国人(仮放免中の者を含みます。)として案内しています。

しかし、それで終わりではありません。入管法は、収容の前の段階で、主任審査官に「監理措置に付すか収容するか」を審査するよう義務付けています。

退去強制令書の発付前であれば、入国警備官から違反調査の結果の通知を受けた主任審査官は、「第四十四条の二第一項の規定による監理措置に付すか収容するかを審査しなければならない」とされています(第39条第2項)。そして、この審査で収容しないことが相当と認めるときは、容疑者を監理措置に付する決定をします(第44条の2第1項)。

退去強制令書の発付後であれば、令書の執行に当たって直ちに送還できないとき、主任審査官は、同様に「監理措置に付すか収容するか」を審査しなければならず(第52条第7項、第8項)、収容しないことが相当と認めるときは監理措置に付する決定をします(第52条の2第1項)。この規定の対象は、「収容されている者又は仮放免されている者」を除く退去強制を受ける者とされており、刑務所から釈放される方はここに含まれると考えられます。

つまり、刑務所から出る方にとっては、出所の時点で行われるこの審査こそが、収容されずに社会に戻るための最初の関門です。この審査は職権によるものですから、本人に請求権はありません。それでも、審査の前に、監理人となる人、住む場所、生活の見通し、逃亡のおそれがないことを示す資料を主任審査官に示しておけば、審査の材料そのものを整えることができます。準備がない状態で審査の日を迎えれば、収容の判断に傾くのは避けられません。

5 出所の時点で手続がどの段階にあるかで、何が変わるのか?

出所の時点で退去強制手続がどこまで進んでいるかによって、使える制度と注意点が大きく異なります。

出所時の手続の段階入管が行う審査と根拠監理措置の判断で考慮されるおそれ就労在留特別許可
退去強制令書の発付前監理措置か収容かの審査(第39条第2項)→ 監理措置決定(第44条の2第1項)逃亡・証拠隠滅のおそれ生計維持に必要な場合、監理人の同意を得て申請し、許可を受ければ可能(第44条の5)申請できる(刑務所の中で申請済みであれば審理が続く)
刑務所の中で退去強制令書が発付済み直ちに送還できないときの監理措置か収容かの審査(第52条第8項)→ 監理措置決定(第52条の2第1項)逃亡・不法就労活動のおそれ認められない申請できない(第50条第3項)。取消訴訟(出訴期間6か月)で争う
刑務所の中で在留特別許可を受けた監理措置の問題は生じない在留資格の範囲で可能許可済み

表のとおり、最も有利なのは、刑務所の中で在留特別許可の申請を済ませ、出所時には退去強制令書の発付前の段階にある状態です。この場合、出所時の審査で監理措置に付されれば、社会の中で生活しながら在留特別許可の審理を待つことができ、許可を受ければ就労の余地もあります。反対に、何もしないまま刑務所の中で退去強制令書が発付されると、在留特別許可の申請はできなくなり、監理措置に付されても就労はできません。

6 服役中に何を準備すべきか?

出所時の審査に向けて、服役中に整えておくべきものは次の5つです。

準備1 監理人を決める

監理人は、監理人の責務を理解して承諾し、その任務を遂行する能力があると認められる人の中から、主任審査官が選定します(第44条の3第1項)。出入国在留管理庁は、親族、知人、支援者のほか、弁護士や行政書士も監理人になり得ると案内しています。監理人は、被監理者の生活状況を把握して指導・監督を行い(同条第2項)、逃亡などの事実を知ったときは届け出る義務を負います(同条第4項)。責任の重い役割ですから、候補者に制度を十分に説明し、「監理人承諾書兼誓約書」に署名してもらえる状態にしておきます。

準備2 出所後の住居と生活の見通しを示す

監理措置では住居が指定されます。出所後に住む場所を確保し、賃貸借契約書や同居する家族の住民票などで示せるようにします。あわせて、出所後の生活費をどう賄うのか(家族の収入、預貯金など)を示す資料を用意します。退去強制令書の発付前の段階であれば、生計の維持に必要なときは報酬を受ける活動の許可を申請する余地もあります(第44条の5第1項)。

準備3 保証金の準備

保証金は、300万円を超えない範囲で定められます(第44条の2第2項、第52条の2第2項)。出入国在留管理庁は、未成年者については150万円以下とし、具体的な金額は個別の事情により決めると案内しています。監理措置決定が取り消された場合は、保証金の全部又は一部が没取されます(第44条の4第5項)。ご家族で用意できる金額をあらかじめ確認しておきます。

準備4 逃亡のおそれが低いこと、収容による不利益が大きいことを示す資料

主任審査官が考慮するのは、逃亡等のおそれの程度と、収容により受ける不利益の程度です。前者については、日本での在留期間、家族との同居予定、住居の安定、服役中の生活態度や反省の状況などが材料になります。後者については、配偶者や子との関係、子の養育の必要、本人の健康状態などが材料になります。家族との面会や手紙のやり取りが続いていることも、家族関係の実質を示す資料になり得ます。

準備5 主任審査官への上申書を出しておく

以上の資料をまとめ、釈放予定日、監理人、住居、保証金の準備状況を明らかにしたうえで、出所時の審査において監理措置に付するよう求める上申書を、手続を担当する地方出入国在留管理官署の主任審査官宛てに提出します。法律上の請求ではないため、入管に応答の義務があるわけではありません。しかし、審査の前に判断材料を届けておく意味は大きいと考えます。万一収容の判断がされた場合でも、用意した書類を使って、直ちに正式な監理措置の請求(第44条の2第4項、第52条の2第4項)に移ることができます。

7 1年を超える実刑判決を受けた場合、在留特別許可の見込みはあるのか?

見込みはありますが、ハードルは高くなります。無期又は1年を超える拘禁刑の実刑判決を受けた方などについては、在留特別許可は「本邦への在留を許可しないことが人道上の配慮に欠けると認められる特別の事情があると認めるときに限る」とされています(第50条第1項ただし書)。

出入国在留管理庁が公表している在留特別許可の事例のうち、改正法の施行後の分(令和6年後半分及び令和7年分)を当事務所で分析したところ、このただし書に該当しながら許可された事例は6件で、量刑はいずれも拘禁刑1年2月から1年6月の範囲にとどまっていました。許可された方は、いずれも日本に深く定着した方でした。一方、日本人の実子を監護養育していても、拘禁刑2年6月の実刑判決を受けた方が不許可とされた事例もあります。刑期が長いほど、服役中からの準備の重要性は増します。

また、監理措置は収容しないで手続を進める制度にすぎず、在留資格を与えるものではありません。監理措置に付されている間は不法残留罪等の適用がないものとみなされますが(第44条の2第10項、第52条の2第8項)、日本に在留し続けるためには、在留特別許可を得ることが必要です。監理措置と在留特別許可は、車の両輪として同時に準備する必要があります。

8 当事務所の取組み

当事務所は、外国人の刑事事件と入管手続を一体のものとして取り扱っています。刑事事件の段階から判決後の在留を見据えて弁護を行い、実刑判決を受けた方については、刑務所での面会、在留特別許可の申請、監理人の確保、主任審査官への上申、収容された場合の監理措置の請求まで、一貫して担当します。組織的犯罪処罰法違反で実刑判決を受けて服役した方について、監理措置により早期に収容から解放された解決事例もあります。

松村大介弁護士が初回のご相談から全工程を直接担当いたします。中国語の専属通訳が常駐しており、中国語を母語とする方やそのご家族とも直接やり取りができます。在留資格の手続については、提携する行政書士と連携して対応いたします。

関連記事:裁判中でも強制送還されるのか|取消訴訟・執行停止と入管の「送還差控え」運用、訴訟提起通知書の実務(https://matsumura-lawoffice.jp/blog/detail/deportation-during-lawsuit/

よくある質問

Q1 服役中の本人に代わって、家族が監理措置を申請できますか。

正式な請求は、入管に収容された後に、原則として本人が行います。本人が16歳未満である場合や、病気などで自ら請求できない場合に限り、同居する配偶者、子、父母、その他の親族の順で代わって請求できます(第44条の2第5項、第52条の2第7項)。服役中の段階では、ご家族や弁護士から主任審査官に上申書を提出し、出所時の審査で監理措置に付するよう働きかけることになります。

Q2 弁護士が監理人になることはできますか。

できます。出入国在留管理庁も、弁護士や行政書士が監理人になり得ると案内しています。ただし、監理人には主任審査官への届出や報告の義務があります(第44条の3第4項、第5項)。代理人としての立場との関係を考え、ご家族などに監理人をお願いし、弁護士は代理人として手続に専念するという選択もあります。事案に応じてご相談ください。

Q3 監理措置に付されている間、働くことはできますか。

退去強制令書の発付前の段階であれば、生計の維持に必要で相当と認められるときに、監理人の同意を得て申請し、主任審査官の許可を受ければ、指定された機関での就労が認められることがあります(第44条の5第1項)。退去強制令書の発付後の段階では、就労は認められていません。許可なく働くと、監理措置決定の取消し(退去強制令書の発付前の段階では第44条の4第2項第4号)や刑事罰の対象になります。

Q4 監理措置に付されれば、在留資格がもらえるのですか。

いいえ。監理措置は、収容せずに退去強制手続を進める制度であり、在留資格を与えるものではありません。日本に在留し続けるためには、在留特別許可を得る必要があります。

Q5 刑務所にいる間に入管の職員が面会に来ました。どうすればよいですか。

退去強制手続の違反調査が始まっている可能性があります。その後の手続は刑務所の中で進むことがあり、退去強制令書が発付されると在留特別許可の申請ができなくなります(第50条第3項)。取調べでの供述は、在留特別許可の判断にも影響し得ます。できるだけ早く、入管手続に詳しい弁護士にご相談ください。

結語

刑務所にいる間は、何もできない時間ではありません。入管の手続は刑務所の中でも進み、出所の時点で、収容か監理措置かが審査されます。その審査の日までに、監理人、住居、生活の見通し、そして家族との絆を示す資料を整え、在留特別許可の申請も済ませておくこと。これが、出所と同時に入管施設へ移送される事態を避け、日本での生活を取り戻すための道筋です。ご家族が服役中の方は、出所予定日が決まる前にご相談ください。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。紹介した解決事例は、同様の結果を保証するものではありません。本記事は2026年9月23日時点の法令に基づいています。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反事件での無罪判決(一部無罪)の獲得、在留特別許可の獲得、違法な行政処分の撤回等の解決実績を有する。

弁護方針:松村大介弁護士の弁護方針|法律に命を吹き込む(https://note.com/cool_pipit5023/n/n86fc2ef05201

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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